等脚類二寄生スル等脚類(Shiraki & Kakui 2024)
私が関わった論文の短い紹介.
”等脚類に寄生する等脚類の新属3新種”
Shiraki & Kakui (2024) は指導学生の白木祥貴さんが主導した等脚目(ワラジムシの仲間)に関する研究成果です.等脚目には他の生物に寄生するものが知られています.今回,沖縄県と神奈川県の浅海域での調査の過程で,白木さんが主たる対象としているウミナナフシ類(これも等脚目)に外部寄生する等脚目を複数発見しました.
研究の結果,それらはワラジヤドリムシ科Cabiropidaeという等脚目寄生性のグループに含まれるものの,既存の属のいずれにも所属させることができず,3種に分類されることが明らかとなりました.そこで新属Anthuroniscus(ウミナナフシヤドリ属)を設立したうえで,3種をAnthuroniscus shimomurai(ソラマメウミナナフシヤドリ;下図),Anthuroniscus dentatus(ギザギザウミナナフシヤドリ),Anthuroniscus latus(フトマルウミナナフシヤドリ)という学名で新種記載しました.
ワラジヤドリムシ科のメスは,一見して甲殻類とは思えないイモムシのような姿をし,等脚類の育房(卵を抱く袋)の中という見つかりにくい場所に住んでいます.そのため見落とされやすく,存在に気づいたとして正体が容易にわからないという発見上・分類上の難しさがあり,それゆえに国内報告を欠いていた可能性が考えられます.今後,調査が進むことで,多くの未報告種の発見が期待されます.
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