営業学[7-2]
絶対的価値と相対的価値
余談が続きます。
たとえば、当店のラーメンは、ギトギトこってりラーメンだというラーメン店もあれば、
当店のラーメンは、サッパリあっさりラーメンだというラーメン店もありますね?
これは、お客さんが誰であっても「当店の味はコレだ」という絶対的な価値です。
揺るぎない絶対的な価値の提案により、商品の個性が際立ち、「あの店は旨い」という評判が立ち、繁盛する仕組み。
絶対的価値の創造による戦略です。
では、たとえば、シルク(絹)の場合は、どうでしょう?
シルク製品を販売しているサイトへアクセスしてみて下さい。だいたい、
「高級」「上品」「贅沢」「なめらか」「優雅」「軽い」「肌触り」「吸湿」
等々の文言が並んでいますが、(私事で恐縮ながら)シルクのパジャマを愛用している筆者にとってドレもコレも無価値。優雅へ一円も払う気はありません。
私にとってシルクのパジャマの価値は、寝返りしやすいため、熟睡できること。
寝返りしやすいということは「なめらか」で「軽く」「肌触り」がいいのですから、価値が提案されているといえば提案されているように見えますが、
「なめらか」だから、何なんだ?
ということです。
なめらかで滑りやすいのですから、身動きが取れずに不快に目覚めることなく、
(1)寝返りしやすい
(2)汗を吸い取る
(3)安眠できる
(4)熟睡できる
(5)健康に良い
と、そこまで分析して「5つのメリットがあります」と提案できますし、それによって、売りたい顧客(ターゲットやセグメント)が決まってくるというもの。
その一方でシルクのパジャマに、上品さ、優雅さ、贅沢感を覚えるユーザーもいるでしょう。それはそれで、その人の価値観です。
このように、お客さんによって価値が変化する場合、絶対的な価値は通用せず、お客さんによって、相対的に価値を変えて提案しなければなりません。
同じように、新規客と既存客では、価値が異なりますから、価値を変え、価値を相対的に伝える必要があります(もちろん双方に共通する価値もありますが)
これが(筆者が提唱する付加価値マーケティングにおける)相対的顧客戦略です。
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