マンションを買うこと(阪神間)
こんにちは たなかです。
「マンションが高すぎる・・・」
先日ご案内した奥様も、リノベーション再販業者さんも、大手仲介の若い子も、口を開けばみんなコレです。
本当に高いですよね。新築分譲マンションの販売価格なんか、2000年代初頭の2倍以上になっています。もう高い価格に目が慣れてしまって、新築に住みたければ、最低6,000万円以上、みたいな感覚が身についてしまいそうです。
中古も負けていません。築10年以内の物件が新築分譲価格の500万プラスで取引されるなんて当たり前。20年前に1,980万円で分譲された部屋が、綺麗にリフォームされて、3,480万円で華麗に登場などなど。もうどうするんだコレ状態。
なんで阪神間(特に坂の少ないフラットな場所)の不動産価格はこんなことになってしまったのか?建築費の高騰は、皆様もご存じの通りだと思いますので、今回は中古マンションに絞って、たなかの視点からお伝えさせて頂きたいと思います。
一つの原因は、エリアバランスの変化です。
たなかが不動産業界の門を叩いた20数年前、皆様の希望は「阪急沿線」でした。世は完全に山手志向、緑豊かでゆったりした街並みと海まで見渡せる眺望。小型の外車でいかりへ買い物に出掛けるキラキラした奥様達。
住所(アドレス)が不動産の価格を決める時代。阪急からも歩ける範囲だからといって、試しにJRより南側の物件資料を出すと、人によっては嫌な顔をされることもありました。
あれからどのように変化したか?
今、家を購入するご家庭は、ほとんどが夫婦共に働きながら、子育てをするファミリーです。仕事・育児・家事が同時進行で進んでいく毎日。そんなスピード感あふれるご家族は、当然住む場所に生活スコアを求めます。
・歩いて5分のドラッグストア
・24時まで開いているスーパー
・コンビニエンスストア
・ホームセンター
・都市銀行のATM
・朝7時台の梅田行きの本数
・終電の時間
・評判の良い小児科
物件そのものだけではなく、この様な生活直結型の施設に価値を置き、グーグルマップの周辺施設検索で、即座にスコア化する為、ものすごく現実的に物件を探します。バス便での生活をそもそも想定していない人達です。
また、商業テナント側も、JR沿線や阪神沿線など、人口急増中の立地を優先して出店します。鳴尾御影線の青木~深江間なんかドラッグストアが乱立して、昔の面影なんか見る影もありません。
そのように商業と住宅が混在する場所は限られます。具体的には山手幹線以南、43号線以北でしょうか。北に向かって車で走れば10分もかからないような距離。そのような狭く限られた場所での物件の取り合いは、相場を上げることはあっても下げることはありません。
二つ目の理由は改装済物件の増加です。
10年以上前、エンドユーザーさんに売れば2,000万の物件は、買取業者に売れば1,500万でした。今はどうでしょう。市場に出す前に仲介さん経由で業者に打診したら、1,850万円で買付証明が入りました。おっと、あと50万で商談成立ラインです。
買取業者の急激な増加は、過当競争を生みました。東京発祥の業者は、大阪支店を作り、関西に市場を作る為に必死になって買います。下手したら、エンドユーザーを超える価格で競り勝とうとします。今まで一番売りにくかった、築20年選手のマンションにバブル発生です。
そんな無理筋で買った物件を、フルリフォームして、利益まで乗せて売るわけですから、当然、マンションごとの史上最高額は半年ごとに更新されていきます。
改装前の住み倒した部屋は、エンドユーザーさんでも買取業者でも、取引価格の乖離が限りなく狭くなっています。住宅ローン特約が付かない点や、設備に不具合があっても、引き渡してしまえばノータッチでいられる業者買主の方が売主様にはメリットがあります。
でも、そんな天国も終わりが来た感じはあります。普通に考えて、10年前の1.5倍から1.8倍で買わなければいけない相場は明らかに異常です。みんなの財布の中身は増えていないのに、家の値段だけが上がっている現実。市場を見れば、恐ろしい数の在庫は業者売主の区分マンション。
最先端の便利な暮らしは、最高額とセットである事は、不動産業界にいればいやでも分かります。金利優遇を受けても借入金利1.875%だった2000年代初頭に比べて、銀行が自らの身を切って0.475%で借りられるようになった事だけが唯一の救いです。
平坦地物件で時間をお金で買い、街中子育てをやり遂げて、リセール価格で勝負するか。光り輝く大阪湾を眺めながら、バス便のマンションで優雅にワインを傾けるか。10年後はどうなっているでしょう。
最後に…
たなかは阪急以北の坂の上にあるマンションに20年以上住んでいます。買物施設は徒歩圏に小さなスーパーしかありません。西神ニュータウンや六甲アイランドなどのニュータウンになじめず、面積至上主義だったこともあって、不便さを受け入れて予算を収めた結果です。
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