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「うまくいってる人を指標にする」の罠
尊敬する経営者を指標にしている人がいます。
例えば、メディアによく露出している人だったり、たくさん書籍を出版している人だったり、そういった有名な経営者を師事しているような人ですね。
他にも、商工会だとか各種同友会、交流会などで知り合った、実績と経験を兼ね備えている経営者を指標にするというのもそうでしょう。
『メンター』って表現をされることもありますが、このように自分の道をぶらさないために尊敬する経営者から学ぶことは、ぼくはいいことだと思っています。
緊張感を保つこともできますし、なにかトラブルなどが起こっても「あの人ならどう対処するだろうか?」と、思考をすぐ整えることもできるようにもなります。それに、すごいと思ってる人に近づくことで「あ、意外と普通の人なんだな」ということにも気付くことができます。
そうなると、自分のなかにあるハードルも一気に低くなりますんで、視野が広がって行動範囲が自然と広がってくるようにもなります。
このように、自分の限界を突破するために「すでに突破している人の近くにいる」ということは、ビジネスを成功させるための一番の近道なんじゃないかと、ぼくは判断してるんですね。
なんですが、当然ながら注意点もあります。
むしろ、この注意点を無視していたら、どれだけ優秀な経営者を師事していても、全く身にならないばかりか、自分で自分の首を締めることにもなるでしょう。
っと、こんな感じで十分クギをさしたところで本題に入るんですがw、注意点というのは「師事している経営者の言葉」なんですね。
もっと具体的に言うと、「師事している経営者の言葉を鵜呑みにしていたら、絶対にうまくいかない」ということなんです。
特に、話しの内容を深掘りしても「〇〇さんが言ってるから」などと、思考することを放棄している状態になってしまっていると、もうおしまいです。『スゴい人と繋がっている自分』に酔っているだけで、成長・存在価値としてはゼロに等しいと言えます。
じゃあ、なんで師事してる人の言葉を鵜呑みにしちゃいけないの?というと、師事する人とされる人というのは、備えている環境が違うからです。もっと言ってしまえば、そもそも人物として全く違うからです。
どういうことかというと、その人がうまくいった理由は完全にその人だからできただけということなんです。
例えば、「毎日誰かを褒める朝礼を取り入れたら会社が活気付く。」という手法を聞いたとします。なので、それを聞いたらすかさず「ウチもできそうだからやってみよう。」となるかもしれません。
ですが、同じ『朝礼で誰かを褒める』であっても、褒める言葉遣いに差があるかもしれませんし、褒めるタイミング・褒める対象との関係性なんかにも差があるかもしれません。声の質や速度によって、相手に与える印象も当たり前のように違ってきます。
なんなら、会社の歴史もちがいますし、業種も当然ちがいますし、集まってる社員さんの性格や社風なんかもまったくちがってきます。
それなのに「毎日誰かを褒める朝礼を取り入れたら会社が活気付く。」という話だけを鵜呑みにしてしまうと、全く意味がないんです。
もちろん「実行力のあるオレかっけぇ〜〜!あの人と同じことをやってやったぜ!」って余韻に浸ることは可能です。ですが、そんな余韻に浸っても、肝心の『組織活性化』ができないんじゃ本末転倒です。
なので、いくら実績があって経験豊富な人のアイデアであっても、「可能性の1つであって仮説でしかない」という受け止め方をする事の方が大事なんです。
どんなにありがたいように聞こえる言葉でも、自分にとってはただの仮説にすぎません。
いくら心酔していようとも、ここだけはちょっと距離を置いて、言葉の一つ一つを精査していくべきでしょう。
田辺輝恭
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