マクドナルド出入り禁止
マクドナルド出入り禁止
関西では名門といわれる関西学院大学の学生が、マクドナルド甲東園駅前店に長時間、勉強やゲームで席を占有していたり、店外から飲食物を持ち込んだり、
グループで一人だけが注文して席を占拠していたため、目に余った店長が大学学生課へ指導を求めたところ、職員は指導を断る代わりに
「マクドナルドへの出入り禁止」
を学内へ掲示。
翌日、職員の上司が出来事を知り「マクドナルドだけの問題では無い」と判断して店名を削除。事実、取材によると、マクドナルド甲東園駅前店の他、近所の喫茶店やファミレスでも、関学生のマナーに頭を抱えていたという。
日本マクドナルドのPR部は「出入り禁止など、要請していないし、すべての学生がマナー違反というわけでもない」とコメント。
今後は、大学とマクドナルドが連携しながら、学生のマナー向上を目指すことで合意。その後、学生のマナーは改善されたという。
この事件(組織内では大事件だったはず)、あなたは、どう思うだろう?
余談だが、ザッと2chに目を通して笑えたというか「なるほど」と思ったのが、
・マナーどころか営業妨害だろ
・もう校則に寄り道禁止って書いておけよ
・店のほうもビックリだろうな。学生客めあてで店作ったんだろうに出入禁止
・買う気満々で行ったのに邪魔者扱いされた事もあるけどな。楽器店とか
顧客戦略の基本
該当する学生は例外であって、ほとんどが良識ある学生であり、そうでなければ、大学周辺の飲食店は、軒並み彼らに
居座られて潰されていたはず。
上記の事件では、一握りのマナーの悪い学生の悪影響で「関西学院大学の学生」と一括りにされてしまった。大学および他の関学生にとってはイイ迷惑である。
この図式は、顧客にも当てはまる。
わずか一握りの例外客の影響で、大多数の顧客が同一視され、すべての顧客に悪者のレッテルが貼られてしまうのは世の常、人の常。
商売人ならば、その落し穴に気をつけようと前号で申し上げ、その実例も披瀝した。顧客側と販売側の常識の差は天地ほどにも異なる。
切り口を変えると、例は他に、BtoBとBtoCの差にもある。
そもそも、BtoBとBtoCの比較がナンセンスだと思われる方もおられよう。BtoC
は企業と個人の取引であって、BtoBの企業間取引とは分野が違う、と。法人という人間が実在しているのであれば、それは正しい。
現実には、法人という人間は存在せず、法の定めによって、法人という人格があるのみ。
営利法人も、学校法人も、医療法人も、社団法人も、財団法人も、特殊法人も、すべて、法人の意思を決定するのは人間である。
人間である自然人の集合体が法人であることを考えれば、BtoBもBtoCもGtoBも、人間と人間の取引。
顧客が人間であるならば、それは鉄鋼や造船であっても、ブティックやエステであっても、同じ。人と人の接触が基本である。
人は誰しも先行き不透明な出来事に直面すると不安を覚える。怪しければ不審感を募らせ警戒する。
生命を奪う対象には恐怖する。財産を奪う対象には戦慄する。不満が高まれば不幸に思う。
その反対に、満足すれば、大なり小なり、幸福感を覚える。だからビジネスは顧客満足を追い求める。
極めれば、ビジネスを通して、顧客という他人を幸せにすることにより、その代価を頂くことで、物質的に、自らも幸せになるのが商売の極致である。
顧客戦略は、BtoBもBtoCも、建設業も風俗業も、百貨店も量販店も、メーカーも小売も、基本は一緒。人と人の関わりあいに基づく。
であるにもかかわらず、BtoBでは当たり前の商慣習が、BtoCとなるとウヤムヤになる不思議。
BtoBとBtoCの常識と非常識
例えば、病院や歯科医院や整骨院などの院がつく施設で、完治までの総予算と治療スケジュールを、患者へ提示せずに診察を始めるのはナゼだろう?
「治癒の進行を確かめながら診察していくのでスケジュールが立てにくい」
という反論もあろうが、少なくともBtoBでは、見積や納期を確認せずに取引が始まることなど皆無。
先行き不透明であっても、見積書や納期を提示するのは当たり前。
また、初来院した患者が完治まで通院すると決めつけ、ごく当たり前のように次回の予約を受け付けようとするのはナゼだろう?
