テレビ壁掛け⑦ コンセント工事の方法と電線管
日本では、壁掛けテレビのための壁裏に隠蔽する配線は、
コンセントの設置や増設に準じた手順で施工されることが多いようなので、
コンセントの取り付け工事の方法について調べてみました。
コンセント工事の手順
建物についている壁コンセントは、
こんなふうに計画されて取り付けられています。
コンセントの新設工事
新築の建物ではこんな順番でやってるそうです。
壁の下地が組まれたところで、
決まっている位置・高さでスイッチボックスを柱や下地にネジ止め分電盤からケーブルをひいてきてスイッチボックスにひっかけておく
石膏ボード・壁紙を貼って壁を完成させる
スイッチボックスのアルミ箔や磁石を手掛かりにして壁に穴あけ
コンセント(器具)をケーブルと接続して取り付ける
スイッチボックスっていうのはこんなのです。
コンセントの縦方向への移動・増設
既存のコンセントを縦方向(下地で遮られない範囲)に、
移動または増設する工事は比較的簡単です。
新しく取り付けたい位置に穴をあける
近くのコンセントから分岐・移動させて、
穴の部分までケーブルをひいてくるコンセントを固定するための後付け用の材料(ボックスや枠)を
石膏ボードに挟み付けるコンセント(器具)をケーブルと接続して取り付ける
スイッチボックスへの器具の取り付け
壁にあるコンセントやスイッチ(器具)は、
柱や下地に固定されたスイッチボックスに
次のような順序で取り付けられています。
取付枠に器具(コンセントやスイッチなど)をはめこむ
器具をつけた取付枠をスイッチボックスにネジで止める
プレート枠を取付枠にネジで止める
化粧プレートをプレート枠にパチッとはめる
(プレート枠と化粧プレートを合わせてプレートと呼ぶ)
スイッチボックスは規格が決まっているので、
(特殊なもの以外は)どこのメーカーの取付枠・器具とでも合います。
コンセントやスイッチ縦1列分の単位を1連といい、
複数のスイッチがあるところや、
コンセントとLANやテレビなどを1か所にまとめた
マルチメディアコンセントでは2連や3連も使われます。
電線管
壁掛けテレビの配線を壁の裏に通すため、
スイッチボックス間を電線管で接続します。
電線管というのはその名のとおり、電線を通すための管で、
薄い被覆しかない電線を保護する目的のほか、
ケーブル類の交換や追加を容易・可能にするという目的もあります。
よく使われるのは、
曲げやすい樹脂製の管(合成樹脂性可とう管)で
CD管とPF管があります。
CD管
もともとはコンクリートに埋め込んで使う電線管。
オレンジ色が多い。
PF管
耐候性・自己消火性がある。露出部でも使える。
ベージュ色が多い。
これらの電線管のサイズは内径(mm)で呼ばれて、
たとえば「PF16」というのは、内径16mmのPF管のことです。
同じ内径ならば、CD管よりPF管の方が少しだけ外径が大きいです。
(例:CD16→外径21mm PF16→外径23mm)
電源の延長コードやテレビ配線を通す配管としては
どっちを使ってもよくて、
少しスリム、かつ、値段が少し安いCD管が使われることが多いようです。
壁掛けテレビの隠蔽配線に使う電線管は?
HDMIケーブルのコネクタ部の大きさや、
将来ケーブルが増えるかもしれないことを考えると、
壁裏の空間が許す限り
なるべく内径が大きな電線管を入れてほしいのが人情ですよね。。。
しかし、
一般に使われるスイッチボックスに取り付け可能な電線管のサイズは、
最大16mmまたは22mmというのがほとんどです。
コンセントにしてもスイッチにしても。
ボックス間につなぎたいケーブルって、
太さ9mm~13mm程度の電源ケーブルや、
LANケーブル・アンテナケーブル程度なので、
たとえ複数通すとしても、
電線管の内径が22mmもあればもう十分なんですね。
なので、単に「なるべく太い電線管で!」って職人さんにお願いしたら、
内径22mmのCD管で施工なさるのが普通だと思います。
(それより太い電線管を一般家庭の工事レベルで使わないので、
業者さんも手持ちで在庫してない?)
内径22mmの実力とは?
現状、電線管を通したいテレビ関係の配線で
一番大きなのはHDMIのコネクタかと思います。
(アンテナ線もLANケーブルも、
電線管にはケーブルだけ通してコネクタを後付けすることができます)
テレビの壁掛け金具の取り付けをお願いした業者さんから、
「内径22でもHDMIケーブル通りますよ」と教えてもらいましたので、
手元にあったHDMIケーブルをPF22に通して検証してみました。
隙間もありますので、短距離ならば
アンテナ・LANケーブルとの同居や複数本挿入もできそうです。
ただ複数本通す場合には、内径を占拠してしまわないように、
各ケーブルをより径が細いケーブルに買い替えた方がよさそうです。
(長いHDMIケーブルは損失やノイズを防ぐため太くなる)
適切なケーブルさえ選択すれば、
壁掛けテレビの隠蔽配線に使う電線管は内径22mmで十分といえそうです。
コネクタ部分の幅と厚みの対角線(幅ではない)が
22mm以内ならば管の中に通せますが、
市販されている中には内径22に通せないHDMIケーブルもあるそうです。
また、曲がり部分があったり長距離の電線管には、
内径22であってもHDMIケーブルを通すのは厳しいと思います。
なお、内線規定という業界の自主規定の中で、
強電(家庭用電源)のケーブルは、
弱電(LAN・TVなど)と直接接触しないように
敷設することが決まってます。
なので、これらを一つの電線管で通すことは避けましょう。
(「強電は弱電と離隔をとる」といった表現をします。)
ちなみに、すでに敷設されている電線管に、
コネクタが大きいケーブルを通すために、
細径に変換するこういう商品があるようです。
スイッチボックスや電線管は隠蔽配線に必要か?
スイッチボックスを付けるのには次のような目的があります。
電線管を固定したり、配線前のケーブルを仮固定するため
穴あけ工事の目印として:
ボックスにアルミ箔や磁石が付いていて、これを目印に工事する背面にある断熱材などに電線の接続部が触れないように保護するため
壁コンセントの取り付けでも、
ボックスを使わずに枠だけをつける工事が行われる場合もあります。
電源の接続がなくて、
単にアンテナケーブルやHDMIケーブルだけを通すならば、
危険性もないのでボックスを付けるメリットはあまりなく、
壁に穴が開いていてそのそばに電線管の端があれば十分ともいえます。
部屋の反対側や別の部屋まで各種ケーブルを引くような長距離では
電線管はどうしても必要になりますが、
単にテレビ裏から、テレビボードがあるところまで、
壁裏に空間があって垂直1mくらいのストレートであれば、
電線管すら無くてもいいかもしれません。
実際、壁の上下にシンプルに穴を開けただけで壁裏はそのまま空洞、
という工事を業者さんに提案されて選択された方も
ネット上の体験談で見かけました。
ウチはというと・・・
ケーブルやネジ類を落としてしまうと救出が困難。
室内空間と壁裏空間がつながってほこりとか虫が侵入するのはイヤ。。。(ボックスがあるから密閉されるというわけでもないのですが・・・)
断熱材があるので、通線するときに傷つけたくない。
そんな理由で、両方とも省略はせず、
スイッチボックスを上下に取り付けて、
その間を内径22mmの電線管で接続する、という施工をお願いしました。
(2020-03-27に投稿した記事の移転・再投稿です)