ブレインストーミングの進め方1~4
ブレストの進め方[1/4]参加人数は12名
ブレインストーミングという企画会議の参加人数を、開発者のオズボーン氏は12名と想定していたようで、
https://en.wikipedia.org/wiki/Brainstorming
“オズボーンは、専門家と、初心者の両方を含む、約12人の参加者グループを想定していました。”
(引用ここまで)
一方、ウィキペディア日本語版に書き込まれたブレストの解説によると、
開発者のオズボーンさんとは、まったく話が喰い違う様子。
(以下、ウィキペディア日本語版より引用)
“人数に制限はない。
少なくとも5 - 7名。場合によっては、10名程度が好ましいというやり方もある(中略)
3人ごとの班構成にして、それぞれの班での成果を持ち寄るという方法もある”
(引用ここまで)
ということです。なるほど、日本で、10人以上のブレストは少ないと思いますし、
(全社員で10人に満たない中小零細の広告代理店やマーケティング系の会社が多く)
10人以上でアイデアフラッシュする会議は混乱を極めます(書記しきれません)ので、現実的には、10人以下で行われているにしても、
ウィキペディアのような、知名度が高くて、検索されやすい辞書サイトに書き込むならば、
around 12 participants(約12名の参加者)
と“ブレスト開発者のオズボーンさんは想定していた”と注釈をいれたほうが
訪問者に親切だと思いませんか?
とはいえ、諸事、こうして、伝言ゲームが始まりますので、致し方ありませんが(苦笑)
ブレストの進め方[2/4]参加者の役割は三種類
参加者が揃ったら、ブレストを始めます。参加者は以下1~3いずれかの役割を担います。
1.責任者。発議者のこと。オズボーン氏は“クライアント”と呼んでいた模様。
2.司会進行役(英語で表現するとしたら、モデレーター、ファシリテーター、ディスカッションリーダー、MC、どれも似たり寄ったりの意味)
3.メンバーとゲスト。メンバーは、アイデアを出す当事者。ゲストは、傍聴者(議決権のないオブザーバー)
1.2.の責任者と進行役は基本的に一人ずつなので、他の参加者全員がメンバー、あるいは、ゲストになります。
書記役について、オズボーン氏は触れていませんが、メモして当たり前 ※ が前提なのでしょう(下記『メモの余話』にて詳しく)
現実には、メモしないブレスト、すなわち、井戸端会議は多いようですが(笑)、
それだけ、会議の地位が低い職場なのか(だいたい、想像つきませんか?)
アイデアの価値に、重きを置かないのか(だいたい、想像つきますよね?)
列席の顔ぶれに敬意を払っていないのか(後述)
メモ慣れしていないのか、メモしない理由は、十人十色でしょう。
その気持ち、わかります。同じ職場の人間ばかりでは狎れて、飽きて、敬意もへったくれもありゃしません。
なぜなら、身近な相手ほど、軽んじやすく(良く言い換えれば、親しみやすく)、
遠い存在の、会いたくても会えない相手ほど、重んじるのが人間心理。
だからというわけではありませんが、マーケティング畑の人たちのブレストは、身内で固めず、
狎れ合いを排斥するために、外部の人間を招致し、心地よい緊張感を保とうとするのかも知れません。
しかしながら、業界という縦軸の知人は豊富であっても、業界外という横軸の知人が少ないと、
社外の、誰をブレストに招けばいいのか見当つかず、せいぜい、出入り業者さんに声をかけるのが関の山でしょう。
“ご自分の経験に照らし合わせて、小さくまとめる方向へ持っていく思考”
の弊害の一つです。
近いから無料で来社してくれるという安直な理由で招く、経験が浅い、知識も少ない業者からは、
それなりの意見しか出てこないことを、体験なさった方々は、少なくないはず。
プロの名刺を持ったシロウトです。
むろん、オズボーン氏が言うところのノービス(novices 初心者)から意見を聞くのは構いませんが、
チームの一員として勘違いされると危険です。チームと業者は、いずれも他社といえ、区別するほうが安全。
ビジネスの場合、80%の人脈は、百害あって一利ありませんので(20%は取引)
今の業界から離れても付き合いが続く「人脈」と呼べる存在は1%未満でしょう。
▼ メモの余話 ▼
メモは時空(会議という時間と空間)の記録。ブレストの価値はメモにあり。
ここまでの余談になりますが、かれこれ20年ほど前、無形財を商う会社の常務さんから、
「うちのブレストを見てほしい。アドバイスや意見があったら聞かせてほしい」
と要請があり、
誰一人としてメモしない7~8人規模のブレストに、社外のオブザーバーとして参加した時のこと。
閉会直後に、顔見知りの進行役が、
「では、あと、小笠原さん、宜しく、お願いします」
と、そんなの聞いてないよ~的な(笑)ことを言い出したので、
「聞こえませんな。何のコトでっか?こちとら、NOギャラの傍観者でっせ?」
とは波風立てず(う~ん♪大人ぁ~)
「わかりました」
と、落書きよろしく真っ黒に重ね書きされたホワイトボードを指さし、
「どなたか、この会議のメモを、コピーして頂けますか?」
と呼びかけた瞬間、座の空気が凍りつき、気まずくなったことがあります。
皆さん、わかっているんですよね、メモしなくちゃ…って。
しかし、盛り上がっている井戸端会議が楽しくて、つい、お座なりになって、メモせずに終わらせがち。
散会した瞬間、すべてが水泡に帰したことさえ気づかない。そんなものです。
こうした細部に、ブレスト慣れしていないメンバーの、落とし穴があります。
メモは、議事録と同様、リアルタイムだからこそ、記録できるというもの。
そのメモを清書しておけば、これまた議事録と同様の、公的な文書になります。
なるほど、盛り上がるのは、素晴らしい議事進行ですが、メモ不要の理由にはなりませんよね?
