可能性を信じる存在になる
人には、成長したいという欲求があります。
単純に『成長欲求』と呼ばれたりするんですが、「自分の可能性を信じたい」とか「自分はもっと成長できる」といった気持ちがそれに当たります。
要は、今よりもっと良くなりたい!という欲求ですね。
で、実はこれ、最近よく耳にするようになった『自己肯定感の低い人』にも、バッチリ当てはまります。
『成長欲求』という言葉だけをみると、なんだか「今バリバリやっているけど、もっと上を目指したい」だとか、「今まで培ってきたスキルをもっといろんな方面で伸ばしたい」などといったポジティブな印象を受けがちです。
もちろんそうです。「もっと上に行きたい」といったプラスの感情は、完全なる成長欲求です。ですがそうじゃなくって、「こんな自分は変えたい」とか「今のままじゃダメなのはわかってる」といった感情も成長欲求に当てはまるんです。
そしてさらに、「誰かに自分のことをちゃんと見てもらいたい。寄り添ってもらいたい。」といったものも、成長欲求に当てはまるんです。
で、ですよ。
言いたいことはここからなんですが、この『人が持つ成長欲求』をうまく支えてあげることで、給料を頼らずにモチベーションを保つことができるようになるんですね。
具体的に何をすればいいのかというと、答えは簡単です。
相手に期待したり、信じてあげたりすればいいだけなんですね。
カナダの生物学者に、生涯にわたって「人は何をストレスに感じるのか?」だけを研究し続けた方がいます。ハンス・セリエという方なんですが、ストレスについて研究するなかで、「なにをすれば人はのびのびと自信を持って行動するようになるのか?」といったことも導いたんです。
そして、研究結果としてハンスさんは「周りから期待されると人は自信を持つようになる。そしてその自信が成功につながっていく。」と言葉を残しました。
やはり人は、コミュニティのなかで生きたい、居場所を感じたいと思う生物です。最近では『孤独死』というワードも大々的に取り上げられるようになってきましたが、そもそも人間に孤独に生活する習性があるならば、『孤独死』というものが注目されるわけがありません。
ありえない、または悲観的に見えてしまう。だからこそ注目を集めるんです。
人ってのはそれだけ、誰かに見てもらいたくて、何かしらのコミュニティに居場所を作りたいと思う生き物なんですね。
もちろん、ぼくだってそうです。成長欲求という存在を知ってるにも関わらず、どうしても「認めてもらいたい!見てもらいたい!」といった感情がわきあがります。(知ってるから抑えることができるという側面もありますがw)
なので、組織の中でどーも仕事のハリがないという方がいるのであれば、認めていること・信じていることを開示してあげるべきなんです。
とはいえ、一方で「褒めすぎるのも良くない」という意見もあるでしょう。
確かにその通りで、生きすぎた褒めや承認は、人を怠けさせる方向に進めてしまう側面もあります。なので『どこまでいったら叱るか』といった基準も、平等化・マニュアル化の視点でも決めていく必要があります。
田辺輝恭