農業型と林業型の混在は経営戦略を揺るがす[前編]

営業戦略の型(農林水産型3タイプ)が経営戦略に必要かどうか

別段、営業戦略の型(農林水産型三つの型)※を知らなくても経営できますが、

【農業型】と【林業型】が混在すれば、のちのち、会社の維持にかかわる場合があります。

【農業型】既存顧客 維持型

第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
     ↓
第2段階)おしえる = 広報 = Interest(関心)= 理解強化 = 義
     ↓
第3段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
     ↓
第4段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利

【林業型】新規顧客 開拓型

第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
     ↓
第2段階)すすめる = 販促 = Desire(欲求)= 利益追求 = 利
     ↓
第3段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利

【水産型】新規顧客 開拓型

第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利
     ↓
第2段階)売る = 販売 = Action(行動)= 利益追求 = 利

誰しも、商品を売ろうとする時、【農業型】【林業型】【水産型】に共通する、

  第1段階)知らせる = 告知 = Attention(注意)= 利益追求 = 利

から始めることになりますね?具体的には、

・広告を出す

・電話でアポイントを申し込む

・飛び込む

・チラシを撒く

・店舗を開く

です。そうして、商品を知らせて→ すすめて→ 売る【林業型】か、あるいは、

店舗へ集客したり、通販で注文を待ったり、チャネル全体として動く【水産型】になります。

営業戦略を作らなくても、当社には当社の営業戦略がある理由

 商品を知らせて→ すすめて→ 売る【林業型】

のほうが、

 商品を知らせて→おしえて → すすめて→ 売る【農業型】

よりも工程が少なく、手間なく、面倒がなく、

また、

【林業型】は、高度経済成長期に、営業活動の手本のように浸透しましたので、

「売れ」と命じる経営者も、

「売れ」と命じられる営業社員も、

これが営業活動だと思って疑いません(バイアスがかかっています)

そうして、商品を売ろうとすると、【林業型】という概念がなくても【林業型】から入ります。


既存客の増加と維持を見越し、面倒くさい【農業型】から入るケースは稀です。

稀というより(筆者のクライアント以外)お客さま以外へもクリスマスカードを送る企業なんて見たことがありません。

【林業型】から入ると、営業活動は、新規重視の【林業型】から、既存顧客を維持する【農業型】へ、ゆるやかに推移します。

(マンション販売のような売り切り商売を除く)

それもそのはず、新規営業すれば、既存客が増えるからです。

既存客が増えると、忙しくなって、新規営業している場合じゃなくなります。

たとえ、新規開拓するとしても、早く売上になりそうな既存客への対応が優先され、片手間になってしまいます。

そうして、いつしか、ゆるやかに、新規客が減ります。

ところが、既存客も、確実に、減ります。BtoCであれ、BtoBであれ、絶対に減ります。


さらに、既存客のみでは、売上が伸び悩むようになります。

そこで、新規客を増やそうと、経営者や部門長は、

新規!新規!

とハッパをかけることになります。その一方、

昨日も「売れ」

今日も「売れ」

明日も「売れ」

と、早い売上(既存客からの売上)  も  命じます。


こうして、【林業型】と【農業型】が混在し、

「当社の営業戦略」

が出来あがります。個々の営業マンに最も負担がかかる(笑)戦略です。

【林業型】から【農業型】へ推移すると経営者は組織を動かしにくくなる

【林業型】と【農業型】の混在型は、個々の営業マンに最も負担がかかる反面、裁量が広いため、

個々の営業マンそれぞれに、営業戦略(経営戦略から見れば営業戦- 術 -)を立てます。勘で立てる営業マンもいます。

わかりやすくいうと、

経営者「戦術は、任せるから、新規だろうと、既存だろうと、早く売り上げよ」ということです。


新規を開拓しつつ、既存客からも売り上げるには、

・自分のやり方(オレ流)

が必要です。それを確立できなければ、一層、苦労することになります(最悪、退職を余儀なくされます)

営業マン個々に、それぞれのオレ流が確立すると、もはや、経営者であっても、組織をコントロールしにくくなります。

ぶっちゃけ、言うことを聞かなくなります(笑)

営業マン個々からすると、数字をあげるために一生懸命やっているのですから、

「オレにはオレのやり方がある」

と、面従腹背とまではいかなくても、自分のやりやすいように、自分が立てた営業 戦 略 で、数字を取りに行きます。


こうして、営業戦略(の型)という認識なく、

【林業型】から【農業型】へ推移すると、

経営者は、営業組織を動かしにくくなります。

【林業型】は【農業型】は、企業の成長過程で混在する

それでも、右肩上がりに売上が伸び、利益も増え、資金が回っていれば、問題ありません。

ところが、売上が伸びて、会社が大きくなると、なぜかしら、資金が足りなく(回らなく)なります。

よくよく考えてみれば、当たり前な話で、売上が大きくなると、支払う仕入れ額も膨らみます。

入金より、出金のほうが早いケースも出てきます。

さらに、人が足りなくなって新しい人を雇用すれば新しい人件費が発生します。


手狭になって、広いオフィスへ移転すれば、家賃やリース機器も増えます。

わずか数十万円であっても手形で支払う顧客が増えます(手形とはいえ、半年手形なら、半年先まで、紙っぺらです)

こうして、成長すればするほど、今の売上や利益では足りず、もっと、お金が必要になります。

(そのリスクを回避するために成長よりも維持する路線を採る経営者もいます)

お金が必要になるのは、来年さ来年の話じゃありません、来月さ来月の話です。


こうして、

先月も「売ってこい!新規でも既存でも、どっちでもエエねん」

今月も「売ってこい!新規でも既存でも、どっちでもエエねん」

来月も「売ってこい!新規でも既存でも、どっちでもエエねん」

の繰り返しになます。いつの間にか、短期的に売る先が、

「新規でも既存でも、どっちでもエエねん。売上金が入るなら」

と、短期的に売る【林業型】と、既存客を維持する【農業型】が混在します。

混在したまま、経営が安定すればいい(カネが回ればいい)のですが、

大企業 vs 大企業の取引でもない限り、既存客は、確実に減ります。


かといって、営業組織は、コントロールしにくい。

そこで、ヒト・モノ・カネを動かす経営戦略のうち、ヒト(人事戦略)を採用する(固定費を増やす)ことになるわけですが、

そこには、大きな「理想と現実のギャップ」が待ち受けていた(笑)のでした。

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