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私にできること
金曜土曜と、自分にとって意味ある出来事が続いた。
金曜日、大好きな人にインタビュー。その人の言葉をきちんと表に出したい、人に届けたいという思いがずっとあった。その人の言い方とか、性格とか、そのほかいろいろなことが重なって、聞いてもらいたい人たちが耳をふさいで聞いてくれない状況をずっと見てきた。どうにかできないかと、他人事ながら思い悩んだけれどどうにもならず、どうにもできず。そもそも外野なのでなかなか立ち入ることも叶わず。ただ、その人の忸怩たる思いを聞いてきた。
私にとって大好きな人は大好きなわけで、大好きってことは大事ってことだから、なにかできることをしたい。私にできることは書くこと。そのチャンスが回ってきたとき、迷わず私は飛びついた。
だけど、書くことが決まってから憂鬱だった。
原因のひとつは、その人が自分にも人にも厳しいこと。はたしてその人を満足させるものを私に書けるだろうか。もうひとつは、その人が大好きだからがっかりされたくないということ。「僕たちは表現することでお金をもらってる」と、自分と私を並列で語ってくれる。そんな人に「この程度か」と思われたくない。
大好きな人が求めるレベル以上のものを出したい。出さなくては。
さらに、実は少し前に殴られても仕方ないくらいのことを言ってしまった。余計なお世話なこと、何なら遠ざけられても仕方ないことを言った。人生に口出しし、その場にいた第三者に「無粋なことを言わない方がいい」と叱られた。それには一応理由があって、第三者の前で理性がほころび、感情的な言葉を引き出したかったからなのだが、それもまた余計なこと。一体、私は何様のつもりだったのだろう。
泣きたくなるくらい、プレッシャーに押しつぶされた。この1週間は地獄のようだった。会いたくない、怖い、どうしていいかわからん。仮病を使って逃げ出そうかと思うくらい。
当日、18時からのインタビューに備え、資料やメモを振り返る。これまでの話したことメモ、毎回3時間4時間におよぶチャット、ネット上で見られる過去に撮影したもの。すべてに目を通す。
そして気づいた。「私が書きたいことを書くんじゃない。あの人が伝えたいことを伝えきることが私の役割」。ようやく肩の荷がおりた。
余計なお世話をした私に腹を立ててるなら立ててるでいいじゃないか。それはもう仕方ないこと。とにかく話を聞く。丁寧に言葉を拾う。これまでに聞いたことをもとに、考えてること、思っていることを話してもらう。そしてそれらを他者に伝わるようにまとめること。それが私のすべきことだ。
インタビューはうまくいったのか、失敗だったのか、わからない。最後、「質問の意図というか、組み立てとしてはイケてますか?」と言われてしまった。たぶん、何度かちゃんとした取材を受けてきたから、それに比べると足りてないように思ったのだろう。
足りてないなら、また取材させてもらおう。インタビューを別な形で表に出そう。一回で無理なら、二回三回と記事を書こう。どこで出す、って問題はあるけれど。
プロとして恥ずかしいことかもしれない。でも、プロとしてよりも、友だちとして、言葉を聞いてきた者として、できることをしたい。あきらめない。これは絶対に。
翌土曜日、夜中のバーでとあるきっかけで出会った人と久しぶりに再会。
「note、こっそり読んでます。好きです」と言ってもらった。ありがとうございます。
そう言ってもらえたら、この先も書き続けようと思える。仕事になるかわからないけれど、書くことをあきらめない。読んだ人と取材対象となる人にほんの少しでも震動を与えるようなものを書きたい。書けるようになりたい。そのためには、まずは書き続けること。
12月で今のメインのバイトを終了する。もう少し精神的にも、時間的にも余裕を得て、書くことに向き合いたい。たとえお金にならないとしても、書くことは私の生きることの一部だから。
いやしかし、インタビューが終わっただけだ。記事が完成してはじめて、ああだこうだ言える。
今のベストを尽くす。そして取材対象が驚くようなものにつくりあげる。まだやれることはある。締切のギリギリまで、ベストを尽くそう。
「毎回同じことはしたくない。挑戦せずに、毎回ある程度の表現しかできないような人生にはしたくない。
クライアントワークにおいてクライアントを満足させるのは当たり前。それは最低限のこと。(プロなら)クライアントを驚かせないといけない」
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