人の集まるところに市場あり
既成の生産形態や流通形態を変える戦略
BtoB(Business to Business)は、企業間取引のこと
で、
BtoC(Business to Consumer/Customer)は、企業対個人取引のこと
で、
卸や問屋が介在する日本の流通形態は、
[B1]加工メーカー →to→ [B2]問屋 →to→ [B3]小売 →to→ [C]個人客
の
BtoBtoBtoCが多く、
この流通形態を守り続け、破れなかった日本の有名家電メーカーは、次々とPC市場から撤退していきました。
(今月、東芝も、個人向けPCの縮小を発表。残るは、富士通のみ)
シェアを伸ばしているのはドコかというと、メーカーの常識で有り得なかった少量別注生産を実現したDELLや、中国のレノボと提携したNECでした。
このように、既成の生産形態や、流通形態を変える戦略は、ライバルを、市場から軒並み駆逐する法人戦略たり得ます。
ついでに、
BtoG(Business to Government)は、官公需契約のことで、ホームページの制作や、調査、運送、害虫駆除に至るまで入札に参加できます。
余談ですが、一昔前に「役所から受注したいな」と思えば、当該部局の掲示板を見に行かなければなりませんでしたが、
今は、インターネットで検索できるんですから、便利になりましたね。
そして、本題の、BtoE(Business to Employee)
目新しくも何ともありません、職域販売や、社内販売のことです。
念のために、職域販売を、短く三行で解説しますと、
・企業の社員食堂、休憩所、会議室に
・商品を陳列して
・社員向けに販売すること
で、社員のみ(市価よりも安い価格で)買えますから、クロ-ズドマーケット(会員制や招待制)と同じこと。
無人の職域販売 vs 有人の社内販売
職域販売といえば、宝飾や服飾の販社が、ショーケースや陳列台やレジを持ち込んで、店舗よろしく本格的に販売している場合もあれば、
宝石を詰めた鞄を広げて、露天商よろしく販売している場合もあれば、
家具や寝具といった大物を展示販売している場合もあり、様々ですが、
こうした職域販売は、広い販売スペースを確保できる大企業の本社や、工場等に限られます。
そうした販売スペースなくして、無店舗で職域販売しているのが、ヤクルトや生保や証券。
職域販売は、職場で販売することですから、食堂の運営を外部へ委託している場合の学食や社食も、広義に(福利厚生としての)職域販売ですし、
企業内での展示即売会も、職域販売です。(たとえば、某メーカーの社内では、地方自治体の物産展を開催しています)
一方、社内販売で一般的なのが、自動販売機や、カタログ販売。
カタログ販売は、注文用紙つきのカタログや、パンフレットが回覧されてきて、希望者のみ申し込む仕組み。
とはいえ、取引先の商品を、半ば強制的に、付き合いで買わされることもあるようです。
前者の自動販売機といえば、飲料ばかりでしたが、おにぎりやサンドイッチ等の軽食も買える自販機をファミリーマートが導入。
自販機のみならず、置き売り方式も多様化してきました。
富山の薬売りと、ヤクルトレディと、BtoEを組み合わせたオフィス・グリコは、十年目にして、初の黒字。
ネスカフェも、ネスカフェ・アンバサダーを始めました。
そう考えると、BtoE(Business to Employee)は、
1)有人の職域販売
と、
2)無人の社内販売
に
二分できます(が、但し、そのような定義はありません。筆者なりの分析です)
人の集まるところに市場あり
こうして分析してみると、
「有人の職域販売は、人件費がかかるから、難しいな」
「無人の社内販売なら、手間がなくて、いいな」
と思われるかもしれませんが、
食品自販機は、おそらく、ファミリーマートが代販店になっているベンダーと契約できるだけの企業力が必要でしょうし、
オフィス・グリコや、ネスカフェ・アンバサダーのように、ヒト・モノ・カネを費やせる体力が要りますから、
ドコの企業でも、そうカンタンに開拓できるBtoE市場ではありません。
そこへいくと、有人の職域販売のほうがカンタンで、たとえば、
・靴みがき職人が、靴みがきセットを持参して、靴みがきサービスを販売する
ことができます。その路線で水平展開すれば、昼休みや、平日の休業日に、
・美容師が、カットやセットを販売(整体師が、肩たたきを販売)
することもできます。
しかし、最大で市価の三割も値引き販売しなければなりませんから、儲けようとすると、割に合いません。
そこで、マーケティング的に、職域では売らず、トライアルでベネフィットを体験してもらうとすると、
・歯科医が、無料で虫歯をチェック → 治療は歯科医院で
・弁護士や司法書士が、無料の法律相談会を開催 → 正式な依頼は事務所にて
・座って試せるマッサージチェアを展示 → 申し込み先はパンフレットに記載
といった新規客の草刈場になります。広告を出すよりナンボ安上がりでしょう。
つまり、一億円のリスクを背負うわけでもなければ、ライバルがやっていない、思いも付かない市場を見つけ、流通形態や生産形態をかえてみるのです。
このように、人が集まるところに市場はあります。マーケットは企業の中にもあります。