葉加瀬太郎さんのコンサートでグッときたこと。
年末に妹に誘われて、葉加瀬太郎さんのコンサートに行ってきた。
ライブなんて何年ぶりだろう?
満席で、年代層もバリエーションがあって、でも、どちらかといえば、ミドルシニアの人が多い印象。(安心w)
葉加瀬太郎さんとTHE LADS(らっず)というバンドの共演。
前半が、LADSのオリジナル曲で、後半は、葉加瀬さんの曲。
そのLADSというバンドは、コロナ禍に結成したそうで、たしか、一番若い人で51歳(と記憶)、平均60歳くらい。
つまりは、ミュージシャンとして超ベテランが揃っている。
メンバー紹介の際、葉加瀬さんはそれぞれの年齢を言うのだ。
それを聴いていたら、なんかもうグッと来てしまった。
「ああ、会社員だったら役職定年を迎えた歳から新しいバンドのメンバになったのか」
「ああ、会社員だったら定年退職再雇用の年齢で、新曲作ったのか。素敵な曲だな」
など、いちいち「会社員だったら」と頭の中で妄想してしまい、それでグッと。
会社員として55歳とか57歳とか60歳って、「どちらかというと卒業間近な人」とか「管理職としては終わりな人」という扱いになりがちで(そうならない企業も少しずつ生まれてきているけれど)、「新しいことなんてやらないだろう」と思われているし、「新しいことに取り組むこと」を期待もされていないケースが多いと思う。
だけれども、葉加瀬さんが率いるTHE LADSというバンドは、ほぼ全員が、役職定年以上の年齢で、新しいことに挑戦している。
音楽に詳しいわけじゃないけど、演奏も素晴らしいし、ハーモニーもよい。
そして何よりも楽しそう。
まだまだ頑張るぜ、だってやりたいことあるから。という雰囲気が舞台から漂ってくる。(3F席の奥のほうだったので、ステージ上はほぼ豆粒みたいで、ほとんどの時間は、モニタースクリーンを見ていた)
会社員をしていると、55歳とか57歳で「役職定年」(=役職からは降りてねと言われてしまう)とか60歳で「定年退職」(=正社員じゃないかんねと言われてしまう)とか65歳で「雇用延長もここでおしまいねと言われてしまう」(=会社としてはもう不要だかんねと宣告される)・・・といった感じで、組織から続々と「あなた」は「終わり」を突き付けられ続けるのだけれど、それは、会社という狭い世間の中での話なんだなとしみじみ思ってしまったのだ。
・・・なんて話をコンサート後、切々と熱く語ったら、妹に「えー、そんなこと考えて観ていたの!?」と笑われてしまった。
ところで、コンサートなんだけれど、葉加瀬太郎さんが「エターナル」という曲を演奏中、そろそろ終わりだな、というところまできて、突然、バイオリンを止めて、「間違えた、ごめんなさい!」と言った。え?どうなるの?と思ったら、しばらくステージ上でこしょこしょ打ち合わせをしたうえで、頭から演奏しなおしたのだ。
2回目はうまく行って(というか1回目もどこを間違えたのか全然わからなかったが)、「この曲は、とてもストレスフルなんです」とご自身がおっしゃっていたので、何かが難しいのかも知れない。
で、この「エターナル」という曲が本当に良くって、私は帰宅したら、「葉加瀬太郎 エターナル」で検索して、2枚組アルバムをポチってしまったくらいだ。
葉加瀬太郎さんはむかーしから知っているけど、特にファンというわけでもなかった。だけれど、ライブで聴いたその音楽や途中に挟まる面白トークを聴いていて、すっかりファンになってしまった。今年もぜひ、ツアー、行ってみたい。
こういうコンサートって、固定客のようなファンが当然多いけれど、こんな風に新参ものが混ざることで、また新しい客層を開拓できるわけで、どの世界でもそうだだ、ファンだけで運営するんじゃなくて、どんな人でもどうぞ!って門戸を開き、新規流入も常に増やしていくことが大事だな、なんて、まあ、どうでもいいマーケティング的なことまで考えてしまった。
年末年始は、コンサートに行ったり、映画3本見たり、本を読んだり、結構文化的に過ごしつつ、来し方行く末をあれこれ考える時間を過ごせた。
いやあ、ライブ、いいなー。色んな人のライブ、行ってみたい。