お金で買えない価値がある。買えるものは
用途開発・用途提案
用途提案とは?
「このように使えますよ~」
と、自社商品の使い方を 売 る 側 が 提案すること。
「売る側が」と強調するのは、買う側が思いつく程度の用途提案だと、
「そんなの、知ってるよ」
と訴求力が弱いため、買う側が「おっ♪」と気づきを得られる提案であること。
そうした提案を開発するための方法も取り上げました。5iルールです。
用途開発・用途提案というと「○○○にも、どうぞ」と、一行の短い文章だけだったり、
商品パッケージの片隅に、申しわけ程度に載っていたりしますが、逆です、逆。
用途開発・用途提案の重要性を知る企業は、商品名や、商品の機能よりも先に、用途を大々的に提案しています。
日清のアイスカップヌードルは、カップヌードルをTVCMで宣伝するのではなく、氷を入れる食べ方を宣伝していましたし、
スニッカーズも「ピーナッツ入り」とか「ミルクチョコレートでコーティング」ではなく「お腹が空いたら」という用途で(新しいCMも)一貫していますし、
缶コーヒーのワンダも、朝専用を提案して大ヒットしました。
ル・クルーゼの調理器具は、一つ一つ、用途と、レシピまで提案していますが、
キッチンの飾りに購入しているルクラーも多いそうです。
調理器具を「飾る」という用途も、あるんですね。
確かに、実用より装飾向きなチーズボードや食器がありますし、装飾品として
の陶磁器もありますからね。床の間の壺や大皿とか。
このように、用途開発・用途提案には、商品の種類や、商品名、機能を上回る訴求力(アピールするパワー)があります。
価値開発・価値提案
なぜ、それほどまでに訴求力があるのでしょうか?
用途開発・用途提案は、厳密には、使い方であって、
・日清アイスカップヌードルのような、食べ方
や、
・お腹が空いたらスニッカーズのような、食べ時
や、
・朝専用缶コーヒーのような、飲み時
は、
厳密には、用途提案ではありません。
では、何か?
価値提案。value proposition(バリュー・プロポジション)です。
バリュー・プロポジションとは、価値を提案すること。
価値を提案するというと、よく間違えるのが、商品の機能(スペック)を提案してしまうこと。
たとえば、プロダクトアウト(技術優先)だった頃の自動車。
最大出力350馬力、最大トルク2600rpm、排気量4200cc、最高時速280km/h、V型8気筒エンジンetc.
このスペックに興味を示すのは、メーカーか、カーディーラーか、カーマニアくらいでしょう。
一般のユーザーは、350頭分の馬力が、どれくらいか、想像できるでしょうか?
そもそも、時速180kmを出せる高速道路は、日本に無いんですけど?(それでも、180km/hまでスピードメーターが付いている不思議)
このような、商品の長所を提案するだけが価値提案ではありません、顧客価値を提案することです。
(顧客価値の解説は、割愛しますので、こちらを御覧ください)
食べ方にしても、食べ時にしても、飲み時にしても、顧客にとっての価値提案ですから、用途開発・用途提案は、価値開発・価値提案に包括されます。
お金で買えない価値がある。買えるものは
では、価値とは何でしょう?何を開発し、何を提案すればいいのでしょうか?
価値の二文字を、歯に衣着せずに用いたマスターカードのコピーを例に二分割すると、
お金で買えない価値がある = 哲学的価値(命、愛、善、信、美etc.)
買えるものはマスターカードで = 経済学的価値(主観・客観)
で、哲学的価値はサテ置き、経済学的価値は更に二分され、
客観的価値とは … どれだけの労力がかかっているか?その労力が価値
主観的価値とは … どんなベネフィットを得られるか?その効用が価値
ということのようですが、マーケティングの価格戦略からすると、
A)原価志向
1 コストプラス・プライシング
2 マークアップ・プライシング
3 バリュー・プライシング
4 ユニット・プライシング
5 ターゲット・プライシング
か
B)需要志向
6 ペネトレーション・プライシング
7 スキミング・プライシング
8 グロス・プライシング
9 カスタマリー・プライシング
か
ということでしょう。蛇足ながら、原価と需要に続く三番目として、
C)競合志向
10 バリアブル・プライシング
11 プロモーショナル・プライシング
要するに、一言でいえば、価値とは「価格との比較」で、
・価格以下なら、価値があり
・価格以上なら、価値がない
と単純に解釈できます。もちろん、価格にも価値にも、個人差がありますから、
・ある人にとって、一億円でも価値がある商品A(製品やサービス)もあれば、
・ある人にとって、十万円でも価値のない商品A(製品やサービス)もあれば、
・十万円を持たない人は、価値を得られようのない商品A(製品やサービス)
があります。つまり、価値を認め且つ支払える「人」のために、価値を開発し、提案するのが、価値開発であり、価値提案。
その価値なる無形物を最大化するために立てる作戦がマーケティング戦略です。