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蚊取り線香が蘇らせるアジアで一番長い内戦と拷問部屋


武装組織掃討のためジャングルに入るインドネシア国軍。=2005年、アチェ 撮影:田中龍作=

 暖かくなり早速、蚊に悩まされ始めた。我が家は昨夜から蚊取り線香を焚いている。

 蚊取り線香の匂いを嗅ぐと凄惨な思い出がよみがえる。

 20年も前になるが、アチェの内戦取材でインドネシアのジャングルに入った時のことだった。

 やぶ蚊の猛攻撃に遭った。猛烈な痒みと痛みは今でも忘れられない。

 熾烈な内戦(1953~2005年)は、天然ガスの利権を独占したい中央政府の国軍とアチェ独立を訴える武装組織との間で続いた。

 広大な天然ガス工場には国軍の拷問部屋があった。


天然ガス工場は車でしばらく走らなければならないほど広大だった。=2005年、アチェ 撮影:田中龍作=

   拷問に遭い殺された武装組織メンバーの遺体が家族に届く。

 田中は写真で確認したが拷問は凄惨を極めていた。

 真っ赤に焼けた鉄の火箸で腹を突き通す。大型ドライバーを耳から脳にぶち込みグルグル回す・・・

 天然ガス工場は日本のODAで作られた。日本は最大の輸入国でもあった。

 アジアで一番長い内戦(当時)と凄惨な拷問に日本は無関係と言えるだろうか。

 以後、東南アジア取材に蚊取り線香は欠かせない物になっている。

    ~終わり~

  ◇
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