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謡を習っている方へ
この度
— 田邊恭資 (@takimaturi) March 27, 2021
『はじめての能楽お稽古』
と題しまして、合同での体験教室を開催します。
お好きなパートを選んで六回お稽古ののち合同発表会、料金は三万円(税込)です。
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今回はややオタク的な投稿です。
途中ジャーゴンを多用しているので、分からない部分はドンドン飛ばして、最後だけをお読みください。
本日4月11日、「兼平」という能を勤めました。
そのなかの二ノ同(※1)は、独吟でも謡われる調子のいい部分です。
一句目の
「一念三千の。機を現して」
この部分は中ノリ(※2)になっています。
よって、弾みよく謡い出しなさい、という指示ではないかと考えられます。
乗っている船が順調に進んでいることをあらわし、あとで景色が次々に変化する様子を見せる前提を作ります。
しばらくあって
「さてまた麓は楽浪や」
ここの「さてまた」はトリの間(※3)で
「さてまーたーア」
とたっぷり謡います。
ここでノリが変化することで、あとに続く「麓」の景色に聴き手を誘導します。
さらにあとの
「遠かりし。向かいの浦波の」
の「遠かりし」もトリの間で
「とーおかりしーー」
となり、大きく引っ張ったあとに「向かいの浦波」とサラリと謡うと距離感が出てきます。
謡のごく短い部分の三点について、拍子に即して書きました。
要するに、拍子というのは単に能の音楽的なノリだけに関わるのではなく、謡の詞のイメージを表現するための大事な演出要素なのです。
言葉と節だけを追っているうちは分かりにくいことが、拍子に沿っていくと形として「見えてくる」。
そして先人の作曲意図に想いを馳せます。
理解したつもりが全然勘違いでした、ということも往々にしてありえますが。
そのつかみにくいところも、古典に触れる面白さだと思っています。
※1 能全体で二番目に謡われる地謡(コーラス)のパート。ちなみに最初の地謡パートは「初同」
※2 一拍ごとに二文字をあてる拍子形。間が少なく、キビキビとしたノリになる。
※3 能の拍子は原則として8拍を1クサリとして進行するが、時に変拍子の部分がある。トリの間は4拍1クサリで、変拍子としては最も多用される。