テレビ壁掛け⑧ 隠蔽配線に使うスイッチボックス徹底比較
電材カタログを眺めていると、
スイッチボックスにも実にいろいろなのがあるもので。
なかでも未来工業さんのカタログは工夫とアイデアの宝庫。
せっかくの壁掛け工事です。
一回設置したスイッチボックスは建物に半永久的に残るので、
カタログでじっくり吟味し比較検討したうえで、
候補のいくつかを実際に取り寄せて、採用品を選んでみました。
テレビ壁掛け用のスイッチボックスに求める条件
①内径22mmの電線管を取り付けられること
スイッチボックスはスタンダードなものから、
サイズ・機能など特徴のあるものも各メーカーから発売されてます。
壁掛けテレビの壁裏配線で使うならば、
HDMIケーブルを通すために
最低でも内径22mmの電線管(CD管・PF管)を
差し込むことができるというのが、スイッチボックスの最低条件。
(ただし、HDMIコネクタ部が大きいケーブルだと
内径22mmでも通らないものもあります)
大半のスイッチボックスは内径22mmの電線管をつなげられますが、
壁裏空間の奥行きが浅いと、
内径22をつなげられない薄いボックスしかつけられなかったり、
ボックス自体を取り付けられない場合もあります。
②強電と弱電の離隔をとれること
テレビの電源と各種信号線を通したいので離隔がとれることが必要。
基本的には2連のスイッチボックスを選定しますが、
1連でも離隔可能な商品があったり、
1連を2セットつけるという選択もあります。
スイッチボックスを比較
各社のスイッチボックスをカタログで比較検討してみました。
これらのスイッチボックスは、
柱や下地にネジで固定するタイプのもので、
新築のときや、仕切り壁を壊すような
大規模リフォームのときに取り付けるものです。
すでに壁があるところにこれらのボックスを使うためには、
いったん壁を(一部)剥がして下地を露出させなきゃいけないので、
けっこう大がかりな工事になります。
①未来工業 スライドボックス
多種多様な商品開発で知られる未来工業のスイッチボックスで、
未来工業ではスライドボックスという商品名です。
スイッチボックスを扱うメーカーは複数ありますが、
入手のしやすさやラインナップの豊富さから、
未来工業の製品が事実上のスタンダードのようす。
未来工業のカタログを見ると、スライドボックスだけで何十種類とあり、
それぞれに1ヶ用・2ヶ用・・とラインナップされています。
(スイッチボックスでは「2連」ではなく「2ヶ」と表現するようだ)
(おそらく)基本となるスイッチボックスは、
台付スライドボックス(型番:SBH)で、
壁裏の空間によって浅形(SBS)、深形(SBY)も選択できます。
最近の主流は、石膏ボードの穴あけが簡単な
小判スライドボックス(SBG)で、
これにも浅形、深形があります。
これらのスライドボックスのうち、
浅形だけは内径22mmの電線管を差せません。
ほかにも、パナソニック(住宅用スイッチボックス)のほか、
いろんなメーカーから同様な
スタンダードなスイッチボックスが発売されています。
このほかに、各社に特徴のあるスイッチボックスがあります。
②未来工業 配管スライドボックス
スタンダードなスライドボックスでは、
1ヶ用なら内径22mmの電線管が1本、2ヶ用なら2~3本付けられます。
配管スライドボックスは、
電線管をピッタリ並べて接続することで、
1ヶ用で2本・2ヶ用で4本と、
ボックス幅めいっぱいまで電線管を取り付けられるのが特徴。
複数のHDMIケーブルやアンテナケーブル、LANケーブル・・・と、
今後さらにケーブルが増えていく可能性もあるし、
1連あたり電線管1本では心もとなく、2本を通せる安心感は大きいです。
③未来工業 大判スライドTLボックス
配管スライドボックス(②)と同様、
1ヶ用で2本・2ヶ用で4本の内径22mmの電線管を取り付けられます。
大判スライドボックスは、
ボックスの内幅が数センチ広くなっているのが特徴で、
複数のケーブルを通す場合でも
ボックス内があまりゴチャつかずに済みそう。
④未来工業 ユニットボックス(情報機器ボックス)
大判スライドTLボックス(③)よりさらに
ボックスの内幅が広くとられています。
(ケーブルをループさせたり、整合器を取り付けたりのスペースらしい)
2ヶ用と3ヶ用がありますが、電線管の差し込み口は1ヶ分だけ。
⑤パナソニック らくワーク
ボックス構造ではなく、電線管などを固定する「枠」になっている。
他社の高機能ボックスよりも価格面で有利なほか、
壁裏に空間がない場所でも内径22mmの電線管を使えるのが特徴です。
後付け用の材料を比較
一方、すでにある壁にコンセントを後付け・増設するために、
下地に固定せずに最低限の穴あけだけで
コンセントを取り付けられる材料がいくつかあります。
①パナソニック はさみ金具
パナソニックのはさみ金具には大きく3種類あります。
一番コンパクトなこれは、取付枠に小さな金具を付けて、
ネジを締め上げることで石膏ボードをツメではさむような仕組み。
壁の厚みによって2種類から選びます。
激安だけど、ボードへの固定部分の負荷が大きそうなのと、
ネジをゆるめすぎると金具を壁裏に落としやすそう。
もう一つはC型金具とも呼ばれるもので、
取付枠の上部とネジで固定した金具を壁の裏に差し込んでから
取付枠の下部をネジで固定してはさみこむしくみ。
(1ヶ用のみ)
もうひとつのはさみ金具は、
金具を壁裏に差し込んでから、
針金部分を石膏ボードの手前に折り曲げて仮固定できるもの。
作業としては一番失敗がない?
