コンテンツ・マーケティング[1/3]

インバウンド・マーケティングとコンテンツ・マーケティング

先日、筆者のクライアントが外注しているWebマーケティングコンサルタントを交えた三人で、

「インターネットからの注文を増やそう」

と、作戦を練っていた時のこと。

Web :インバウンド・マーケティングで、訪問者を増やしましょう。

筆者:インバウンド・マーケティング?

Web :読者の興味を引く記事や、動画などのコンテンツを発信して…

筆者:はい。


Web :自然検索や、SNS等のリンクで、こちらのサイトを見つけてもらって…

筆者:はい。

Web :何度も訪問してもらう仕組みを作ることです。

筆者:コンテンツ・マーケティングのことですか?

Web :ちょっと違います。インバウンド・マーケティングは、アウトバウンドマーケティングの対極にあります。

筆者:アウトバウンド・マーケティングの対極?

Web :アウトバウンド・マーケティングは、広告やDMや電話営業で売りつけるマーケティングのことです。

筆者:わかります。

Web :対するインバウンド・マーケティングは、自然検索や、SNS等のリンクで、訪問者に、こっちを見つけてもらうマーケティングです。


筆者:だから、それって、コンテンツ・マーケティングのことですよね?

Web :Web上でのマーケティング戦略という意味では、そうです。

筆者:Web上でのマーケティング戦略?

Web :インターネットで通用するマーケティング戦略という意味です。

筆者:よく解りませんが(苦笑)、インバウンドマーケティングと、コンテンツマーケティングは、同じじゃありませんよ?別モノです。

Web :え?どう違うんですか?

筆者:いつかメルマガに書きますから、私のメルマガに登録しておいて下さい。

という会話がありました。皆さん、用語は知っているけれども、定義が曖昧で、ゴチャゴチャになっている様子。

インバウンドとアウトバウンドの違い

インバウンド・マーケティングや、コンテンツ・マーケティングは、ここ数年出てきた用語で、今では、すっかり、

インバウンド・マーケティング = コンテンツ・マーケティング = Web戦略

の概念が定着していますから、右へならえで、その解釈を、受け継ぐのも良いでしょう。

しかし、インバウンドや、アウトバウンドの概念は、昔から(少なくとも筆者がマーケティングの現場にいた四半世紀以上前から)ありました。

テレマーケティングで、インバウンドというと、

「お客さまから電話がかかってくる」

ことを指し、

アウトバウンドというと、

「お客さまへ電話をかける」

ことを指します。テレマーケティングでは、ごく普通に交わされる用語です。


このようにインバウンド(inbound)とは、お客さんのほうから「入ってくる」ことで、

アウトバウンド(outbound)とは、お客さんのほうへ「出ていく」ことです。

これに「マーケティング」を付けると、お客さんのほうから、入ってくることを促すマーケティングが、インバウンドマーケティングで、

お客さんのほうへ出ていくマーケティングが、アウトバウンドマーケティングです。


新規営業のアポイント電話は、アウトバウンド・マーケティングの典型的な例ですよね。

なので、インターネットに 限 定 さ れ る こ と は ありません。

インバウンドでしたら、テレビ通販を例に挙げると分かりやすいでしょう。

磁気ネックレスや、枝きりバサミ等々、テレビ通販を見たお客さんが、商品の価値を知り、欲しくなって、注文の電話をかけます(インバウンドします)

テレビ通販と同様に、反響広告は、昔からあるインバウンド・マーケティングです。

雑誌や新聞広告を見たお客さんが、注文の電話をかけたり、ハガキを送ったり、来店したりします(インバウンドします)

店舗を例に挙げても分かりやすいでしょう。

小売店や、飲食店は、お客さんのほうから入ってきますね?

食事やトイレットペーパー等々、お客さんが、商品の価値を知っていて、その価値を求めて入ってきます(インバウンドします)

