#35 綱引きファシリ/しげるんのThird Lifeの旅9(東京編2)
東京で同業のNPO法人と情報交換をさせていただきました。日本を代表する「センターof 中間支援センター」ですから、事業内容もレベルが高く、さまざまなネットワークを持っておられて、大変参考になりました。
中でも、全国の中間支援組織の状況についての話題はとても興味深く、中間支援組織のあり方が大きなターニングポイントを迎えていることを実感しました。この話は機が熟してから改めて書くとして、今回は企業とのコラボレーションの話です。
🔶綱引きファシリテーションの妙
企業からの相談も多く、その延長線でコラボして、社会課題の解決に向けて立ち上げているプロジェクトをさまざまに進めておられます。その際の企画会議やワークショップでのやり取りに関して「なるほどの課題意識の持ち方」を実感しました。
なるべく多くの人の意見を引き出す、一部の人の意見に引っ張られない、全体の納得感が得れるようなキャッチボールコミュニケーションに留意するなどなどは、ファシリテーションスキルとしては当然のことなのですが、特に企業関係者が混ざったときに意識することに話が及んだ時に、私のThird Lifeの旅のテーマのひとつである「ビジネスとソーシャルのバランス」に関わるヒントを得ました。
私自身もビジネスの社会にいた人間ですから理解できる事象ですが、企業人は結論を急ぎます。課題解決と言えばすぐにその方法論を探ります。そして損失を出さない限り、企画精度が70%くらいでも実行に移します。もちろん収益性は高いほどよく、精度は100%に近いほど良いのですが、そのことよりも「損しなければよし」と言う比較的広いストライクゾーンに入っているなら短時間で結論を得ようとする傾向は否めません。
一方、NPO の世界では成果の向こう側にあるものの認識がどれくらいの人に伝わるのかにポイントを置き、時間をかけて「府落ち」を待ちます。我慢のワークショップです。
結論を急ぎ効率を求めるビジネスの世界と「なぜ?」と「府落ち」を求めて主体形成を目指すソーシャルの世界の綱引きの構図が浮かびます。
お互いが力を合わせてひとつの課題を解決しようとしている協働の場でも、成り立ちというか、DNAから発祥するいくつかのハードルがまだまだ存在していて、このことが双方の象徴的な特徴になっています。
成果だけの積み重ねではなく、プロセスにさえ効率を求めるのではなく、「何のために行うのか」や課題解決を通じた主体形成に思いが及んだ時、ビジネスとソーシャルのバランスが取れた熟度の高い社会がつくれると信じています。
次回は、Good&New/最近感じるちょっといい話です。