お金のために働くこと

　年末年始、リアルバイトをした。
　とある施設？で、受付したり、レジしたり、掃除したり、業務内容はいろいろ。思うところはあったけれど、それはまあ終わったことなので、胸のうちにしまっておこう。
　12月分のお給料は振り込まれていて、残り1月分が来月振り込まれる。実は書類がまだ出せておらず、それにもかかわらず振り込んでもらえた。ありがとうございます。

　もう職務完了、施設の性質上、「ついでに」立ち寄ることはないので、今日わざわざ届けに行ってきた。
　受付にいたのは、渡すべき相手。その人が久しぶりに福井で仕事しているので、届けに行ったのだ。
　この施設は全国に4つあり、その人は4つを回ったり、本社のある大阪へ行ったり、家のある北海道へ戻ったりしている。施設と本社は近いとはいえない距離、高速で数時間かかる距離。でも、家は北海道なので遠いったらない。

　その人は、もともと北海道で暮らしていた。でも、稼ぎが少なく、とても生活は厳しかったそうだ。もっと稼げる仕事はないか、探していたときに今の会社と出会い、転職。同じサービス業ではあるけれど、まったく違う仕事、しかも北海道から大阪、さらには全国を飛び回る仕事に就いた。
　年末年始、その人は28日まで福井で仕事をし、29日に大阪本社へ移動。その後、お正月を北海道ですごし、また大阪へ。そして大雪後の福井にやって来た。
　基本、1週間単位での移動生活。この先、さらに施設は遠い遠いところにできる予定だとか。もちろん、そこへも行くそうだ。

「そんなに移動ばかりで大変じゃないですか？」
そう訪ねると、私と同じか、いくつか年下のその人は
「全然。楽しいです」
と笑った。
　お金がなくて生活が厳しく、旅行も行けなかった。今はお金があって、しかも会社のお金でいろんなところへ行ける。毎週のように違うところですごせる。こういう生活をしてみたかった。

　生きがいとか、やりがいとか、やりたいこと、夢の実現とか、きれいな仕事の選び方もあるけれど、生活のため、お金のためにする仕事の選び方もある。だって、お金がないと生きていけないもの。養う家族がいれば、なおさらお金は必要。
　自分が移動したいから、じゃなく、仕事のために移動を週単位でするの、大変だと思う。移動先は自分が行きたいところじゃない。でも行く。仕事だから。お金稼がないといけないから。

　すごいなーと思う。単純に、本当に、すごい。50歳で週単位で、数時間運転して移動を繰り返すの、肉体的にキツイもの。移動した後、息抜きする間のなく仕事をして、また移動。
　しかもその人は、仕事もそういう生活も楽しんでる。
　尊敬しかない。

　やりたいことやって大きなことを成し遂げた人もすごいけど、その辺、身近なところにいるなんてことない人もすごかったりする。目立つ、わかりやすいすごさだけでなく、なんてことないすごさも、見逃さないでおきたい。
　そして、自分もなんてことないすごい人になりたい。