発音がしにくい障害、構音障害を知ろう
言語聴覚士だけが専門的にみることができる分野に【発音】があります。
一般的には【発音】と言いますが、言語聴覚士は【構音】と呼びます。
デジタル大辞泉によりますと、
発音:[名](スル)音声を出すこと。言語音を出すこと。また、その音声の出し方。動物では発音器官によるもののほか、魚が浮き袋を用いたりキツツキが木をたたいたりして音をたてることにもいう。「正しく—する」
構音:読み方:こうおん
「調音」に同じ。
調音:読み方:ちょうおん
[名](スル)
1 ある音声を発するために、声門より上の音声器官を閉鎖したり狭めたりすること。→調音器官
2 ⇒調律
とのことで、発音と構音は同じ意味合いで使われることが多いですが
実は構音と同じ意味なのは調音です。
発音の方が意味的には広く、その音声を発するために音声器官を閉じたり狭めたりと動かすことを【構音】と呼ぶようです。
そんな【構音】が上手くいかない事態のことを、「構音障害」と呼ぶことがあります。
日常生活に支障がなければ「障害」とまではいかないのですが、
医療機関で何らかの治療を必要とする場合には「障害」となります。
(日本の医療保険を使うためには何らかの障害名を必要とします)
「構音障害」の中には大きく分けて3種類あります。
①器質性構音障害
②機能性構音障害
③運動障害性構音障害
ひとつずつ説明していきます。
①器質性構音障害とは
「器質性」というのは、口や喉の形・作りのことです。
それらの調音器官の形態によって構音に支障が出る場合を意味します。
たとえば、先天性の奇形がある場合もそうですし
口唇口蓋裂といって鼻の下から唇、喉の奥の辺りなどに生まれつき亀裂があって
発音しにくい場合も、器質性構音に含まれます。
後天的なものだと、事故や病気によって調音器官を失ったり切除したりすることによって
発音がしにくくなることがあります。
たとえば、舌がんで病変部位を切除する術後、それまでと同じように発音できなくなることは器質性構音に含まれます。
②機能性構音障害とは
「機能性」というのは、調音器官の形・作りや、神経・筋肉には特に異常はないという意味です。
形態や神経・筋系に異常はないけれども発音がしにくくなる場合を機能性構音障害と言います。
「機能性構音障害」と診断するためには、「器質性構音・運動障害性構音障害ではない」ということを調べて除外しなければなりません。
発達の途中で見られる音の誤りが完成してもよい頃になっても完成しない場合や、
正常な構音には見られない「異常構音」になる場合があります。
これらが習慣化したものを機能性構音障害と呼びます。
③運動障害性構音障害とは
神経や筋肉の異常によって、正常な音が作れないことを指します。
脳血管障害により調音器官が麻痺したり、さまざまな神経系の疾患により異常が出たり、
頭部外傷や脳腫瘍などで神経や筋肉に異常が出ると発音しにくくなる場合があります。
「ディサースリア(dysarthria)」とも呼ばれます。
私たち言語聴覚士はこれらの「構音障害」に対してアプローチし、
元のように話せるようになりたい方や
コミュニケーションを支障なく取れるようになりたい方など
お子さんから大人の方までを対象にしています。
幼少期の構音障害では、特に「機能性構音障害」に該当することが多いです。
私は主に子ども分野の言語聴覚士をしていますので、そのお話はまた改めてしていきたいと思います。
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