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おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are 読みました!

遅ればせながら読みました。外出自粛のゴールデンウィークに、雨模様の薄寒い日に、濃いめのお茶とおやつの黒糖ボーロをトレーにセットして、暖房の前に自分の席を用意しました。こんな日にぴったりの現代版の怪談です。さほど怖くないと高を括り寝る前に読むと、嫌な夢を見ること間違いありません。何とも言えない緩やかな不安がにじり寄ってくるようです。

ご存知の方も多いと思います。この短編はそれぞれが怪談や歌舞伎、落語をモチーフにしてるそうで、その一覧をざっと見て読み始めました。最初は、なんだか良くわからない、違和感を持って読み出しました。ところが読み進むと、だんだんと不気味な恐怖が襲うのです。

気がつくと短編が繋がってくるのです。そうなるとやめられなくなり、次々と読まずにいられませんでした。

モチーフになっている原作を知っていると、それが裏切られたり、現代版解釈になっていたり、皮肉も込められていたりと感じることができます。うら若きかよわい女性が化けて出る怪談話が、作者の手によってふっと笑えるコメディになっていたり、思いがけず爽快さがあったり、原作以上に不気味だったりします。

モチーフを知っているとまた違った楽しみもあります。例えば「クズハの一生」では、主人公のクズハがきつねに似てる?狐のクズハといえば、『葛葉狐』でしょう。ほら、やっぱり安倍さんと結婚しました。生まれた子供は安倍晴明でしょうか?などと考えながらも読めるのです。

馴染めなかったのは、「ひなちゃん」です。モチーフの『骨つり』は落語なのでカラッと笑えるようにオチがつくけど、「ひなちゃん」は笑えない。女性同士でお風呂で戯れるのも私には別世界。小説を読んでいる時は、頭の中が映画のように映像で読むのが、「ひなちゃん」は途中で観たくなくなりました。それだけインパクトも強かったのです。

そして最後の「下りない」は今までの話をまとめています。目に見えないものの力で私たちも生かされているのではないかと考えさせられました。怨念は成仏できないけど、執着を捨てれば生まれ変われるし、今の自分の力はご先祖様やご縁をいただいた人たちの霊の力に助けられているのだと思いました。そっと感謝します。

最後まで読み終えて、「 Wild Ladies 」の意味もなんとなくわかりました。楽しく読ませていただきました。ありがとうございました。

おばちゃんたちのいるところ - Where the Wild Ladies Are :著者 松田青子 発行 中央公論新社



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