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「スーパー見切品戦争:命をかけたヨーグルト救出劇」

それは命をつなぐ仕事。

しかし、私が今立っているこの戦場は病院ではなく、スーパーの見切品コーナーである。

ここに並ぶ品々、彼らは皆、賞味期限という名の寿命が目前に迫り、今まさに助けを求めている。

今日も私は白衣の代わりに、エコバッグを片手に救命活動を開始する。

その日、目の前に倒れていたのは、ヨーグルトだ。

「おい、こいつはあと1日だぞ!」私の脳内で鳴り響く警報。

冷蔵庫の奥から発掘されたそのヨーグルトは、もはや自力で生き延びることは難しい状況に陥っていた。

パッケージには「50%引き」のラベルが輝いている。

このラベルは、最後のリハビリチャンス。

私の手にかかれば、このヨーグルト、あと数日延命できるかもしれない。

しかし、その瞬間、後ろから近づいてくる足音…。

振り向くと、そこには超ベテランの見切品戦士——

そう、“バーバリアンおばあちゃん”だ。

彼女の目は、まるでライオンが獲物を狙うような鋭さ。

戦いの匂いが漂う。

ヨーグルトの命はまさに風前の灯、今救わなければ、彼女のカゴの中で死を迎えることになるだろう。

私は一瞬の躊躇もなくヨーグルトを手に取った。

「すまない、バーバリアンおばあちゃん…この命は、私が預かる!」と心の中で叫びつつ、次のターゲットを探しに行った。

次に目に入ったのは、見切り品棚の隅で静かに佇む袋入りのレタス。

その外見からしても、もうカウントダウンは始まっている。

しかし、このレタスには他の見切り品と違う「未練」が感じられる。

もしかして、まだ食卓で輝きたいのか?

私は瞬時に判断した。

「オペ開始!」と、手を伸ばしたその瞬間、またもや横から迫る脅威。

なんと、今度は若きエース、スーパー界隈の新星“割引シールボーイ”だ!

彼のスピードは神速。

まさにラグビーのトライを決めるかのように、私の目の前でレタスを華麗に奪取。

そして、まるでオリンピックの選手がゴールドメダルを掲げるように、そのレタスを掲げ、勝ち誇った顔で去っていった。

私は思わず声を上げた。

「お前、プロだな!」。

負けた気はしない。

戦いには勝者と敗者がいる。

それだけだ。

だが、私はまだ終わっていなかった。

最奥の見切品エリア、そこに輝いていたのは、なんと幻の食パン。

全ての見切品ハンターが狙う、スーパーの「キングオブ見切り品」である。

50%オフ、さらに「今日が最後!」と書かれた赤いシールが貼られている。

これは命の綱、これを手に入れた者こそ、見切品戦争の覇者。

だが、私は悟った。

このパンは…もう手遅れだ。

家に持ち帰るも、すでにフワフワ感は消え失せ、パンというよりは何か別の物体に変わりかけていた。

その瞬間、私は深く息を吸い込み、思わずこうつぶやいた。

「見切品救命には限界がある…」

それでも、また私は戦場に戻るだろう。

次こそ、命を救えることを信じて。

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