フリーランスに向く人、向かない人。
「フリーランスに向く人の条件とは?(どういう人は向かない?)」ーーフリーランス女性と企業をマッチングする会社を経営しているので、取材や講演でよく質問されます。
フリーランスで活躍する方々を見ていると、たしかに売りになる専門性やスキルに加えて、いくつかの共通項があるように感じます。コミュニケーション力、成果にコミットする力、顧客や市場のニーズを把握する力・・・。
先日、慶應義塾大学の高橋俊介先生と、私が理事をしているフリーランス協会の理事で、冒頭の「フリーランスに向く人、向かない人」について話す機会がありました。
理事の一人はこの手の質問を受けると、「承認欲求が強すぎる人は向かない」という話をすると言います。会社員であれば上司となる人物が認め、評価し、時に叱咤激励し、その人の成長に必要なフィードバックを与えてくれます。フリーランスはそういうわけにはいきません。
以前、「フリーランスは毎日がオーディションのようなもの」と話してくれたフリーランス女性がいましたが、仕事を依頼してくるクライアント企業は、成果に満足しなければ、次回から発注してくれません。ただ、それだけのこと、なんですよね。会社員的なフィードバックが得られるわけではない。
フリーランスになって「(自分を)認めてほしい」という気持ちがあまりに強いと、精神的に満たされず苦しくなってしまう。(高橋先生によれば、こういう傾向の人を精神医学の観点から「報酬依存型の人」というのだそうです。「報酬」と聞くと「お金」のような経済的価値が思い浮かびますが、「認められる」「褒められる」といった人間関係で得られる価値も「報酬」に入ります。「報酬依存型の人はフリーランスに向かない」とも言えるかもしれません)
私は、「フリーランスに向くひと」という観点から、あえて一つ条件をあげるとすると、「自律性の高いひと」という話をします。(売りになるスキル・専門性がある前提で、一つだけ言うなら)
フリーランスはとっても自由な働き方です。いつ、どこで、誰と、どんな仕事をするのか、自分はどうありたいのか、すべてを決めるのは自分次第。誰も指示しません。仕事の進捗も細かく管理したり指導してくれたりする人はおらず、自律的に進めることが求められます。100%自己責任。自分の描くように自分自身でキャリアを切り拓きたい人にとっては、これ以上ない働き方です。
もちろん、そうじゃないほうがいい、ある程度、指示を受けながら動きたい、自由度が高いとかえって不安、そんな人もいますよね。私は全員が全員、フリーランスになるべきとは思っていません。どちらがいい、悪い、という話でもなく、自分に合った働き方を自らの意思で選択することが大事だと考えています。
前半の承認欲求の話も、後半の自律性の話も結局は同じことではないでしょうか。自分のキャリアを自分で創る。よりその欲求の度合いが強ければ、フリーランスが向いている。
そして究極的には「向いているか、向いていないか」は問題じゃない、とも思うんです。「やってみたい」という気持ちがあれば、一度やってみたらいい。無責任でしょうか?でも、実際、フリーランスを数年経験したあとに、また会社員に戻る方がいるんです。それも決して珍しい話ではなく。
少し前は、会社を辞める、フリーランスになるって「もう二度と戻れないイメージ」がありましたが、時代は確実に変わってきています。フリーランス時代の経験は決して無駄にはならないし、会社員であっても副業・兼業OKの会社が増えているので、「社員」と「フリーランス」の「ボーダーレス化」が進んでいます。日本は多様な生き方・働き方を選べる社会になりつつある。それってこの上なく良いことだなあと感じています。
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