芸能界を電撃引退した男の伝説の講話
島田紳助さんっておられたじゃないですか。
ぼくは好きってほどではないんですが、ぼくにはできないあの軽快なトークが魅力的でして、「嗚呼!バラ色の珍生!!」とか「行列のできる法律相談所」などを、たまぁ〜〜に見てたんですね。
で、たくさんのレギュラー番組を持たれた状態で突然の引退することになったんで、「こりゃテレビはどうなるんかのぉ、、」と思いながら動向を伺ってたんですが、、、案外どーとでもなってますよねw
世の中、「自分がいなければならない」という状況というのは、なかなか無いといういい教訓にもなりました。
そんな島田紳助さんなのですが、NSC(吉本総合芸能学院)で伝説の講義をされているのをご存知でしょうか?いや、厳密にいうと若手向けのセミナーを島田さんが開いたんですが、その中身があまりにも濃すぎて、そして本質・核心をつきすぎていて『伝説』と語り継がれるようになったんです。
どんな講義内容なのか?というと、検索すればヒットするんで、ぜひ見てもらいたいんです。
お笑いも人間を相手にする商売ですので、そのノウハウはそのままマーケティングやセールス、組織マネジメントに丸ごと応用することができる内容となってるんですね。
で、ですよ。
その講義の中で、島田紳助さんは「ちょっと売れ出すと若い女がキャーキャー言い出すねんな。それが邪魔やねんな。」と言っています。
ぼくみたいなタイプの一般人からすると、「ああ、うらやましいこってすな」となるんですがw、なんで邪魔なのか?その理由も語られていました。
なんでも、売れた途端現れるミーハーキャーキャー女というのは、最前列に席をとって、なにを言っても「おもしろーーーい♪」と笑ってくれるそうなんです。で、ちょっと人気が出始めた芸人の方々は、それに調子にのってしまって、芸を磨くのを鈍らせてしまうんですね。
そうなると、もうおしまい。
対しておもろぉもないネタにゲラゲラ笑ってくれるもんですから、ネタの切れ味はどんどん下がっていきます。すると、「うわ、おもんな」ということで視聴者もどんどん離れていくようになります。
で、結果として人気に陰りが出始めたころに、最前列を張ってキャーキャーいってた若い女たちも「人気ないならもういいや」ということで、別の人気者のところに流れていく。
そして、誰もいなくなった。ということが起こるみたいなんですね。
だから、目の前のミーハーな若い女じゃなくて、テレビの向こうのコタツで寝そべって軽く人生に絶望しているような目で見ているような兄ちゃんを笑わすようじゃないと、芸人としてダメなんだとか。
面白い哲学ですよね。
で、この流れってのは、実はビジネスでも全く同じことが起こります。それはマーケティングの面でも組織マネジメントの面でも、、、です。
『頭寒足熱』って言葉、聞いたことありますか?
文字通り頭を冷やして足を温めようという意味なのですが、全体に熱を回したいのであればまずは下を温めようということで、健康法として昔っから語られてる方法でもあります。
お風呂もそうですよね。比重の関係でお湯は上に、水は下に動こうとする力が働きます。なので、お風呂全体を温めたいのであれば、お湯は下の方に入れなければなりません。
この頭寒足熱は、ビジネスの健康を保つのにも大切な考え方なのですが、要は自分に近い人ばかり温めたらダメ、遠い末端の人こそ温めよう。むしろ自分に近いところは冷静にさせなければならないということです。
組織の場合だと、トップ層ばかり盛り上がってるような組織はダメ。ちゃんと末端の方まで熱気を帯びていて、むしろトップ層は冷静な判断ができなければならないということです。
さっきのお笑いもそうですよね。
島田紳助さんは、目の前の若い女は邪魔だと言っていました。これはつまり、自分に近い頭だけが温まってる状態です。
ですがそうじゃなくて、自分から遠い存在。つまり足ポジションにいるような人こそお笑いを届けて、温めなければならないといっているのです。
そうしないと、いつまでたっても全体を温めることはできないということなんですね。
島田紳助さんの伝説の講話には、まだまだビジネスに応用するべき話がたくさんあります。
ぜひ、一度聞いてみることをオススメします!
田辺輝恭