弁護士のプロモーション
価値が分からなければ来ない
前編にて、商品の価値が知れ渡っている商売は、店舗や事務所を構えて、待ち受ける営業に向いていると述べました。
小売店と同じですね。牛乳の価値を知っているお客さんはスーパーへ行きますし、
電動ドリルの価値を知っているお客さんは、ホームセンターへ行きます。
その反面、商品の価値が知られていない商売は、待ち受け営業に向きません。
なぜなら、どんなメリットがあるか?わからないため、わざわざ、
・電車賃やガソリン代の移動費を払ってまで、
・移動する労力を使ってまで、
・移動の時間をかけてまで、
目に見える商品も設備もない法律事務所へ行かない(行きたくない)からです。
つまり、お客さんのメリットが分からなければ相談に来ませんから、開店休業やむなし。
夫婦が死別すると相続ということは、離婚問題のように、何なら相続に結びつくか考えることです。
相続の登記は、司法書士のみ与えられた職権ですから、相続の税務申告ができる税理士と、仕事を紹介しあうパートナーになれます。
紹介のパートナーを選ぶときは、紹介してくれる相手を選びましょう。
国が運営している法テラスのように、無料の法律相談であっても、法的な問題が起こるまで、行きません(行く必要がありません)
では、いつ、法的な問題が起こるかというと、誰にも分かりません。
明日かも知れませんし、一年後かも知れません。
法テラスは、国の法人ですから、相談者が来なくても、つぶれませんが、個人の法律事務所は、お客さんが来なければ、つぶれます。
では、どうすれば良いか?というと、いつ起こるか誰にも分からない法律問題が起きたときに、思い出してもらうことです。
どうやって?
大手の事務所はTVCMを流しています。電車やバスに広告を出している事務所もあります。
プロモーションの中で広告費が最も高額
参考までに、ザッと広告費を一覧にしますと(目安です)
TVCM(キー局一回15秒)75万円※制作費を含めて総額一千万円以上
TVCM(地方局一回15秒)20~50万円※制作費を含めて総額500万円以上
新聞(朝日読売全国版)全五段 1,500万円(もちろん一日一回限りです)
新聞(地方紙)全五段 100~200万円
ラジオ(東京一回20秒)70万円
ラジオ(大阪一回20秒)40万円
ラジオ(地方一回20秒)10~20万円
雑誌(4カラー1ページ)150万円前後(専門誌は50~100万円前後)
電車の窓上(JR山手線4日間)80万円
バス(都バス窓上一週間)50万円
バス(地方バス窓上一週間)2~9万円
電柱広告(都心1ヶ月一本)2~3,000円※別途プレート1枚@1万円
電柱広告(地方1ヶ月一本)1~2,000円※別途プレート1枚@1万円
新聞チラシ一万枚 15万円(配布料@5+印刷費@10※枚数に因る)
(上記は、あくまで目安です。広告費は、セット料金等々、細かく設定されています。また、すべて制作費別です。枚数やデザイン会社によって異なります。
制作費は、タレントを含めると、知名度にもよりますが100万円以上。写真撮影を含めると、カメラマンにもよりますが、1カット10万円以上かかります)
こうして比較してみると、新聞チラシが最もリーズナブルなように見えますが、一万枚でしたら、反応が1~9件あれば成功でしょう。反応ゼロでも、おかしくありません。
大手の事務所や、非弁提携弁護士事務所は、こうしたハイリスクと引き換えに新受を獲得しています。
作戦(戦略と戦術)を立てよう
広告費が高いから、ホームページにするという発想になるのでしょうが、Webサイトにしても、PPC広告に、毎月、数万円以上を費やしていますし、SEOにも余念がありません。
大手の事務所は、それだけの費用を支払っています。
それらのサイトと戦って、勝ち上がらなければ、上位表示されません(誰にも見てもらえません)
現実は、ほとんどの個人事務所が、毎月数十万円どころか、数万円の広告費を払うのも大変でしょう。
ならば、せっせと名刺を集めて、毎月、ハガキを出すことです。長期接触営業戦略です。
ハガキならば、1,000枚送っても、官製ハガキ代52,000円で済みます。
一人の営業マンを雇用するより、ナンボ安上がりでしょう。
1,000人の顧客母数があれば、1~2名の個人事務所なら、何とかやっていけるでしょう。もっと儲けたかったら、顧客母数を増やすことです。
ハガキの印刷費は、片面モノクロ一色なら2~3千円、4Cカラーでも1~2万円で済みます。(ハガキ 印刷 で検索してみて下さい)
問題は、ハガキに何を書くか?です。
これは、TVCMにしても、チラシにしても、ホームページにしても同じ。
Webサイトを作るだけなら、筆者(シロウト)にも出来ます。
要諦は、ハガキというツール(武器)を使って目的を果たす作戦(戦術)です。
それが、ハガキに何を書くか?ということ。
たとえば、季節柄、これから準備するハガキの一つに、暑中見舞いがあります。
暑中見舞いを、戦術と見なさなければ、よくありがちな、
『暑中お見舞い申し上げます。当事務所は、8月13日~17日まで夏季休業します』
という暑中見舞いを送るでしょう。それはそれで構いません、慣習ですから。
ところが、「これは、こういうものなんだ」という既成概念を取り払う長期接触営業戦略におけるハガキ戦術ですと、受け取った人が、
『あの先生らしい暑中見舞いだなあ』
と顔が浮かぶ暑中見舞いを送ります。これがリマインダーになり、
『何かあったら、あの先生に頼もう』
と思い出してもらえます(筆者のクライアントなら、その効果を体験したはず)
■ 使い方を教えてあげよう
戦略下における戦術は、ハガキ戦術だけではありませんし、ハガキ戦術も一つではありません。いくつものオペレーションがあります。
では、暑中見舞い以外に、どんなハガキ戦術があるのでしょう?