初診料という請求項目も甚だ(はなはだ)怪しい。
BtoBでは、初回取引料を請求するなど言語道断(というか噴飯もの)であるし、初めて発注のあった新規客から、次回も発注がある保証など絶無。
さらには、患部に苛まれ、ただでさえ健康不安で一杯な患者が、
「いくらかかるんだろう?」
とか
「いつまでかかるんだろう?」
といった不安を覚える以外にも(インフォームドコンセントの無さに失望して通院しなくなる等)何らかの理由で通院しなくなれば、
「来なくなった患者の都合勝手」
であり、それが原因で症状が重くなれば
「来なかった患者が悪い。自己責任」
と決めつける不思議。
それが正しいのだろうか?すべて患者が悪いのか?患者だけの責任だろうか?
相手の身体を治す原点は「大丈夫?」「痛い?」と心配することであろう。
心を配ると書いて、心配と読む。技術や免許や資格や設備以前の問題なり。
独善自由の過ち
そうした傾向は一部の士業にも見受けられる。先生と呼ばれる職業に共通するのは、
「先生なんだもの、いつも先生は正しい」
という思い込みによるものか否か。
士業の場合は、技術や設備ではなく、ルールが最優先され、
「こういうものなんだ。こうでなくちゃダメなんだ」
という決めつけ(ルールのほか資格士個人の考え方)に顧客は隷従させられる。
余談だが、それに隷従する顧客が、日本人らしいといってしまえば、それまでだが、販売側の既得権益を守る業界団体が凄烈なまでの力を持つに至った遠因は業界ルールの押し付けにあり、その理不尽なまでの影響力は公共料金にまで及び国民生活を圧迫している。
冒頭の例にも通じるが、もうそろそろ、自分さえ良ければ他に迷惑をかけてもいいという独善自由の過ちに気づいても良かろう。
それは、政治や教育の責任だと転嫁することもできるが、ビジネスに携わる者として出来ることもある。「顧客の立場で考える」ということである。
顧客の身になって考えることなど、憑依しなければ不可能な心霊現象であるが、顧客の横に立って、同じ目線で考えることはできる。
その具体的な方法論が、筆者独自のTriangle-View(三角視点)である。これを使えば、顧客の立場で考えることができる。三角視点を使う基本的な考え方が既記の「顧客は弱者」との新解釈。
話を戻そう。
まだまだ例を挙げられるにしても、すべての顧客が悪いのならば、商売は成り立つはずがなかろう。これすなわち、倒産、解散。
ニュースで報じられる倒産の主な理由として「顧客が悪い」よりも「多角化に失敗」や「販売不振」「資金繰り悪化」等、社内に原因のあったケースが殆どであることは周知の事実。
顧客のせいではなく、自社のせいであったにもかかわらず、顧客のせいにして悪者にするから、悪者になりたくない顧客が一人二人と離れていく。
悪者にされるのは誰だってイヤ。ましてや、お金を払ってまで悪者扱いされるとなると、もっとイヤ。
人のせいにするより先に、自らを省みてもバチは当たるまい。
主観は、独りよがり(独善自由)に陥りやすい。客観は「客が観る」と書く。
お客様第一の真偽
顧客の意見を集める具体的な方法は、主題から逸れるため割愛するが、なにも難しいことはなく、顧客の意見に耳を傾けるだけ。アンケートを集めるだけである。
訊ねよう。
あなたの会社や店舗では、顧客の意見に耳を傾けているだろうか?
