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自分で作って自分で壊す
まがいなりにもイノベーション創出に関わるお仕事に携わらせてもらえていると、いかに新しく創造するか?ということに負けないくらい、いかに既存のものを壊すか?ということを考えなくてはいけない。
それは大きな意味でのイノベーションでもそうなのだけれど、もうすこし小さな自分の成長にまつわる変化であっても同様だと思う。世の中、これだけ新しい技術が生まれ廃れるサイクルが早くなってくると、自分自身のスキルセットの更新も各自に迫られるわけだが、その更新の際には当然ながら古いスキルを捨てて新しいスキルを身につけるといった作業が必要になるからだ。
いかに古いものに見切りをつけるか。
断捨離上手になる必要がある。
作っては壊す
そんなことを書こうと思ったのにはきっかけがある。
昨日会社で話していたときのことだ。
方法論にとらわれないようにすることって大事だよねーといった話の流れのなか、会話に参加していた1人に「自分の考えたやり方にとらわれてしまうことないですか?」と訊かれた。
「あんまりない」と答えると、「それは経験値の差なんですかね?」と言われて思いだしたのだが、気がつけば、子どもの頃から、自分の考えをどんどん壊して新しいことを考えるのが好きだった。
典型的なのは小学3年生くらいのことだったと思うが、自分で描いて切り抜いたロボットの絵を敵と味方同士で戦わせながら、互いに損傷し壊れていくのを楽しんでいたことだろう。
時間をかけて丁寧に描いた絵なので、1日くらいは無傷で残して飾っておいたりする。しかし、次の日には戦闘により打撃を受け、バラバラに切り刻まれたりする。敵が勝てば新しい味方のロボットを新たに描きなおし、味方が勝てば敵の新しいロボットが描き直される。その繰り返しの中、様々な形態、様々な特徴を持ったロボットのバリエーションが生成され続ける。そして、切り刻まれて破壊され続ける。
作っては壊すの繰り返し。
壊さないと作れない
「サステナブルな意識はあったんですか?」と訊かれて、資源という意味では「なかった」、でも、創作と破壊のサイクルを回し続けるという意味では「あった」と答えたが、実際、そうだった。絵を描き新しいロボットのイメージを作りだすことも好きだったが、戦闘シーンのストーリーを考えながら、時間をかけて描いた絵のロボットを切り刻んで破壊していくことも同じように好きだった。
心のどこかで、切り刻んで、今のロボットがなくならない限り、次のロボットの制作に入れない。そんな風に思っていた。破壊がなければ新しい創作はない。創作のサイクルを回すためには破壊が必要だった。壊さないと作れないのだった。
自分が前に作ったものを壊して新しいもので塗り替えるのが好きなのは、そんな幼少期の遊びの影響なのか、もともと、そういうことが好きだったから、そんな遊びをしていたのかはわからない。
でも、今でも、その頃と同じ感覚なのだ。
一度、できたことは別のやり方で更新したくなる。その意味で保守的な傾向はほとんどない。
革新とか大袈裟なものではないけど、とにかく過去に自分が行なったり言ったりしたことの問題点、欠点を探しては捨ててしまい、そうした問題点を改善するような新しいやり方を考えてたりするのに萌える。
自分を更新し続ける
ただ無闇に破壊するわけではない。
問題や欠点に気づいての破壊だったりするから、それが次の創作につながるのだ。
僕の場合、なんとなく自然にそれが1つの行動原理になってた感もあるが、いまの時代、この感覚は、多くの人にとって必要になってくることではないかと思う。
もちろん、自分で作ったものでなくても既存の問題であれば改善するために壊して、より新しく優れたものに置き換える、ということでもよい。
けれど、他人が作ったものを壊すより自分自身の過去を壊して更新していくほうがより大事なことだと思う。
社会環境のイノベーションも不可欠だが、100年以上続く人生ではスピード早く変化していく社会で生き残れるよう、じゃ自身を繰り返し変革していく必要があるのだから。
自分を更新していくためには、ちゃんとこれまでの自分(のやり方)を客観視する機会をある程度のスパンで繰り返し持つことだ。自分に関心の低い僕もそれだけはよくやっている。客観的に前の自分のやり方を見直して、これだとここがもんだじゃないかと反省のタイミングを持つことはよくやる。反省して問題が見つかり、その方法を破棄して新しいやり方を考えてみようと思うこと自体、楽しいからだ。
前に他の人に言われたのは、僕が自分の間違いや失敗を素直に見つけるのがすごい、ということだった。僕自身にとっては自然なことなので、すごいのかーとか逆に「へー」と思ったのだが、間違いや失敗を見つけるのに素直なのは、それを認めれば新しいものを作れる喜びが得られるからなんだと思う。
たぶん、こんな破壊と創造のサイクルが好きだから、反対に、変わらない仕組みやルールみたいなものがあんまり好きじゃないんだと思う。仕組みやルールが壊しにくいし作りにくいって感じるからなのか、そもそも仕組みやルールって根本的には役に立たないものだと思ってるからなのかはあんまり判別はできないけれど。
創造と破壊の繰り返しでひたすら更新され続ける私。
なかなか詩的で好きな傾向のものだ。
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