簡便かつ手頃な価格なので
スイッチやコンセントの増設ではよく使われるようですが、
電線管の固定ができないので、
壁裏配線用として使うには制限があります。
(2022/2追記)
スゴ枠という材料もありました。
PVC製で折りたたんで開口部に挿入できるというもの。
②未来工業 パネルボックス(あと付けはさみボックス)
壁に開けた穴にボックスを差し込んでネジを回して、
ボックスから飛び出た金属ツメで石膏ボードをはさみこむという仕組み。
(のちほど構造をくわしく紹介)
無印(標準の深さ)のボックスと浅形のボックスは
内径16mmの電線管までしか対応していません。
深形(SBP-Y, SBP-YAD)は内径22の電線管に対応しているので、
HDMIケーブルの通線にも使えます。
未来工業 パネルボックス レビュー
構造を確認してみたくてホームセンターで、
1ヶ用の深型パネルボックスSBP-Yを購入してみました。
(1個200円ほど。興味本位でうかつに買えるお値段)
隅にあるプラスネジを回すと、
ボックス内に格納されていた金属ツメがシュパッと飛び出します。
さらにまわすとツメが手前にぐんぐんスライドしてきて、
ボックス手前の羽根との間で石膏ボードをはさみこむという仕掛け。
(電ドラ使えば固定は一瞬ですね)
上下にノックアウトがついていて、
ニッパで切り取ることで最大22mmの電線管を取り付けられます。
パネルボックスの採用を検討しましたが・・・
既設の壁への取り付けなので、
後付け用のパネルボックス(2ヶ用)をつけて、
離隔をとって強電と弱電を通すことを検討。
深形の2連用は、
SBP-WYは内径16mmしか対応していません。
SBP-WYAD・SBP-WYADMは内径16mmと内径22mm各1本ずつ
取り付けられます。
22mmの電線管が差さる、
2ヶ用パネルボックス・セパレータ付(SBP-WYADM)
を採用するつもりで、メーカーサイトで仕様図も確認し、
これでいけそうと考えていました。
実際、工事をお願いする直前にホームセンターで実物を確認してみると・・
内径22mmのノックアウトが付いているのが
ボックス下面は右側、上面は左側なので、
2つのボックス間の電線管がクロスすることになり
仕上がりの格好があまりよくない。なんかイマイチ。
(メーカーの仕様図やネット通販の画像ではここまでわからず、
実物を見ておいてよかった)
未来工業 高機能スイッチボックス2種 レビュー
石膏ボードってもろいし、
挟むだけの取り付け方だと強度の心配もないわけじゃない。
と思い直し。
少し大がかりにはなりますが、後付けのボックスは使用せず、
一旦壁(石膏ボード)の一部を取り外して、
下地に2ヶ用のスイッチボックスを取り付けてもらう方針にしました。
2連の左側にコンセント。電線管は付けられた方がいいが必須ではない。
2連の右側に弱電を通す。余裕をもって22mm管を2本付けたい
という条件で、候補のスイッチボックスを2種類にまで絞り込みました。
スタンダードなスイッチボックスが100円程度のところ、
いずれも800円ほどで、スイッチボックスとしては高級品です。
近所のホームセンターでは在庫がない商品だったので、
比較のために通販で購入して、工事前に詳細を確認しました。
未来工業 大判スライドTLボックス SBT-12LW
届いたときの状態です。
バラで購入したので、パッケージには入っておらず裸で届きました。
付属品は離隔をとるための仕切り板と、
14,16の細い電線管を使うときの変換アダプタが4セット
電線管の差し込み口が上下合わせて8カ所あり、
差し込み口にはツメが付いていて、
ここに電線管を差し込むとガッチリ固定されます。
差し込み口の奥にはノックアウトがあります。
(画像の右側はノックアウトを抜いてあります)
横方向にも細い電線管を付けられるノックアウト付き。
ためしに、手元にあったPF22を差し込んだところ。
ツメでがっちり固定され、引っ張ってもまったく抜けません。
(ツメを持ち上げてもうまく外せなかったので、
PF管をニッパで切断して取り外しました)
取付枠をつけて電線管にHDMIケーブルを差し込んでみました。
未来工業 ユニットボックス SBTV-22
届いたときの状態。 ボックス内に付属品と簡単な説明書が入ってます。
電線管の固定部分は2連のうち片方だけについてます。
もう一方にもノックアウトがあり、 ケーブルを通すことができます。
ブランク部分のフタは取り外せます。 離隔をとるための仕切り板付き
電線管を突き当たるまで差し込んで、
止め具をネジ止めして固定します。
取り付けた電線管にHDMIケーブルを入れてみました。
どちらもニーズに合いそうでした。
未来工業 ユニットボックス(SBTV-22)を選択しました。
一旦壁を外して、下地にボックスを取り付けてもらいましたが、
壁の補強やエコカラット貼りも同時にお願いしていたので、
追加の出費はそれほど大きくありませんでした。
(2020-04-15に投稿した記事の移転・再投稿です)
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