服が嫌いな服屋の店員。
まず自分が好き過ぎるので自分語りします。
どれだけ好きかっていうと、
人類史上最高傑作の人間が自分だと思ってるくらいには好きです。
御多分に洩れず末っ子です。4人兄弟の。
ただ末っ子といっても両親は放任主義寄りで兄弟も少し歳が離れててあまり遊んでもらってないので、
自分で自分を甘やかしたモンスター末っ子寄りの末っ子です。
家の平和を嬉々として守っていたガーディアン鍵っ子でもありました。
そんな人類史上最高傑作の人間で、
モンスター末っ子でもあり、
ガーディアン鍵っ子でもあった私は、
今年で30歳になります。
そして今月で丸3年、
異性に一切触れてません。
触れられておりません。
触れる術もございません。
触れる機会すら無かったように思います。
もう2度と触れられないのでは?と考えて震える夜もございます。
これは由々しき事態である。
そう脳内警報が鳴りっぱなしです。
原因はなにか、
要因はあるのか、
起因はいつなのか、
いや、そもそもの一切合切は人間性がシンプルに醜悪だからではなかろうか。
どうやら自分は人類史上最高傑作の人間では無いっぽいぞ。
あぶねー、恥かくとこだった。
じゃあ自分とはなんぞや。
自分とはなんなんぞや。
あ、
服屋界のアンチヒーローだ。
・服屋界のアンチヒーロー 鼓動🫀
10年近く服屋に勤めています。
アパレル、古着屋とは言いたくありません。
アパレルだし、古着も扱ってるけど、なんかアパレルとか古着屋で働いてるって言う奴って総じてドヤァッな顔もセットでお届けしてくるイメージありません?うざったいですよね。
10年近く服屋に勤めているとお客さんやメーカー、同僚、同業者からよく聞かれる言葉があります。
『服、好きなんでしょ?』
『どういう服が好きなの?』
『良いなあー毎日好きなものに囲まれてて』
この辺の言葉を10年間で通算101回は聞かれました。
101回といえば、
星野源と新垣結衣の結婚のニュースを見ると
武田鉄矢と浅野温子が結婚した世界線もありえたのでは、、と考えてしまいます。
話を戻します。
客『服、好きなんでしょ?』
私『いや、別に好きじゃないです。』
客『またまた、じゃあ10年も働かないでしょ』
いや、本当に好きじゃない。
しかも別に嫌いじゃないとは思わないから好きか嫌いかで言ったら嫌い寄りなんだと思う。
じゃあ何故服屋で働き始めたかって、
ただの興味本位です。
じゃあ何故10年も服屋で働いているのかって、
出来るか出来ないかで言えば出来るし、向いてるか向いてないかで言えばたぶん普通の人より向いてるから。
これ以上でも以下でもないです。
好き嫌い、得意不得意、向き不向き。
この3つが入り乱れ、もみくちゃになり、歪みながら、奇跡的に形作られた10年だと思われます。
向き不向きとモト冬樹の語感が近すぎる。
まさかそういうこと?
話を戻します。
・服屋界のアンチヒーロー 発芽🌱
最初から服が嫌いだった訳ではありません。
嫌いになった明確な理由があります。
その理由は、服が好きな奴とアパレル関係で働いてる奴が嫌い。
何年代の古着が好き、
どこどこのブランドがカッコいい、
今年はコレが来てるの知らないの?、
やっぱりアメリカ製でしょ、
ここの細部がこうじゃないと、、etc
上記のように自分の知識とこだわりを聞いてもないのにひけらかす自称服好き、
オシャレという事を他人から言われると馬鹿正直に喜ぶ馬鹿、
自分の性格は見て見ぬ振りでカッコいい服着て武装したつもりになって偉そうに道の真ん中を歩いてる中身ペラッペラな奴等のバーゲンセール。
そしてアパレル関係で働いてる奴ってアパレル関係で働いてるだけなのに根拠のない自信を顔と態度に出してる可哀想な人種が未だに多いんですよ。
客の上から下を舐め回すような視線を送るクソ店員。合同展示会とかでも違う店の人をそうやって見ますからね。きしょい。
駅前とかコンビニ前で集団で酒飲んでる脳が足りて無さそう奴らも大体アパレル関係の人間です。
あいつらは群れたがるんです。
自分一人だと何者でも無い、何も出来ない、何も考えられない、何も分からないから、
とりあえず頭数だけ揃えて集うんです。
かわいしょ。
奴等と趣味趣向の話をしても全員テンプレートの答えしかしません。
すげー偉そうな態度と自信だから、よっぽど面白い人で掘り下げ甲斐があるんだろうと思って話して見ても全員同じ。年齢関係なし。
え、うそ、アパレル産業会合〜Q&A対策〜のセミナー参加した?誘ってよぉ〜。
っていうくらい全員同じ。
この教養も品性も知性も面白味も無い奴等のせいでアパレル関係の仕事が好きこそ物の上手なれ職業認定されてるのがめっちゃうざい。
総じてマウント取り合戦で終始する阿呆どもと一緒にしないで欲しい。
嫌いな人が好きな物って嫌いになりません?
嫌い奴が勧めてきた店とか映画って絶対自分に合わない、仮に良かったとしても良いって思いたくないマインド発動しません?
故に服が好きじゃなくなりました。
そんな事を考えながら服屋で働くこと数年、
ヤキモキした気持ちを抱えながら働く中、
ある日ふと、モチベーションが生まれました。
・服屋界のアンチヒーロー 誕生🤱
そのモチベーションとは2つ。
・服が好きな奴が服を好きじゃない自分から服を買っているという事実。
服に対して愛着も感情もこだわりも無い自分が仕入れた服、手入れした服、ディスプレイした服、デザインした服に対してお金を払っていくという事実にゾックゾクします。
・アパレル関係で働いてる奴らの大多数よりちょい平均年収が自分の方が高い
アパレル関係で働く奴らは、服が好きで服屋で働く自分が好きなんでしょう。
うんうん、別にそれでいいよ。
まっ、俺の方が年収上だし。
自分より年収上だとしても貴様らに迎合することは一切ないという根拠のある自信がありますから。
嫌いになった理由とモチベーション、
この相反しそうな2つが歪な形で合致してます。
例えるなら、
中華料理が嫌いな陳建一。
幽霊を全く信じてない稲川淳二。
アナログ生活をするスティーブ・ジョブズ。
愛国心が無いキャプテンアメリカ。
そう、悪を持って悪を制す。
言うならば、服屋界のアンチヒーロー。
それが自分なのであります。
服屋界のアンチヒーロー 未来🦇
自分の好きがしっかりあって、
自分に似合ってる服がわかってて、
それを他人に強要しない人は素敵でカッコいいと思います。
人は人、自分は自分と考えてる人は話してると楽しいです。
服屋に慣れてないお客さんが勇気を出して服について聞いてくれると嬉しいし頑張れます。
そう考える私は明日も服屋で働きます。
服を否定しながら。
別に好きじゃないスタンスを取りながら。
これ身バレしたら相当やばいんじゃ?と戦々恐々としながら。
明日も服屋で働きます。
明日辞めても全然良いし。