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発音練習、いつから始める?

お子さんに発音の心配があったら

発語が出ていろいろとお喋りが増えてくるにつれ、発音が気になる親御さんも増えていきます。

これは当たり前のことで、たくさん喋るようにならなければ発音の不明瞭さにまで意識が向きにくいからです。

第一、発声の意味が伝わらなければ喋っている言葉の発音が誤っているかどうかは誰にも判別ができません。

親御さんのお悩みの変遷として、「ことばが出るのが遅い」から始まって、始語が出て、いろいろ発語が出てくると「発音が気になる」に変化していきます。

発語の悩み事はことばが出たら終わり、という親御さんは少なく、カ行がタ行になる、タ行がチャ行になる、などが多いお悩みです。

発音は練習で改善することができるものです。
そして、練習する際には言語聴覚士と1対1で取り組むことが早道です。

とはいえ、発音の完成のめやすは6~7歳。
就学前で発達途上だと自然に直ることもあります。
それならわざわざ早いうちから発音練習をしなくても良い、と 考える親御さんもいらっしゃいます。
逆に、小学校に上がる前にある程度直してあげたい、と希望される親御さんもいらっしゃいます。

では、どんな場合だと発音練習をした方が良いのでしょうか?

するならいつからしたら良いのでしょうか?

誰かに相談するか迷ったときのチェックポイントをお伝えします。

耳の聞こえはどうか?

聴力の低下は発音に大きな影響を与えます。

Q.最後に聴力検査をしたのはいつでしょうか?
生後3.4日で受ける新生児スクリーニング以来していない、というお子さんや
地域の定期健康診断で受けた、というお子さんなどさまざまかと思います。
「かなり前かも…」「そもそも覚えていない…」という方は要注意です。

Q.呼びかけには振り向きますか?
後ろを向いているお子さんの背後から声をかけてみて振り向くかどうか確認してみてください。
目の前のことに集中していて気付かない場合もありますので、
聞こえが悪いとは一概に言えないのですが、シチュエーションが変わっても同様であれば要注意です。

Q.小さな音にも反応しますか?
耳元で指先をこすってみて音のする方を向くかどうかで確かめてみることができます。

Q.中耳炎に罹患したことはありますか?
罹患歴があると、治ったように見えても徐々に聴力低下を招いていることがあり、慎重に経過を見る必要がある場合もあります。

ちなみに聞こえ方には個人差があるので、高い音が聞き取りにくい・低い音が聞き取りにくい・
語音(言葉)が聞き取りにくいなど、様々なタイプがあります。

また、片耳難聴といって左右どちらかの耳だけ聴力が低下している場合もあります。
音のする方向が分かりにくいことが多いのですが、お子さんの場合だと自分の聞こえにくさに気が付かないことがあります。

大人みたいな押ボタンの聴力検査はまだ難しくても、
お子さん専用の聴力検査の機械もありますので
小児が診られる耳鼻咽喉科にて聴力検査をしてもらうことが有用です。

そして聴力に異常がないことが確認されれば、発音練習に進むことができます。

食事の様子はどうか?

咀嚼時の舌の動きは発音に必要な細かな舌の動きに連動します。

Q.ご飯を食べるとき、ちゃんと噛んでいますか?

Q.たくさん詰め込んで丸呑みになっていませんか?

赤ちゃん時代のおっぱいを吸う舌の動きは前後運動です。
ご飯を咀嚼するには、前後運動だけでなく上下左右運動も必要。
歯の上に食べ物を乗せなければいけないからです。

Q.食事から栄養が摂れているのに、哺乳瓶を使い続けていませんか?
哺乳瓶での吸啜は舌の前後運動を促進しますので、舌の成長を妨げてしまっているかもしれません。
赤ちゃんの飲み方からの脱出が必要です。

つまり、食べ方に気になる部分がある場合はまず口周りの筋力をつけていくことが重要となります。

おしゃべりの様子はどうか?

Q.お話ししているとき、唇を閉じる音でしっかり閉じていますか?
唇を閉じる音=マ行・パ行・バ行
これらは唇を一瞬閉じて発音する音ですが、唇を閉じることが弱いと開いたままかもしれません。


Q.口をあまり動かさないでしゃべっていませんか?
唇、舌といった口周りの筋肉は使わなければ、どんどんパワーダウンしてしまいます。
動かす回数が少ないと、発音の発達的に必要な筋肉量が満たされない可能性がありますので
もう少し口を動かす経験を積む必要があり、発音の習得に時間がかかっているのかもしれません。

その場合、まず発音そのものを直す練習をする前に筋力アップをねらいとした練習をすることになると思います。

音の聞き分けができるか?

音の聞き分けのことを「音韻弁別」と呼びます。

Q.口元を隠して音を1つずつ聞かせて、今言った音は何か当てられますか?
発音練習をするとき、その前段階として正しい音と誤っている音の弁別ができているか、
耳の成長度合いを確認します。
たとえば、

「かさ(傘)」と「かた(肩)」のどちらかを言ったのか判別できれば「さ」と「た」の音韻弁別はできている、ということになります。

発達のめやすですが、音韻弁別は4~5歳ごろ育ってくると言われています。
ですので、この年齢未満だと発音訓練自体は非常に難しいと言えます。

嫌な思いはしていないか?

Q.お友達に「赤ちゃんっぽい」と指摘されていませんか?
お子さん本人が嫌な気持ちになっていたり、発音を直したいという気持ちが芽生えたら
練習への動機づけがあるということになります。
そういった場合は、練習自体を短期的に集中して行うことができます。

逆に、いくら周囲が気にしていても本人が気にしていない、困り感がない場合は
定着するのに時間がかかったり、日常会話に般化しにくかったりして
練習自体が時期尚早である場合もあります。

本人の受け止め方を丁寧に聴取することが大切です。

参考になる本

発音が気になったときのチェックポイントを5つ挙げてみました。
これらが全てではありませんが、年齢や本人の困り感などによって始める時期には個人差があります。

ひとつのめやすとして参考になれば幸いです。

発音練習について参考になるおすすめ本を以下に挙げておきます。

子どもの発音とことばのハンドブック 山崎祥子/著 芽ばえ社

特別支援教育における構音障害のある子どもの理解と支援 (シリーズ きこえとことばの発達と支援) 加藤正子,竹下圭子, 大伴潔/著・編集 学苑社

6歳までの「ことばの遅れ」の不安が消える 「お口とことば」を育てる13のレッスン 上里 聡,山田 有紀/著 笠井 新一郎/監修 現代書林

こちらは言葉の遅れに着目していますが、発音に関しても共通の部分があります。
どれもわたしが実際に所有しているおすすめの本です。ご一読いただけると幸いです。

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