聞くのみならず、後で振り返るために文字へ残し、記録しているかどうか?ということである。
記録してあれば、あとでジックリ省みることができる。原因を究明し、課題を抽出し、仮説立て、解決方法を模索できる。社内外を問わず検討材料にできる。
なにも紙のアンケートだけがアンケートではなく、ホームページにアンケートを載せることもできるし、営業マンが訊いてくることもできる。
一般論として述べた(顧客意見が不要な会社やセクションもある)が、企業の90%以上が「顧客満足」「お客さま第一」「顧客最優先」を掲げているらしい今の日本で、顧客のためと謳うなら、せめて、顧客の声を訊いて然るべし。
その姿勢が本物か偽物かを、顧客のみならず、従業員や、仕入先も、見ている。従業員や仕入先とて、その立場を一歩離れれば、顧客たり得る。
日頃の仕事ぶりを客観的に知る方法
「顧客意見を募ると、気が滅入る」という方もおられよう。
確かに、単なる悪口が含まれていることもあるし、無理難題が突きつけられることもあるし、ノベルティ狙いのイー加減な回答もある。
余談だが、10年ほど前に不動産会社が実施したアンケートの自由解答欄「弊社へのご要望」に「景品が当たりますように」という書き込みもあった
顧客十戒を補足する目的
書き始め当初は、冒頭で顧客戦略の糸口を問題提起した後、顧客戦略の現状に触れ、筆者独自の定義を開陳した上で、戦略を2つの戦術に二分し、それぞれの戦術を分解しつつ、実例を交えた戦法にまで及ぶ予定でいた。
(が予定は崩れた(苦笑)というより[総集編]の一回で収まりきる構成ではなかった (^_^;)
その「顧客戦略→2つの戦術→さまざまな戦法」が三つ目の「顧客十戒を補足する目的」で、要するに、
「顧客十戒はインサイトに過ぎず、そのインサイトを踏まえたうえで、どんな戦略(方向性)と戦術(作戦回路)を組み立て、それを具現化すべく、どんな戦法へ落とし込み、従業員へ“戦え”と指示するか?」がリーダー及び組織にとって優先かつ重要。
繰り返そう。顧客十戒は、
・インサイト(顧客の本心)であって、
・戦略でも戦術でもなければ、具体的な戦法でもなく、
・これをして具体的な顧客活動たらんとするのは不可能
である。
百歩譲って、意識や能力の高い人材であれば、一を聞いて十を知り、自ら考え、試行錯誤を始めるであろう。
しかし現実には、そんなにも意識の高い人材は稀で、リーダーとの意識格差は異邦人と思われるほどに異なる。
ということは、ごく一般的な従業員へ語って聞かせたところで、
「いいたいことは分かるけど?で?何をすればいいの?」
と戸惑うのみ。かえって有難迷惑になる危険性もある。
何をすればいいか具体的に伝えるべし。戦法および戦闘指令である。
戦法は誰でもできるようにカンタンに
戦法は、誰にでも理解でき、誰でも動けるように組み立てる必要がある。
戦法(テクニック)で分かりにくければ、セールス・トークやキャッチコピー、行動計画、立ち振る舞いといった「戦場という現場での戦い方」のこと。
その戦法を考え、伝えたうえで「さあ、戦って来い」と指令するのが責任者の役目。それが戦闘命令になる。
「そんなものは、いちいち教えることではなく、従業員一人一人が考えること」
と思うのは、それができる、あるいは、自分自身で考えてやってきたリーダーならではの思考。確かに、
「自分ができるものは、他人もできる」
と思いがちだが、彼我の能力も経験も年齢も性別も環境も立場も何から何まで違うのだから、職務の遂行において、自分=他人の図式はムリがある。
いちいち教える→ちゃんと出来るようになる。細かい部分に神は宿る。(誤解なきよう補足するが、仕事の話であって、箸の上げ下げの話にあらず)
一言でいえば、具体性である。
具体性は、(自慢ではないが)筆者のコンサルティング最大の特長で、どこ社長さんだったか忘れたが「具体化の鬼」と評されたこともある
では、どのように具体化すればよいのだろうか?
前述の院と名のつく治療施設を例に、付加価値マーケティングの本質論へ当てはめるならば、患者は医院へ行きたいのではなく、痛みを和らげたいのだから
1 患者が来院したら「痛みはどうですか?」と心を配る
2 施術中も「痛いときはスグに言って下さいね」と心を配る
3 帰り際に「痛くなったら、いつでも電話ください」と心を配る
4 来院が途絶えたら「大丈夫ですか?」「痛みませんか?」とハガキを送る
5 完治から一年後に「痛みが和らいで良かったですね」とハガキを送る
以上たった5つの誰にでも出来るカンタンなことばかりである。
1~3の経費はタダ。4~5の経費はハガキの郵券代50円のみ。来院の途絶えた患者が引越していたら、それはニクシーが知らせてくれる。
無論ながら、戦略戦術なくして、上記の戦法(テクニック)のみ真似てもムダである。安易な顧客戦略は見透かされる。
顧客十戒を戦略化するチャンス
顧客十戒が、戦略でも戦法でもなく、インサイト(顧客の本心)であることは充分お分かりになったであろう。
他人の語らざる本音を知って衝撃を受けることは日常よくある。
甘美な衝撃もあれば、戦慄の衝撃もある。狂喜であれ憎悪であれ衝撃は感情を激しく揺さぶる。
映画鑑賞や試合観戦を例にとれば分かりやすい。身震いするほどの興奮や感動も、2度目3度目には薄れ、いずれ時と共に忘れ去られる。
忘却のスピードは速く、1ヶ月後には79%を忘れてしまい、今日を起点に30日後には、30日前と同じ日々に戻ってしまう。
事実、どうだろう?
