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フリーランスの不安定さをみた
ぼくの事業のひとつである、自動車販売をしてる店で出会った話です。
20年近く前にイラストレーターとして独立して、これまで第一線でずっと書き続けているという方と、お話をさせてもらいました。その方は原付スクーターを求めてうちにやってきてくれたんですが、雑談をかわす中でその人がイラストレーターをしていることを知ることになったんです。
そのイラストレーターの方の主な依頼主は出版社らしくて、本の表紙や本の中のイラストを描くのがメインの仕事だそうなんです。
旦那さんの理解もあって、ご家族で協力しながら楽しく仕事をしているみたいなんですが、途中からちょっと歯切れが悪くなってきたんですね。
「なんか、触れん方が良さそうじゃなぁ、、」そう判断して、その方の雑談やスクーター選びを進めていたんですが、ぼくが別の事業としてフリーランスのような仕事もしていることを話すと、堰が外れたように心の中のつっかえを話してくれるようになったんです。
どうやらそのイラストレーターさん。独立した当初から仕事がしっかり舞い込んできたみたいで、忙しい毎日を過ごされたそうなんです。
どんな仕事も断らないし、しかもどれだけムチャな仕事であっても必ず納期を守る。そのような仕事に対する姿勢が評判を呼んで、いろんなところから声をかけてもらえてたそうなんです。
ですが、数年前から仕事が減少。
ついには、収入が絶頂期の1/3までになってしまったそうなんです。もちろん生活もなんとかできている状態とのこと。
そうなった理由は色々考えられるんですけど、中でも最も大きな要因は『クラウドソーシングの誕生』でしょう。そのイラストレーターの方は、仕事が早い、どんな仕事も断らないというのが大きな武器でした。
ですが、ネットのインフラが整って、全国のどんな人でも仕事ができるようになると、もうそういった『仕事が早い、納期を守る』くらいじゃたいした武器にはならなくなってきたんです。だって、ほとんどの人が仕事を取ろうと必死ですからね。仕事が早い、納期を守るというのは武器じゃなくて最低条件になってしまったんです。
とはいえ、そのかたも20年以上やってきているわけです。昔のよしみというのがありますので、そういったコネで専用のパイプや仕事を作ってもらって、なんとか食い扶持を保っているということだったんですね。
このように自営業、フリーランスというのは、時代の流れにモロに影響を受けてしまいます。そういった個人事業じゃなくても、時代の影響というのはどんな事業でも影響を受けてしまうものです。
なので、時代の先をよんで行動する、事業計画・経営指針を立てるというのが大事になってくるんですが、それが簡単にできたら誰も苦労しません。ですが、ある程度の法則性もあるとぼくは考えています。
法則性といっても、すごく当たり前の話なんですが、時代の影響を受けるということは、『武器だと思っていたものが当たり前になってしまうこと』だと、ぼくは思ってるんですね。
だって、影響を受けて何が困るのか?というと、キャッシュフローが鈍ること。これに尽きるはずなんです。
で、キャッシュフローはどのように生まれているのか?というと、大きく噛み砕いてしまうと「良さそう、欲しい、必要」という気持ちを中心に生まれてきます。
つまり、言ってしまうと人間の共同幻想が強ければ強いほど、大きなキャッシュフローが生まれるということです。
「これが当たり前になったら困る!武器がなくなる!」そういった目線で時代の先を読んでみたら、また違った未来が見えるかもしれませんよ!
田辺輝恭
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