情報が無ければマーケティングは失敗しますので。やま勘でも当たらない限り。
ブレストの進め方[3/4]所要時間
会議の所要時間についてオズボーン氏は「休憩が大事」というのみで、具体的な数字に触れていない様子ですので、
ブレストとは何か解説している幾つかのサイトを覗いてみたところ、45分とも、一時間とも、各社バラバラでした。
30分(驚)というところもありましたが、概ね、60~90分/回が妥当でしょう。
で、終わってしまっては、短か過ぎますので(笑)余談を少々。
以下は筆者の体験に基づきますので特殊かも知れませんが、現実的な所要時間は、人間関係によると思います。
なぜなら、人間関係が良好なメンバーのみ集まると、よもやま話に花が咲いて、なかなか本題に入れないことがあります。
それを「うまくいかない会議の悪い例」と批判する向きはありますが、会議の目的によって、会議の性質も変わるのは、ご存知の通り。
雑談という助走あっての充実したブレストに発展するということは、好い人間関係で座を占める場合、
コアな時間は短く設定するとしても、ハンドルのあそび宜しく、全体的な時間は、長めに取っておくほうが良いでしょう。
具体的には、10:00集合、10:30開始、11:30終了、早めにランチへ…13:00から2セット目…のような流れです。
ランチの時間は、アイドリング中ですから、2セット目から、助走なしで急発進できます。
ただし、これは“肯定会議”のやり方であって、オズボーン氏は、ハンドルの
あそび等、一言も触れておりませんので、誤解なきよう。
いい機会ですので余談を重ねます。
会議は、自らの時間を費やすと同時に、他の参加者の時間も、等しく費しますので、複数人の時給相当が、同時に費やされます。
たとえば、会議に開催費を設定するとしたら、10人の場合、自らの時給一万円のみならず、10人ぶんの時給、一時間あたり10万円が人件費になります。
いわずもがな、満座でのイレギュラーな質疑応答に5分間を費やしたとすれば、質問者一名の5分間のみならず、全員分の5分間が費やされます。10人ならば50分間になる計算。
唐突に質問する場合は、それを念頭に置いて質問すると、浮き上がらずに済むでしょう。
「あやつ、何を得意げになって、重箱の隅つついてんだ?時間の無駄ぜ?」
と。
ブレストの進め方[4/4]マッピング(1)教科書通りのマッピング
(教科書的に申し上げますと)ブレストは、出たアイデアをマッピングしつつ進めます。
・マッピング… まるで地図(map)のように、情報を関連づけて図示すること
議題に関連したアイデアでなければ、的外れですので(※筆者注)、最終的にすべてのアイデアは、一つのマップに収まります。
これをアイデア マッピングといい、複数人の考えを図示できるテクニックです。
(ここまで教科書通り)
※ 筆者注
「アイデアの量を確保するために制限は加えない」
というブレストのルールに、マッピングしながらの議事進行は反している、つまり、
矛盾していると考えますので、マッピングは(筆者の場合)使いません。
(出たアイデアを整理するためのマップですから「マッピングしながら」ではマップ(整理)ありきのアイデアになってしまい、アイデアが制限され、本末転倒になってしまうという理由)
マップを使わないというより、マッピングにこだわることなく、二十近い図解図法や分類技法を用いて(下記マッピング3参照)、情報を整理します。
なぜなら、情報は、整理されて、はじめて、知識になるからです。
分類にせよ、体系にせよ、整理されていない情報は、俯瞰的な知識になる以前に、個々の独立した情報に過ぎません。
ジグソーパズルと、ピースの関係といえば、イメージしやすいでしょうか。
ピースという情報(かけら)を集めて完成したパズルが、知識体系や分類です。
しかしながら、教科書を読みこめば優れたアイデアが出るとは限らないように、
情報を知へ体系化したところで、体系化された知識から、アイデアが出るとは限りません。
遠く離れて孤立していたアイデアが、ある時、
「それがあったか!」
と、突然、主役に躍り出ることがありますので、
アイデアフラッシュの時点では、あらゆる障壁を取り払うほうが、すばらしいアイデアを導き出せるように思います。