一つは、弁護士の使い方を教えて差し上げることです。
ハガキ一枚に、原稿用紙一枚(400文字)入りますから、ショートストーリーならば、充分な容量。
たとえば、離婚問題を専門にしている弁護士ならば、裁判の前後も使える例を載せ、紹介も促します。
例)ヘッドライン『 結婚で失敗したくなかったら?弁護士を使おう! 』
サブタイトル『 知り合いに 思わず教えてあげたくなる 弁護士の使い方 』
ボディコピー
・故やしきたかじんさんと、妻さくらさんの遺産相続問題、ご存知ですか?
・結婚しても、お互いの財産が別であることを取り決めておけば、あのような
泥沼になりませんでした。
・結婚前に、婚前契約書を交わしておけば、相続でモメることはありません。
・婚前に限ったことではありません、今からでも遅くありません。
・たかじんさんのような死別で、はたまた、離婚で、夫婦や家族が、愛憎劇を
繰り広げることの無いよう、契約書を作っておくと良いですよ。
・この弁護士の使い方を、こっそり、お知り合いにも、教えてあげてましょう
・当事務所なら、法的に効力のある契約書を作成できます。
・ご興味がありましたら、お電話ください(お電話だけなら、無料です)
これが弁護士のプロモーションであり、ハガキ戦術です。
ボディコピーが290文字ですから、ヘッドラインやサブタイトルと組み合わせてレイアウトしても、ハガキ一枚に余裕で入りきります。
これで、一回(ひと月)分の接触が可能になります。
もちろん、弁護士本人が、いちいち営業しに出向く必要ありません。
参加者が集まるかどうか心もとないセミナーなんか開く必要もありません。
電車賃もガソリン代も要りません。
やるべきことは、ハガキの原稿を作って、原稿データを、通販印刷へ送るだけ。
ハガキが納品されたら、宛先を印刷して、ポストに入れるだけ。
2,000通以上なら、郵便局へ持っていって、割引を申請するだけ(2,000通なら一万円ちょっと安くなります)
ハガキやホームページ等の武器を作ることが重要なのではなく、こうした作戦(戦略を具現化するための戦術。戦略戦術)を立てることが重要です。
使い方は価値になる
弁護士にしても、司法書士にしても、行政書士にしても、
『使い方を教える』
というと、なぜかしら「相続とは云々」「離婚とは云々」と法律を教えたがる傾向にありますが(先生だから?)
お客さんは、法律が知りたいんじゃなくて、
自分にとってのメリット(価値)が知りたいわけですから、
どんなメリットがあるか、いくつかネタを挙げて、年に何度かハガキを出して、
「こういう使い方がありますよ~」
と提案してあげましょう。使い方(用途)は、価値になります。
先の例のプレナップ(婚前契約)にしても5回くらいシリーズ化できますから、一年に一回づつ取り上げるとすると、5年分もの接触ネタになります。
・第2回『相談せずに買い物できる上限額を決めておこう』
ある旦那さんが、勝手に(相談なくして)車を買って来ちゃった例
・第3回『家計費の金額を決めておこう』
ある旦那さんが、家計費で馬券を買っていた例
・第4回『浮気しない!当り前のことにサインできるかどうか契約書で試そう』
口約束は「言った言わない」になり、揉め事の火種になります。
・第5回『日本の離婚率は35%!3組に1組、2分に1組の夫婦が離婚している』
離婚しないために、婚姻契約書を作っておきましょう。婚姻届とは違います。
このようなプレナップ(婚前契約)は、受任額が低くて、弁護士は、あんまりやりたがりませんから、
同じく、法的な契約書を作ることができる司法書士や、行政書士に向いているでしょう。
死別のあとの遺産相続も絡んできますので、司法書士にピッタリでしょうね。
このように、ハガキ一枚あれば、点と点を、線で結ぶ(お客さんのメリットと士業の商品を、52円で結ぶ)ことが可能になります。これが、戦略戦術です。
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