プル戦略とプッシュ戦略

インバウンド・マーケティングは、

『ネットショップへ集客するために開発された』という説

があるためかどうか、インバウンド・マーケティングというと、

A)コンテンツ・マーケティング(後述)と同義
か、
B)アウトバウンド・マーケティングと 比 較 対 照 す る た め に、

 インターネット上に限って展開するマーケティングのように解釈されている

ようです(なので、コンテンツマーケティングとインバウンドマーケティングの 違 い が 分 か り に く く な る のです)が、

待ち受けるインバウンドを、マーケティングでは、プル戦略とも呼びます。


プル(引く)戦略とは、お客さんの入りを促すマーケティングですから、

プル(引く)戦略と、インバウンド・マーケティングは同義です。

そのプル(引く)戦略と対をなすのが、プッシュ(押す)戦略。

ダイレクトメールや、チラシや、飛び込み等、売る側から積極的に働きかけるマーケティングですから、

プッシュ(押す)戦略と、アウトバウンドマーケティングは同義です。

なので、構図としては、

インバウンド・マーケティング = コンテンツ・マーケティング = Web戦略

で は な く、

インバウンドマーケティング = プル戦略 = 待ち受け

アウトバウンドマーケティング = プッシュ戦略 = 売り込み

になります。決して、インターネット上で展開されるマーケティングに限った話ではありません。

インバウンドとアウトバウンドは不可分

実際の現場では、インバウンド(プル)とアウトバウンド(プッシュ)が混在しており、

広告を出す = アウトバウンド = プッシュ戦略

コールセンターを設けて注文を待つ= インバウンド = プル戦略

ひとつの戦略の中に組み込みます。そういう意味では、戦略というよりも戦術に位置づけるほうが相応しいかも知れません。

たとえば、通販の広告を出して(アウトバウンドして)、

かかってくる注文電話を一本たりとも逃さないために、

・何十本ものインバウンド回線(受付専用電話回線)を用意したり、

・何十人もの電話オペレーターを常駐させたり、

・事務局を開設したり、

それ相応の費用と労力と時間をかけて、インバウンドの体制を整えます。


小売店もインバウンド(お客さんのほうから入ってくる)でしたね?

インバウンドなのに、

・新聞チラシを配ったり

・のぼりを立てたり、

・ポスターを貼ったり、

・呼び込みするなどして、

アウトバウンドして(積極的に働きかけて)います。

店舗の顧客対応は、商品分類(日用品、買回り品、専門品、不規則品)によって異なりますが、

・タイミングを見計らって、あるいは、

・お客さんからの求めに応じ、はたまた、

・POPを付けるなどして、

お店の側から 「この品物は、いかがですか?」 と働きかけています(アウトバウンドしています)


このように、インバウンドと、アウトバウンドは、不可分です。分けていては商売になりません。

が、学問上では、分けて体系化しないと、分かりにくいため、わざわざ分けているのかも知れません。

要するに、インバウンド・マーケティングといっても、

・インターネットに限定されることなく、

・リアルでも昔から行われているマーケティングで、

・インバウンド・マーケティングと、コンテンツ・マーケティングはイコール

で は な く、

インバウンド・マーケティング > コンテンツ・マーケティング

の構図(コンテンツマーケティングはインバウンドマーケティングに含まれる)
であることが、ご理解できるでしょう。

コンテンツマーケティングとは?

ここ数年、急速に確立しつつあるコンテンツ・マーケティングとは、

1)インターネット上に、

2)読者の興味を引く記事を公開し、

3)自然検索や、SNS等に貼られた被リンクで、

4)自社サイトの存在を発見して、リピーターになってもらい、

5)段階を経て購入へ結びつけるWebプロモーション

です。AIDAの法則の通りに、

1)知って

2)興味を持って

3)欲しくなって

4)買う

という心理フローは、100年前からのマーケティングと何ら変わりありませんが、

インターネットに限らないインバウンド・マーケティングとの決定的な違いは、

          インターネット上で展開されること

で、実店舗の売上が、立地で大きく左右されるのとは異なり、

        コンテンツマーケティングに不動産は無関係

です。


Amazon.comを例示するまでもなく、自宅に居ながら、世界中のネットショップ
へ訪問できます(世界中からネットショップへ集まってきます)

また、インターネットですから、AIDAのAttentionにあたる認知媒体が、広告や
営業活動ではなく、

検索や被リンク

であること。

プロモーションで最も高額なのは広告ですから、ぶっちゃけ、お金をかけずに認知を拡大できます。


ただし、商品を売る広告ではありませんから、チラシのような販促物は読まれません。なぜなら、

1)先ず、WebデザインとSEOが相反して、自然検索されにくくなります。

2)次に、99.9%の訪問者は、情報を求めているだけで、顧客になりませんから、売り臭が出ると、嫌われます。

3)極めつけは、Aリスター(多くの読者を抱える人気の高いブロガー)が味方になってくれません。

そりゃそうですよね?

「あんたの所の社員でもないのに、何が悲しくて、あんたに儲けさせるタメにタダ働きせにゃならんのじゃ」

ということです。 そこで、急がば回れということで、

1)読者の興味を引く記事を公開し、

2)自然検索で訪問してもらったり、

3)SNSで「いいねボタン押して~」「ブクマして~」と呼びかけたり、

4)Aリスターにリンクしてもらったりします。まとめますと(短く定義すると)

インターネット上で、商品ではなく、自らの価値を伝え、価値観の合う人のみ集め、クチコミを誘発させる方法

が、コンテンツ・マーケティングです。

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