あなた以外、全員嫌い。
今まで出会った人達全員、特に好きでもない。
むしろ嫌いな気持ちの方が成分として多いだろう。
ささいな出来事などはもちろん覚えてない。
残っている記憶からの印象、それ以外の何でもない。
ただそれだけでしかなく、もれなくみんな嫌いだ。
今、誰かに会える事ができるとするならば、いったい誰だろうか。
迷いもなく答えるその人物は、祖母と母親。
他に会いたい人など誰一人としていない。
こんな、自分嫌いな自分を生んでくれた。
最初で最後、何も知らない人間を育ててくれた。
物心ついた時はいつだろうか。
今でも浮いた足をぶらつかせて、後に私は私の存在を否定し始めるなどと思うはずもなく、ただ健康であれと願いそんな人間を生み育ててくれた、そんなあなたに会いたい。
楽しくてそれが欲しかったから、それを選んだんだ。
それしかなかったわけじゃなくて、選択して私はそれを選んだんだ。
でもつまらない、気にくわない。
それは何故なんだろう。
結局は、誰もが寝静まった夜に部屋で一人、こっそり声を殺しながら笑ってるのがお似合いだった。
一人遊びに明け暮れたまま。
夕方になっても帰らないまま。
どこまでも感じた自由がみぞおちの痛みを和らげる。
にじんだ世界をクリアにする。
誰にも話さないし誰も知らない、僕しか知らない世界の話。
眠れない時はいつも、でべその私のお腹をさすってくれた。
宇宙を右回りに円を描くように。
あなたがくれた安らかな世界。
私はいつも泣いていたが、あなたがいたから泣きやんだ。
あなたに会いたい。