ホームページの作り方《弐》
ドメインは慎重に
ホームページを作ったことのないド素人はホームページを自作してはならないことを以前に述べた。ブログから始めたほうがいい。
それでもホームページを作りたいのなら、最低でも総額100万円くらい支払ってホームページ作りのプロへ依頼する他ない。
100万円と訊いて驚く方もおられようが、パンフレットを制作するにも100万円くらいかかる。1カットの写真を撮影するにも総額で10万円は(カメラクルーによるが)下らない。
プロモーション・ツールを作るには、それくらい当たり前だと思って差し支えない。
(だからパンフレットひとつとっても、何も考えずにテキトーに作るわけにはいかないのである。戦術・戦法が必須)
とはいえ、無い袖は振れない。そこで、自作することになる。
繰り返すが、いきなりホームページを自作してはならない。
なぜならば、素人が作るホームページを見に来る訪問者などいないからである。一日に数人から数十人が関の山であろう。
いきなりホームページを自作するくらいなら、ブログから始めて、コンテンツを書き溜め、タグに慣れ、インターネットの文化を修得してから始めるほうがよい。
まず、この基本中の基本を抑えておかないと、ドメインの変更という致命的な失策を余儀なくされる。
冒頭で触れた通り、ドメインの変更は、年月の消失に等しい。失われた時間は二度と取り戻せない。
だから、一度決めたドメインは、何があっても変えることのないよう、慎重に熟慮しなければならないのである。
ドメインと社名
しかしながら、以外とテキトーに決めてしまいがちなのがドメインである。
ドメインを取るとき「どんなドメインにしますか?」と訊ねられるため、つい焦って決めてしまう。
その時までにドメインを熟考しておかないと、その場で思いついたドメインに決まりがち。
もちろん、あとから別のドメインに変えてもよいのだが、変更するのはやめておいたほうがいい。
なぜなら、googleなどの検索サイトから、新しいドメインが信用されるようになるまで、一年はかかるからである。
ひんぱんにドメインを変えるだけで、たったそれだけで検索されにくくなってしまうのである。
つまり、ドメインを変えないことがSEO(検索エンジン対策)の基本中の基本といえよう。
では、ドメインには決め方があるのだろうか?5つ挙げておこう。
【決め方1】社名そのまま
これは、大企業のドメイン名を挙げるまでもない。熟慮熟考して決めた愛着のある社名をドメインにするのが一番である。
ただし、ドメインの取得は、早い者勝ち。取得されてしまったら、その権利人が放棄しない限り、何があっても使えない。
これを逆手に取った商売が、インターネット草創の頃、あった。大企業の社名のドメインを片っ端から取得し、それらの企業へ高額で売りつけたのである。
権利人が、ドメインの維持費(年間数千円)を支払えなくなって、手放すのを待つ方法もあるが、すでにどこかの企業が使っている場合、その可能性は低い。
その場合は、社名ドメイン以外を考える他ない。
社名のドメインを先行取得されていても、co.jpにこだわらなければ、社名をドメインに使える。
【決め方2】社名ドメインにこだわり、co.jpにはこだわらない
co.jp以外には.com .net .info .biz .jp等がある。どれを使ってもいい。
正確にはco.jpようなドメインを属性ドメインといい、.jpのようなドメインを汎用ドメインという。
そうした知識は、検索すればカンタンに知り得るので、さらなる知識については、検索してみて頂きたい。
しかし、co.jpは、日本の法人だけが取得できるドメインであるため、安易に.com等を選ぶよりは、co.jpにこだわったほうが良いように思う。
少なくとも、会社の信頼を得るための広報用にはco.jpが適している。
例外として、商品用のホームページ等、複数のホームページを持つのであれば、2つ目以降は汎用ドメインで構わない。
商品のみ紹介するページならば.com .net .info .biz .jp、なんでもいい。
たとえば、映画のホームページでは、よく、配給会社のホームページがco.jpで、
映画作品ホームページは.jpになっている。これと同じこと。
また、ホスティング・サービスでも、社名のドメインを使うことができる
が、co.jpにこだわる観点からすれば、独自のco.jpドメインにしたほうが良い。
例外として、法人格を名乗る必要がないとか、個人であれば、ホスティング、
.com .net .info .biz .jp、なんでも構わない。
結論として、co.jpは日本の法人だけが取得できるドメインであるため、法人としての信用を得る目的のホームページは、co.jpにこだわったほうが良いと思う。
こうした話は、ホームページ制作のプロが教えてくれるようで、案外、教えて
くれない。
もちろん、丁寧にアドバイスしてくれるプロもいるだろうが、筆者は知らない。
