ブルー・オーシャン戦略-第1章
本稿は、ポパイに出てくる無類のハンバーガー好きなウ太った中年男性「ィンピー」と筆者の対談により、ブルー・オーシャンを分かりやすく解説しています。
8つのハンバーガーショップ
ウィンピー:Good morning, Shoji.
小笠原昭治:グゥ↓ー↓ー↑ー↑ー↑ッ↑モーニン,ウィンピいいー!(絶叫)
ウィンピー:Yeah, but what's all that scream ?
(ああ、でも、そのすごい絶叫は一体なんだい?)
小笠原昭治:J-WAVEというラジオの朝の番組“TOKYO UNITED”のナビゲータージョン・カビラの真似さ。Goo------d morning, TOKYO-!
ウィンピー:Enough, enough. All right, already
(もういい、分かったよ、もういいかげんにしてくれよ)
小笠原昭治:ウィンピーこそ英語をやめてくれよ。ハンバーガーおごるからさ。
ウィンピー:Hamburger's!おお、僕の大好物じゃないか!よく知ってるね!
小笠原昭治:もちろん知ってるよ。
いつも、ポパイやオリーブから、ハンバーガーを買う金を借りてばかりいるじゃないか。来週の火曜日になったら返すって。
ウィンピー:うん、100年前のアメリカは、週給制だったんで、ね。
小笠原昭治:100年前?ウィンピーは何歳?
ウィンピー:ふふ、永遠の中年オヤジさ。
小笠原昭治:時空を超えられるのかい?ウィンピーは。
ウィンピー:ああ。時空を超える地図を作ってきたぜ。
小笠原昭治:時空を超える地図?
ウィンピー:この地図に載っているハンバーガーショップへなら、どこへでも、差すだけで、そのハンバーガーショップへ飛べるんだ。
小笠原昭治:どれどれ?どんなハンバーガーショップが載っているんだい?
地図を覗き込むと、そこには8つのハンバーガーショップが並んでいた。
ハンバーガー群雄割拠地図
・いわずと知れたハンバーガー業界の雄「スマイル0バーガー」
・近ごろ大幅リニューアルで捲土重来を期す、没個性で有名な「コッテリア」
・価格は高めながら、おいしさにかけては業界随一「ボスバーガー」
・アフターオーダークッキングで作るアーリーアメリカンな「新鮮バーガー」
・ショップじゃない!バーガーレストランを目指す「ウェンズデーバーガー」
・大きなハンバーガーが特徴の「バーガー王」
・大手酒造会社の資本傘下だけに、ビールがある「第一キッチン」
・ユニークな出店で独自路線を行く「ドンドンバーガー」
小笠原昭治:あれ?森中ラブが無いじゃん?
ウィンピー:コッテリアに吸収合併されたよ。
小笠原昭治:え?そうなの?栄枯必衰、盛者必滅、敗れし者は去るのみ…か。
ウィンピー:テレビCMを放映していた百円バーガーのバーガーシティもね。
小笠原昭治:クワナイノ、ヨンテオレ、ヘッカースが載ってないのは?
ウィンピー:店舗数が少ないからね。地域限定だったり。
小笠原昭治:地域といえば、佐世保バーガーは?
ウィンピー:あれは、ご当地ラーメンみたいなもんで、店舗名じゃないぜ。
小笠原昭治:ご当地ラーメンといえば、佐世保じゃ、酒を飲んだあと、しめ
のラーメンならぬ、佐世保バーガーを食べるらしいね。
ウィンピー:Really!?
小笠原昭治:ああ。ラジオで聞いた。さて、どこから行こうか?
ウィンピー:ハンバーガーを語るなら、スマイル0バーガーから行こう!
懐かしさも味のうち
スマイル0バーガーで二人はクオーター・パウンダーを注文した。
ウィンピー:Oh!Quarter Pounder!
小笠原昭治:アメリカにもあるのかい?
ウィンピー:アメリカではMcDonald'sの登録商標になってるけど、1/4ポンドのハンバーガーを指す一般的な名称でもあるんだ。
小笠原昭治:アメリカ以外では、どこに?
ウィンピー:尺度にヤード・ポンド法を使っている国、例えばイギリスにある。
小笠原昭治:イギリスで、ハンバーガーは、サンドイッチなんだよね。
ウィンピー:アメリカはチーズ入りのQuarter Pounder with Cheeseが一般的。
小笠原昭治:日本では、まだハンバーガーが珍しかった30年前にクオーター・パウンダーがあってね。
ウィンピー:今もあるじゃないか。
小笠原昭治:関東だけ30年ぶりに復活したらしいよ。それと、ナゼか熊本に。
ウィンピー:じゃあ復活メニューってワケかい?
小笠原昭治:単純にそうとも言い切れないな。
ウィンピー:Why's that?
小笠原昭治:当時は、チーズ入りとチーズ無しの2種類だけだったんだ。
よく食べたよ、懐かしいなあ。
ウィンピー:チーズなしのクオーター・パウンダーは復活させなかったんだね。
小笠原昭治:そう。復活したのは、チーズ入りのクオーター・パウンダーだけ。
ウィンピー:パテは何枚?
小笠原昭治:パテは1枚だけで、チーズの有る無しダケだったんだ。
商品戦略とターゲティング
パテが2枚も入ったダブル・クオーター・パウンダー・チーズを頬ばりながら、
ウィンピーはHmm...と言った。
ウィンピー:このダブル・クオーター・パウンダーは食べ応えがあるねえ!肉、食ってる!ってカンジ。
小笠原昭治:ハハハ、そりゃそうさ、830kcalあるんだから。普通のクオーターパウンダーだって560kcalだから、ほぼビックマックと変わらない。
ウィンピー:Wow! このダブル・クオーター・パウンダーは、昔あったの?
小笠原昭治:なかった。
ウィンピー:ダブルは無かった?
小笠原昭治:ああ。パテが2枚のダブル・クオーター・パウンダー・チーズは、じつは新商品なんだ。
ウィンピー:密かに新商品が加わっていたのかい?
小笠原昭治:ああ、新商品の見せ方がうまいね。新商品なのに新商品じゃない。
新商品じゃないのに新商品。そこには必ず何か狙いがあるハズ。
ウィンピー:一旦は引っ込めた商品を再デビューさせたんだから勝算があったろうね。
小笠原昭治:そうなんだ。どうして引っ込めたんだろう?
ウィンピー:1/4ポンド、つまり通常のハンバーガーの2.5倍の肉の量が日本人向きじゃなかったのかな。
小笠原昭治:確かに、肉の量が多いメニューは消える傾向にあるかも。ダブルバーガーも、ダブルチーズバーガーも販売終了したし。
ウィンピー:ボリュームがありすぎるハンバーガーは日本人に売れない?
小笠原昭治:大きさが特徴のバーガー王は日本から撤退したしね。といっても今また再上陸したけど。日本の経営者が変わったんでね。
ウィンピー:じゃあ、どうしてクオーター・パウンダーを復活させたんだい?
小笠原昭治:わからない。しかも、さらにボリュームたっぷりの新商品であるダブル・クオーター・パウンダーまで新ラインナップさせるとは、一体どんな勝算があるんだろう?
ウィンピー:わかった!狙いはキミだよ。
ウィンピーが解いたスマイル0バーガーの勝算とは? 次号へ続く