運動好きだけど体をうまく動かせない人に with BeatSaber
本記事は、Beat Saber Advent Calendar 2022のルールにある、
に該当するであろう記事です。ビートセイバーによる人生改善の一例を記します。
対象読者
膝に矢を受けたタイプの戦闘民族
人と競うこと以外のコミュニケーションを知らぬ者
タイトルが気になった人
この記事に書いていないこと
努力すればどんな困難な状況でも0スタートの人と同じように戦える
あなたに合わせた練習方法
この記事に書いてあること
私が何をしてきたか
誰が書いているのか
2021年10月中頃からビートセイバー開始。
第三回 JBSL J3 予選15位
第四回 JBSL J3 予選1位 本戦準優勝
ScoreSaber PP6000 日本350位ぐらい(2022年12月1日)
配信を生業としている人。自転車や電子機器の修理からポゴスタックまで何でも配信してきました。配信への参加やコラボ配信いつでも歓迎します。
副業は自称ネット声優。過去の出演作品はありません。声のお仕事いつでも歓迎します。
副業はプログラマ。相対論的流体計算シミュレーションからプロトコル問わずのクラサバまで何でも書いてきました。おもしろいorおちんぎんの良いお仕事いつでも歓迎します。
この記事の結論
BeatSaberはいいぞ!
体をうまく動かせない#とは
体をうまく動かせないとは、以下の四つを合わせた状態を言います。
構造的に動かせない
痛みで動かせない
動かす気力がない
遺伝的理由もしくは鍛錬不足で筋力がない
幸い私は4つ目には該当しませんでした。
構造的に動かせない
怪我に起因しています。左肩は大胸筋の一部がありません。上腕二頭筋は伸ばされ張力がうまく加わりません。右肩は関節の損傷で常に軽く脱臼している状態で、動かすために力を入れると本来の位置より前方に入り込むので自由に回旋しません。両方とも、抱きしめる方向の動きや、持ち上げる方向のうごきがうまくできません。というか全方向にいろいろできません。
痛みで動かせない
構造が適切でないため、不適切な位置に負担がかかり炎症が起きること、動かすことや支えることに不適切な筋肉を使うため常に疲労が起こること、神経を刺激すること等に起因して動かさなくても痛み、動かすと強い痛みが起こります。
ついでに心膜へ感染した病原体(症状的に結核と診断)を起因としてちょっとした疲れをきっかけに発熱、吐き気、頭痛、心肺機能の異常が定常的に起こります。
動かす気力が出ない
いわゆるご家庭の事情で治療ができませんでした。痛みと疲労と動けないこととで気力が吸われていきます。
Beat Saber を始めるまで
血縁者から自力で逃げ出しました。手術は失敗しました。心身ともにくたびれ果て、貯金が尽きるまで何もしないで死ぬまで過ごすしかない状態です。体を動かすのは好きなので、それができない状態が一生(お金が無くなるまで)続くことが確定していて絶望しかありませんでした。人が活きるにはご飯が必要ですが、その前に生きる意志が必要です。何らかの期待(希望)がなければ意思も生まれません。能力の拡張という期待を込めて、テトリスを始めました。精神状態は少しだけ回復しました。2021年10月にビートセイバーを始めました。体を動かせば楽しくなるのは知っていたのと、ぼろぼろの体を中途半端に大切にしても仕方ないという判断をして、痛みを押してビートセイバーを始めました。
JBSL J3 予選通過までにしてきたこと
ejiejidayoさん作成のプレイリスト(https://twitter.com/ejiejidayo/status/1162611331691757569)をまず全部やりました。クリアは置いておいて。ただ、3年前のものなので、いまから1年前(2021年10月頃)の時点ですらご本人が少し納得いってないリストになってしまっていたようでご利用は計画的に。
星別リストを、星3の古い順から全部プレイしています。星7までは順調にクリアできました。星8でクリア率が下がり、目標値として3割の譜面をクリアしたら星9に行くことにしました。3割クリアしたらその星の譜面はできることにしてよいだろうという判断です。星9も3割クリアして星10のクリアチャレンジの途中です。実際のところ、星7もクリアできない譜面は多分あるので本当の意味でその難易度をクリアするとしていいのは6割ぐらいクリアしたときかなと思っています(いや全部クリアしたときかな)。
