ヨル+オモヒデ
〈 ヨ ル 〉
ヒサシブリニ アメガフリ
スズシイスズシイアキカゼガ
ミナミトキタカラ フイテイル
スズシイスズシイアキカゼガ
カヤ (蚊帳) ヲウゴカス
ヨイキモチ 七歳(大正十ニ年八月三十一日 夜)
末尾に、母 古代子は次のような註記を残しています。「この詩を夜おそく、夏休日記の終りに書いて明日は學校に行くと樂しんで寝たまゝ六十余日肺炎を病んだ。」(母 註)
そして、十一月 千鳥が書いたのは‥
〈 オ モ ヒ デ 〉
十五ヤノオ月サマヲ
タノシンデヰタノニ
ビヨウキデ六十日モ
ネテシマヒマシタ。 七歳(大正十ニ年十一月)
自らの病弱を知る少女の深い〈無念・諦観〉が滲んでいるように読めます。読み過きでしょうか。【千鳥の詩文のすべては HP「田中千鳥の世界」で公開、読むことが出来ます。お時間に余裕のあるときに 是非 お訪ねください。】