ひっさしぶりに服を買ったワケ
ファッションがつまらない。ここ数年ずっと思っていた。「私は、ファッションではなくスタイルを作っている」と言ったのはかのココ・シャネルだが、最近は右を見ても左を見ても“トレンド”という免罪符を掲げて、同じような服ばかりが並んでいる。トレンドに自分を嵌めこませるような服、それ以外は通勤を意識したものがほとんどな気がするのだ。
ファッションに求めるものは、相手への敬意を表す役目だとか、その季節の到来を喜ぶサインだとかいろいろであるが、何よりもトキメキ、そして自分をシャキッとさせてくれたり優しく包み込んだり慰めてくれる相棒であり先達であって欲しい。それなのに、どの店でも言われるのは「トップスを前はインして後ろはふわっと」であり、「肩を抜き気味に」の一辺倒なのである。なんですか、ショップでは挨拶の代わりにこういうふうに言うことになったんですか?と問いたいほどだ。着物への傾倒も、もともとはファッションが退屈いなったからである。
そんなこんなで距離をおいていた洋服道でしたが、先だって久しぶりに服を買いました。場所は六本木に出来た新しいユナイテッドアローズ。通勤服感がゼロに近く、夜会服部屋があったりとかなり攻めてる。かなり好み。そこでかつて、お洋服を見つけて、お洋服を着るのが大好きだった時、お世話になった女子からリコメンされたヒョウ柄ミモレ丈のスカートを購入。フェイクですが、ファーのようにつややかで毛足のあるテクスチャーも気持ち良く、今はブラウスと合わせていますが、これからはニットとかMA-1なんかともコーディネートしたい。
ファッションレーベルが展開するグローバル戦略により、世界中で同じスタイリングの服がショーウィンドウを飾るようになって久しい。昨年ファッションの都と言われ続けていたパリで、東京と同じような格好の人ばかり見かけ「ここもZARA化してる!」と大きなショックを受けた。そんな動きにたったひとりで抗うことなんてほぼ無理だろう。でもファッションにはトンチが効いていて欲しいし、ときめかせて欲しいと今でも切に願う。スタイルを求める人は、決して私だけはない、世界中にいるのだから。