現状の課題はバイブロと平面ストリームです。最近意識しているのは、セイバーを腕の稼働限界に任せて振り戻すのではなく、やさしく止めて振り戻すことです。しなやかで確実な制御ができる筋肉が必要になります。
ちなみに、星10の練習がはかどっていないので少しでも何を練習しているのか自分で把握するためにバイブロ、ストリーム、クロスストリーム、平面ストリーム、テック、独特な配置、リズム、などのフェイル要因ごとに譜面をカテゴライズする作業を最近しています(そろそろ未クリア150譜面の整理が終わります)。体力が理由でフェイルしているものは、譜面を要素ごとにわければクリアできるという意味を込めてbunkaiリスト入りしています。
2022年1月から3月ごろ(pp2000~3000ぐらいのころ)三つのアンランクをクリアしました。
たらこたん氏の譜面で、いわゆる難しい譜面を長時間かけてクリアする訓練を積みました。
やす氏の譜面で、対テックを学びました。
fara氏の譜面で、セイバーコントロールを学びました。
この三つは私の基礎になっています。これができれば、普通の人の仲間入りができるんだと、必死になってやりました。
初期に買った延長グリップを改造して棒ダスモもやりました。星2ぐらいまでの譜面をNoFailをつけて棒ダスモでちらかしました。散らかしたスコアを、二刀ですべて95パーセント以上にして掃除しました。
私と同じ状態の方は、練習時間が非常に限られることに共感してもらえると思います。戦闘民族なので自分の能力を上げたいという思いを常に背負っています。競い合う以外のコミュニケーションを知りません。この思いを遂げるために、限られた時間で強くなる必要があります。そのために、基本的な練習として、自分の限界を広げるプレイをしています。
認識力、瞬発力、持久力、制御力?を上げる最も効率の良い方法は自分のできない譜面をできるようになることだと考えています。できる譜面の精度を上げても上記の力の向上に寄与はしますが、時間効率は悪い。できない譜面の精度はできるようにならないとあげられない。
トップクラスの方は簡単にやめないし、まじめにプレイするので、そこにたどり着けば競い続けることができます。目指す土俵がそこなので中難度の譜面の精度の練習はまず全部フルコン出せるようになってからで良いと思っています。
意思疎通ができて、本気で殴りあえて、このゲームをやめない人がライバルにいれば中難度の精度もトライすると思います。我こそはという方はいつでもお声がけください。レベルは問いません。途中でいなくなったら末代まで祟ります。
JBSL予選は、上記鍛錬で得た余裕を活用して、ノーツの飛んでくる線にそって丁寧にセイバーを振るだけです。そうすることで通過できました。
セットアップ
CV1 sensor を正面上方、高さ2メートルちょっとのところに、間隔を2メートルちょっと開けて二つ、前方足元から見上げるように一つ、後部上方、高さ2.5メートルほどのところに一つ。正面の二つ以外は付けたり消したりして試行錯誤中です。4つ同時使用することはもともと規格から外れているので難しいところ。
Oculus touch は、ストラップを薬指にかけ、デフォルトグリップからそのまま親指以外をわっかに通したような持ち方をします。より深く持ちしっかり握る(力むわけではない)とトラッキングが安定する気がしています。
身長設定は、自動検出です。
セイバーの方向、位置はデフォルトです。一時期、長さを伸ばす設定にしていましたが、有効になっておらずプラシーボ効果でした。有効にすると感覚がずれてなにも斬れなくなったのでmodを削除しました。
ノーツの出現距離は、デフォルト機能の動的、遠いに設定してあります。壊れている譜面は0.6とか0.7秒に設定してプレイします。この距離設定は、「脳みその処理能力はそんなに低いところに限界はないだろう」という想定で、できるだけ先まで経路を見ておいて制御に使える余裕を将来的に持てるようにするための訓練として採用しています。とはいえ、意識的であろうが無意識であろうが、距離が遠いほうが処理コストが増えることには変わりないので特にお勧めはしません。こだわりのない人には定番の、テックは遠め、スピードは近めをお勧めしておきます。
JBSL J3 本戦までにしたこと
欺瞞