1ヵ月前に顧客十戒を知った方々は、その時の衝撃や感動を八割がた忘れているはず。
予言しよう。
来年の今頃にはキレイさっぱり忘れてしまい、顧客戦略とは無縁な日々へ戻ることだろう。
感情は持続しにくい。どんな悲しみも時間が癒してくれるように、どんな感動も時間の経過と共に風化する。
持続させるには、感情を、理論へ置き換えることだ。顧客十戒でいえば、顧客戦略化することである。
戦略なくして顧客十戒のみ知ったとしても、一時の感情が揺さぶられるだけに過ぎない。
それのみで終わらせるのも勿論いい。立場や価値観によって選択肢は異なる。
一時の感情で終わらせず、戦略によって、顧客との細い線を太くしたいと願うならば、感情が揺さぶられた瞬間こそ、チャンス!(その理由は後述)
鉄は熱いうちに打つべし。
精神論と行動論
顧客の十戒に胸を打たれた当人が、自分のためだけに、壁やPCに貼り付けたり、手帳に挟んだり、ノートへ書き写すのは、いい。
ビジネス書にも載っている。本を購入して繰り返し読むのも良かろう。問題は
A)気を引き締めるための精神論として使うか
B)組織が行動するための戦略として使うか
である。
精神論には好き嫌いがある。受け入れる従業員もいれば拒否する従業員もいる。
決定的なのは、精神論を、具体的な戦闘命令にするのは、不可能であること。せいぜい、
「もっと真剣にやれ」
「勘と経験と根性で売ってこい」
が関の山であろう。
余談だが(誰だったか忘れたが)西日本方面の社長さんからのメールに、
「顧客満足を高めるよう社員へ指示しています」とあったので、
「差し支えなければ、どのように指導しているのか教えてもらえますか?」と訊ねたところ、
「お客さんの立場に立って真剣に考えて行動するように言い聞かせています」と教えて頂いた。
どうすればお客さんの立場に立てるのか?どうすれば真剣に考えられるのか?
そもそも、何をして「真剣に考える」というのか?考え方を測る尺度は何か?
等々さらに突っ込んで訊いてみたかったが、残念なことに、そこまでは教えてもらえなかった
話を戻そう。
精神論を行動論へ翻訳して具体的に伝えて、初めて、戦士が戦場で勝つための戦略たり得る。
戦略とは、方向性のことで、基本的に一方向のみ。北上と南下は相反する。
次に、戦略の戦術化。戦術とは、戦略を実現させるために立てた作戦を回路化すること。回路化とは、起動装置を押すだけで、勝利へ向けて動き出すように仕組み化すること。
そして、戦術の戦法化。戦士が戦場で勝つための具体的な方法。詳細な戦い方である。
戦略と戦術は「戦略戦術」と併称されることが多い。戦術と戦法は、合わせて韜略(とうりゃく)という。戦法と戦闘が、戦場という現場での、実戦。
これまでも戦略-戦術-戦法-戦闘に触れてきたが、おそらく、上述の数行では理解困難であろうから、主題を異にして、いずれ詳述することをお約束しよう。
逆説の顧客十戒
顧客十戒を知り、感情が揺さぶられた瞬間こそ、戦略を布く絶好のチャンスであることを先に述べた。そのチャンスを逃したら、あとは忘れ去るのみ。
なぜにチャンスか?というと、目の前に、答えやヒントがあるからである。
試しに、顧客十戒を逆説してみよう。
一 私には、選ぶ権利があります。
しかし、あなたから買う義務はありません。
【ならば】居並ぶ競合の中から当社(当店)を選んでもらおう
二 私は満足したいのです。
満ち足りることができれば、どこの何の商品であっても構いません。
【ならば】当社(当店)であれば満足できることを伝えよう
三 あなたのことを忘れても、私を責めないで下さい。
自分と家族のことは忘れませんが、他人のことは忘れてしまいます。
【ならば】忘れられないようにしよう
四 私は常に、あなたから買おうか、他から買おうか、迷っています。
あなたから買う理由がなければ、私は他から買うでしょう。
【ならば】当社(当店)から買うメリットを伝えよう
五 私は、何らかの得をしたいと思っています。
あなたに得させる目的で買おうとは思いません。
【ならば】得したと思えるようにしよう
六 私は自動販売機から買うのではありません。人間から買うのです。
私もあなたへお金を払う機械ではありません。
【ならば】人間らしく接しよう
七 私をだまさないで下さい。
もし、だまされたと知ったとき、私は絶対あなたを許さないでしょう。
【ならば】だますのはやめよう(子供じみて笑ってしまうが)
八 私は人間ですから、理性と感情があります。
知らないものは警戒します。買っていいかどうか不安です。
【ならば】安心させよう
九 金の切れ目が縁の切れ目といいます。
あなたが欲しいのは顧客なのか、売上金なのか、私は見抜きます。
【ならば】カネが切れても、縁は切れないことを伝えよう
十 私に24時間必要なものは、空気と健康だけです。
それ以外は、必要なときに、必要なだけあれば充分です。
【ならば】必要なときに思い出してもらえるようにしよう
是この通り何をすればいいか?答えは顧客十戒に既に示されてあった。難しいことなど一つもなく、どれも容易なことばかりであることをご理解できよう。
顧客の十問
ただし、逆説するだけなら、戦略戦術の範疇で、誰にでもいえるし、誰にでも書ける。
問題は、どうすれば実現できるか?という具体性である。
では「逆説の顧客十戒」に沿って問おう。
[顧客の十問]
一 あなた(の商品やサービス)を選ぶ決定的な理由は何でしょう?