ドメインの決め方
「しかし、我が社の社名ドメインco.jpは、もう既に取得されてしまっている」という場合は、知恵と工夫で戦うべし。以下、アイディアフラッシュにて。
【決め方3】社名に業態を付け加える
社名だけでは何屋か分からないことがある。そんなときは、社名に業態を付け加えると、co.jpドメインを取りやすくなる。
デメリットは、ドメイン名が長くなってしまうことだが、それよりもco.jpにこだわるほうを優先する場合に使える。
「ドメイン名は長くてもいいから、社名+co.jpにしたい」という法人向け。
【決め方4】電話番号ドメイン
電話番号は、日本で一軒のみ割り当てられた識別番号であるため、ドメインに最適。
たとえば、03-3263-84###.co.jpだと、
03=東京
32××=千代田区
という所在地も表わせる。
また、電話番号がドメインだと、広告のような小さなスペースでも、電話番号とドメインの両方を強調して載せられる。
それに、数字は覚えられやすい。ということは、広告を見てサイトを検索するときに検索されやすい。
つまり、クロスメディアに有効なのである。
デメリットは、社名が入らないことであるが、電話番号を変えるつもりがない法人には向いている。
【決め方5】SEO
一日に、数人や数十人の訪問者では、母数が少なすぎて、ホームページを公開する意味がない。公開する以上、数多くの訪問者に見てもらいたいであろう。
それにはSEO(検索エンジン対策)が欠かせない。なぜならば、訪問者の80%前後が、検索エンジンで検索し、表示された検索結果をクリックして訪問するからである。
逆にいえば、SEOを無視するということは、誰も見なくて結構という意思表示になる。
(例外として、デザイン重視でSEOを無視するページを敢えて作ることもある)
検索エンジンで検索すると、ドメイン名も検索結果として表示される。これも立派なSEOになるのである。たとえば、
「マーケティング」
はビッグワード(みんなが検索しやすいキーワード。検索され易いキーワード)だが、それだけ競争率も高く、ビックワードで検索エンジンの1ページに表示されるのは並大抵のことではない。費用を払ってPPC広告を出す以外にない。
余談だが、スモールワードは、みんなが検索しにくいキーワード。検索しないということは、競争率が低い=上位表示されるが、誰も検索して来ないということ。社名などに多い。
ビックワードで検索して「Googleの1ページ目に載っている!」のは凄いことだが、スモールワードで1ページ目に載っても、集客の効果は薄い。
話を戻す。ビックワードのマーケティングで検索すると、一年生の当社サイトはGoogleで9ページ目。Yahoo!だと10ページ以内にすら入らない。が、marketing.co.jpでGoogle検索すると、Googleの1ページ目に表示される(2010年1月現在)
「マーケティング」で検索する人数に比べれば、marketing.co.jpで検索する人数などタガが知れているはずだが、マーケティングというビックワードを英語にしてドメインに含ませると、1ページ目に表示されるのである。
しかも、業態を表わしているため、何屋か分かりやすい。
デメリットは、ほとんどのビッグワードは、ビッグワードco.jpとして登録済みあること。そのため、社名などと組み合わせる必要がある。
ドメイン変えるべからず
しつこいようだが、ドメインは変えてはならない。
たとえば、名刺や封筒に印刷すれば、ドメインを変えるたびに、名刺や封筒も作り直さなければならない。
雑誌や新聞の広告に至っては、クロスメディアの効果が薄れる。広告に載せたドメインと、変更後ドメインが異なるため、広告から流れこみにくくなる。
なによりも、最強のSEOである被リンクがムダになってしまう。これは意外と重要なので補足しておこう。
検索サイトは、被リンク(バックリンク)が多いホームページを高く評価する。
リンクは、こちらからリンクするぶんにはナンボでもリンクできるが、相手がリンクしてくれるかどうかを自分ではコントロールできないため、被リンクが多いということは「みんなが口コミしたくなるサイトなんだ」と検索エンジン(正確には、サイトを巡回クロールするロボット)が高く評価する。
評価の高いサイト(=被リンクの多いサイト)は、検索されやすくなる=検索サイトの上位に表示される。
よって、ドメインを変えれば、「このサイトは素晴らしい」と、ホームページやブログで紹介してくれた被リンクが切れてしまい、SEOの効果が無くなる。
また、ホームページを気に入った訪問者が、Yahoo!ブックマークやhatena等にブックマークすると、そのブックマークが被リンクになる。それも無になる。
結論。一度作ったドメインは、会社が存続する以上、二度と変えないつもりで、熟考に熟考を重ねたうえで決めたほうが良い。
ホームページ作りの基本にして重要な第一歩。それがドメイン名の決定である。