戦いの基本は情報です。できるだけ自分の情報を与えず、相手の練習コストを増やすことが重要になります。(この記事の対象読者の方なら特に練習コストというのがとても重要であることはすぐにご理解いただけると思います。予測不能なタイミングで体が使えなくなるんだもの。)JBSLの特性上、(とくにJ3というビギナーズリーグでは)予選中の成長が大きく、普段のプレイスタイルはあてになりません。予選と本選では譜面が違うためテックが得意だとかスピードが得意だとかの簡単な傾向しか予選結果からは読み取れません。なので、本戦譜面のスコアから戦術を組み立てることになります。予選譜面すべてでトップを維持すれば相手に与える情報は0です。まず予選譜面でグランドスラムを維持しましょう。次に、本戦譜面のプレイ情報ですが、攻撃的な戦略としていかにして相手の冷静さを奪うかということに焦点を置きます。今回の手順は以下の通りです。
意味不明な情報を流します。今回は消えるノーツとか色々つけてプレイした結果を送信しました。
次に正しそうなプレイ結果を送ります。初戦、準決勝、決勝の順番で日を分けて丁寧に埋めていきました。
相手をいらだたせ、焦らせ、練習コストを増大させ、最終的に安心させたら勝ちです。本戦プレイ中に全力を見せつけ諦めさせましょう。こちらの苦手な譜面を相手に捨てさせることも考えましょう。もし相手の苦手そうな譜面傾向が分かって、なおかつ自分がそれを上回る能力を手に入れれそうならばそこで欺瞞情報として強気な値を送っておくのもありかもしれません。二譜面相手に捨てさせればほぼ勝ちです。
練習
我々は練習コストについて常人よりさらに気を使う必要があります。極端にいえば、本戦までの一週間の間に練習したら負けです。欺瞞情報を流す過程で譜面の下見をして、それを練習としましょう。もちろんそれだけでは足りないので、毎日一戦分だけを一度だけプレイしましょう。一本通して、失敗した箇所について短い注意事項を作り、そこだけをちょろちょろっとやります。ちゃんと体に覚えこませるほどの練習は多分できないので、運が良ければ身についてくれればいいなぐらいの感覚で良いでしょう。
いくつかの譜面について、簡単な注意事項のメモを用意しましょう。本戦中それだけ考えれるレベルの本当に簡単なメモです。全部の譜面について考えるのは大変なので特に有用そうなもの、合計で三つぐらいにしたら準備は完了です。もちろん練習中に克服した場合、その注意点は捨てて新しいメモに変えましょう。(メモの例: 決勝テックの左は特に早振りに注意しろ、準決勝スタンダードウインドウはしっかり腕を上げて剣速も上げて取れ)
練習スケジュールは、
一日目 すべての譜面で欺瞞情報を流す
二日目 初戦の譜面だけ練習する
三日目 準決勝の譜面だけ練習する
四日目 決勝の譜面だけ練習する
五日目 初戦の第二欺瞞情報を流す+練習
六日目 準決勝の第二欺瞞情報を流す+練習
七日目 決勝の第二欺瞞情報を流す+練習
とするのが理想でしたが、体調と相談した結果1,5,6,7のみ実現しました。あとは体調を整えることだけに集中しました。
付録 ストレッチやトレーニング
上記までの内容はあまりにも対象読者が限られすぎているので、本来の読者には一ミリも寄与しない(この動きが満足にできないから我々はしんどい)、常人向けの簡単なトレーニング方法を付録として記しておきます。この記事より詳細で信頼できる情報が多くの専門家から公開され、webで簡単に入手できるため、興味のある方は以下のワードをかいつまんで検索してみると良いかと思います。(ローテーターカフ 胸郭 三角筋 上腕筋 肩甲骨 ストレッチ トレーニング)
人は筋力を、体を支えるためと目的の力積を出すため(何かを動かすため)に使います。体を支えるために不随意筋であるインナーマッスルが活躍するのですが、この筋肉の働きが不十分であると随意筋であるアウターマッスル、いわゆる三角筋や僧帽筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋を、体を支えるために使用して体力を消耗してしまいます。適正にインナーマッスルを使うことができれば腕を上げっぱなしでつらいとか、この姿勢の時に思った方向に腕を動かすことができないというような状態を緩和することができます。
いわゆる悪い姿勢だとインナーマッスルが働きにくく、疲れやすくなります。まず姿勢について考え、その後トレーニングについて考えます。姿勢の大きな部分を左右しているのが胸郭と肩甲骨です。
胸郭(きょうかく)
肋骨です。肋骨は多くの筋肉で支えられ、その筋肉が固くなっているとほぼほぼ動きがなくなります。いわゆる猫背になっていると上側が圧縮され下側がひしゃげて広がっているような状態で固定されてしまいます。胸郭の筋肉をほぐす方法をいくつかご紹介します。
一つ目
上向きに寝ころび、力を抜く
胸の中心あたりから少し右の肋骨の隙間に指を入れる準備をする