二 あなた(の商品やサービス)は、誰の何を満足させられるのでしょう?
三 忘れられないように何していますか?一つ挙げてください
四 どの競合の何とは、どこが、どう違って、どう優れているのでしょう?
五 あなた(の商品やサービス)を買うメリットを3つ挙げてください
六 顧客を尊重していますか?それを、どうやって伝えていますか?
七 約束を守っていますか?それ以前に、顧客へ対する約束がありますか?
八 どうやって不安を解消させていますか?期待語を使っていますか?
九 いつでも暖かく迎える用意や制度がありますか?
十 思い出してもらえるように何していますか?一つ挙げてください
いかがだろう?これらの答えの先に具体化がある。
答えても答えなくてもいいが、あなた(の商品やサービス)を買うメリットの3つくらいスラスラ出てくるはず。
出てこなければ、自己分析が行われていない証拠。あるいは、買うメリットに乏しい証拠。自己分析して、あなたのメリットを明文化すべし。
わかりやすく「メリット」と記してあるがマーケティング的にはベネフィット(benefit:利便、便益、恩恵、利益、利得)といい、ベネフィットは、
・機能的ベネフィットと感情的ベネフィットに大別され(前号既述)
そのうち、
・顧客が理解しやすいベネフィットは8つあり、
・その周辺8つのベネフィットの中心に、核となる「ひと言でいうとコレ」という決定的な優位性としてのベネフィット(コア・ベネフィット)
が位置する。
このように、
一 あなた(の商品やサービス)が選ばれる決定的な理由は何でしょう?
と
五 あなた(の商品やサービス)を買うメリットを3つ挙げてください
はマーケティング上で連鎖しており、それを解説するには膨大な文字量が必要となる(例えば今この場でナインセル(9-CELL)へも踏み込む必要に迫られる)
マーケティング・エッセンス 顧客十戒
詳細は別の機会に…といいながら、もう一つだけ例を挙げよう。たとえば十。
十 私に24時間必要なものは、空気と健康だけです。
それ以外は、必要なときに、必要なだけあれば充分です。
【ならば】必要なときに思い出してもらえるようにしよう
「必要なときに思い出す」商品群のことイヴォークド・セット(想起商品群)といい、その中でも、真っ先に思い浮かべる商品一点をファースト・マインド(first come to mind)という。
リンク先URLの筆者サイトでは、プレミアムアイスと聞いて思い浮かぶ商品名を例に取り上げているが、他にも(たとえばエリアを例にとると)
・○○市で「ケーキ」といえば?その中でも一番おいしい店は?
・○○町で「家を建てるとき」といえば?
・○○駅前のヘアサロンや美容室といえば?
とお客さんが思った瞬間に脳裏へ浮かぶ商品や、サービスや、店舗や、会社が購入候補に挙がる。当然、そこから買う。そこだけが売れるという単純な構図。
残念ながら、イヴォークド・セットに漏れた商品やサービスや店舗や会社からお客さんは「買いたくない」と拒否するどころか「買えることにすら気づいていない」のである。そら恐ろしい話ではなかろうか?
イヴォークド・セットやファースト・マインドに入り続けるための方策として、億単位のプロモーション予算を持つ大企業と同様の戦略戦術を、中小零細企業が真似るのは土台ムリ。チラシ一つとっても同じことがいえる。
カネを使えなければ、知恵を使うのみ。知恵を使って動くのみである。
たとえば、独自の付加価値マーケティングを提唱する筆者が、
「成熟社会の商売戦略はプラスαの付加価値マーケティング」
「商品の本質を見極めよ。人は本質を買う」
「価値を高めよ。値段が高くても売れる」
「売り込むな、選ばせよ。選ばれれば売れる」
「儲ける前に儲けさせよ。正しい接触の繰り返しが利益を生む」
と、口角泡を吹いて、大声で叫び、筆舌を尽くしたところで、興味がなければ一顧だにされないところ、それを、わずか十行詩の顧客十戒にまとめただけで、もともと興味のなかった人へさえ届いたのは、今回ご覧になった通り。
顧客の十戒は、平易で短い文章でありながら、マーケティング(正確には筆者独自の付加価値マーケティング)のエッセンスが凝縮されている。駆使するも自由。看過するも自由。選択の結果は、あなたの一年後へ帰結する。
【了】
Facebook余話
、Facebookが持つ可能性は、これまでのSNSを超越している。その理由の幾つかを前編で述べた。
とりわけ、友達の友達が紹介者になる信憑性は、連鎖の輪を広げやすい特長を持つ。
単なるクチコミではなく、どこまで広まっても、紹介者と被紹介者が直に結びついている。これぞ、信用が希釈されずに伝播する主因であろう。
同じ特長を持つツイッターとの大きな違いは、情報量。
(双方共に不案内な筆者が解説するのはお門違いだが、私見による分析として)簡易ブログとも呼ばれる片言隻句のツイッターが膨大な情報量を兼ね備えれば単なるブログになってしまうため、情報量を捨てる代わりに軽快な情報発信を優位性とした反面、情報量まで求められるとなると、ホームページやブログ等の他のサイトと連動することになる。例えるなら「呼び込みチラシ」に似る。
その点Facebookは、Facebook上で全てを完結させられる。どうやら、書き込む記事をメール配信できる機能がある様子。
さらにFacebookは、ホームページとして使える。
会社や店舗のホームページがあるから「いまさらFacebookをホームページに?」と思われがちだが、Facebookは、従業員一人一人のホームページに最適。
新規に発注する際の警戒心として、どのような会社か?は勿論のこと、どんな担当者か?信用できる人物かどうか?その個人像が気になることもあろう。
そんな時、個人のホームページが、法人のホームページを補う。友好関係から行動推移までFacebookに載せられる。タイムラインという機能も新設された。
会社のホームページは法人の紹介であって、従業員個人を紹介するのは難しい(数人の会社を除く)が、Facebookならば個人のホームページとして使える上、たとえ転職しても、次の職場で使える。そういう意味では、履歴書を補足する役目も担える。会社も個人も嬉しいWin-Winのツール足り得る。
三つ目として、被リンク(バックリンク)
最も重要なSEO対策が被リンクであることは広く知られている通りだが、そのSEOにFacebookは多大な影響を持つ模様。
例として、当社ホームページの訪問者数は、昨年まで一日700人台のユニークユーザー数(PV2,000前後)で安定していたが、正月明けからいきなり日々コンスタントに1,000人台を超え始めた。
昨年末のようにFacebookからの訪問が続いているのかと思って分析してみると、意外にも、検索エンジンから普通に検索してくる訪問者数が八割に戻っている。
その原因が被リンク(バックリンク)のように推察される。
Facebook上のシェアによる被リンクが増えたことで、アルゴリズムへ好影響を与え、Yahoo!やGoogle等の検索エンジンが当社サイトを高評価するようになり、検索結果の上位に表示されるようになったと推察できる。
その正解は、Yahoo!やGoogle等の技術者のみぞ知るが、ここ一ヶ月間の変化を考えると、被リンクの急増の他に思い当たる節がない。
試しに「顧客」をキーワードにYahoo!で検索してみれば分かる通り、顧客管理、顧客満足、顧客志向などの一般的な検索ワードに混じって、顧客の十戒が補助キーワードの一つとして連なっている。
少なくともYahoo!には、検索数の多いキーワードだと認識されているのだろう。
それにつけても凄まじい増加数である。夢であり目標だった「平均のユニークユーザー数1,000人/日」を超す日々が続いている。
Facebook、おそるべし!