大きく息を吸い、ゆっくり吐きながら指に力を込め、肋骨を押し下げる
力を抜いて息を吸う
指の位置を横に動かしたり、別の肋骨の隙間に変えたりして2~4を繰り返す
二つ目
力を抜いて上半身を自由に動かせる場所に腰掛ける
右脇の下から、右手のひらを肋骨に向けて、押す準備をする
大きく息を吸い、ゆっくりと吐きながら、肋骨を押しながら、右側に上半身を倒します。
力を抜いて姿勢を戻しながら息を吸う
手のひらの位置をかえて、上半身の傾かせ方も変えながら2~4を繰り返す
三つ目
二つ目より、より高く、より背中側に手のひらを充てる
自然に呼吸しながら背中側から前に押し出すように押す
肩を回すようにして2を繰り返す
肩甲骨
肩甲骨は、しっかり安定していると嬉しいものですが、筋肉が固くなって動かせない状態はよくありません。文字で説明しやすいストレッチを一つだけ書いておきます。
四つん這いになる
手のひらでぐっと地面を押す。このとき前にならえをする感じを意識する
手で地面を押したまま肩甲骨が胸郭から離れる感じを意識しながら胸を下げていく
2と3を繰り返す
2と3の間でおなかと胸を丸める動きを入れるのも良いです。
棘上筋(きょくじょうきん)
姿勢を正したのでトレーニングについて考えます。棘上筋は、ローテーターカフと呼ばれる、肩に四つあるインナーマッスルのうちの一つです。上腕骨の骨頭と肩甲骨を上側からつなぐ筋肉です。ストレッチ方法の一つは、背中側でいただきますのポーズをします。トレーニング方法は以下です。
力を抜いてまっすぐ立つ
親指を外側に向けて、ペンギンのように少しだけ腕を外に開く
肩の上側のへこんでいるラインが疲労して膨らんでくると完璧です。500ミリペットボトルを持ったり、トレーニング用のバンドを使ったり、逆側の腕で押さえつけたりして、いい感じにできる方法を探しましょう。一回のトレーニングで、10回3セットがやると良いといわれています。
三角筋
ついでに問題の出やすい三角筋のメンテナンスをしましょう。痛みがある場合とりあえず氷で冷やします。水を入れる必要は特にありません。15分ぐらいを限度にしましょう。ストレッチの方法の一つを記します。
力を抜いて気を付けのような姿勢で立つ
左手で右腕の三角筋を持ち上げ、胸側に引き寄せる
右手を外側に回す(手のひらを前、外に向けていく)
逆向きにする。(三角筋を外側に押しながら右手のひらを内側、背中側に回す)
三角筋を酷使していないのに姿勢によって筋肉痛のような痛みが起こることがあります。神経が刺激されて痛みが発生するのですが、胸郭出口症候群という名前がついています。三角筋の冷却とストレッチをしても痛みがある場合これを疑ってみると良いかもしれません。これは、大胸筋や上腕二頭筋あたり(方の前方向からわきにかけてのエリア)を逆の手でもんだり引っ張ったりしてやると、症状の出る姿勢でも痛みが引くかもしれません。
付録2 ビートセ関連の何か
https://twitter.com/i/events/1548735036538507269
あとがき
ビートセイバーを初めて、たくさんの人と知り合えました。精神状態も少し向上しました。寿命、耐久性と引き換えに体の動きも少し良くなりました。楽に死ぬことができる薬があるならすぐにでも使いたいぐらいの痛みと無能感に支配される状況はこれからも一生続きますが、壊れるまでビートセイバーを続けていきたいと考えています。ビートセイバーは楽しい。ビートセイバーをしていると、一振り一振りからくる痛みの苦しみよりも快楽物質からくる幸せのほうが大きい。競い合うことでしかコミュニケーションをとれない戦闘民族として一万ppクラスで戦うことを目指して孤独に鍛錬していきます。技術的なことは、みんなが知ってる当たり前のこと以外かけないのでビートセイバーによる人生改善の一例を書かせていただきました。ここまで読んでいただきありがとうございました。
謝辞
配信に来て会話をしてくださる方、楽しい譜面をくださる方、クリアした譜面をくださる方、対よろしてくださる方、"""お金をくださる方"""、ビートセイバー以外の配信を楽しんでくださる方、JBSLで競い合ってくださった方、マルチで一緒に遊んでくださる方、みなさまのおかげで心が保たれています。ありがとうございます。そして、このゲームをお勧めしてくださったまげっこさんに格別の感謝をお送りしたいと思います。いつかノーガードで殴りあえることを期待しています。
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