かもつ。①

小2の頃から僕は

パイプベッドで寝だした
19,800円くらいの、やっすい黒パイプ
小2の僕が上に立つだけでギシっと言う

いわんやセック○をや だ
いわんや○ックスをや だ

11時だろうか
深夜2時だろうか

おしっこ（頻尿ではない）で起きたり
目覚める夢（夢精ではない）を見て起きたりして

また眠りにつこうとしたときに

ガッタンゴッツッ（半拍）ガッタンゴッシャー
ガッタンゴッツッ（半拍）ガッタンゴッシャー

と、変則8ビートが鳴る
そう、貨物列車だ

貨物列車の時のリズムは
恐らく全国皆変則8ビートのはずだ

JR九州からJR西日本へ
バトンの繋ぎ目で僕はそれを聴く

目をつぶって耳を澄ませる

おお、、まだ音が続く！
今回のは長いぞ！

と、脳内で実況中継する
そして最後は飛び乗る妄想でお開きだ
ブルーハーツのトレイントレインの影響ではない

母と全国の路線図マップを開いた時
鹿児島本線は東京そして
北海道まで繋がっていることを知った

東京に行ってみたいなと思った
乳児の頃僕は何度も東京を訪れているらしい
母の楽器の稽古に付き添う形で
付き添うというか
オブジェみたいに
その辺に転がされてただけだと思うけれど

全く微塵も記憶がないのに
東京によく行ってたと言われたら
気になってしょうがない

お父さんの都合で
一時東京に住んでいたユウキ君は
「ジュリアナ東京が流行っとうばい」
と自慢しては鼻高々だった

もちろんユウキ君がジュリアナ東京に
通っているわけもなく
ニュースを見て言ってるだけだ

別に九州にその情報が流れないわけではなく
東京に住んだことがない人間は
ついつい東京発信の情報が
基本的に右から左に流れていってしまう
そう、想像のしようがないからだ

いわんや小学生をや だ
いわんや小学生をや だ

帰り道ユウキ君が
ジュリアナ東京のニュースで聞いたっぽい
チャーチャッチャッツチャチャ♪
チャーチャッチャ♪
と口ずさんで踊った
ユウキ君はガンガンウケを狙うタイプだ

こんな感じ？
と
チャンピョンのダサい横長のカバンから
（ランドセルが嫌すぎてスポーツバッグだった）
リコーダーを取り出して

ユウキ君と似た音程でメロディーを吹いた
ユウキ君が派手に吹いた
彼は僕以上に、ゲラだ
東京に勝ったと確信した
正確には
東京に一年住んだだけで
調子乗って凱旋してきたガキに勝っただけだ

これは福岡あるあるだが
実際、東京の学校に進学し東京で就職して
海外赴任してきた輩は
高確率でマウントを取りたがる
福岡県人会とかはクソの吹き溜まりだ
我々過疎の田舎者が持っている
アンビバレントな
東京に対するネガティブイメージの80%は
博多と名古屋のせいだと思ってる
プライドの高い地方中枢都市の輩が上京したら
大抵ロクでもないことになる
（ソースはうちの親父だ、未だに調子に乗る）

僕: ねえ、お母さん
    貨物列車に乗れたら
    タダで東京に行けるんよね？
    飛び乗ればバレんかろ？

と、数えきれないくらい質問した

母: 天国行きになるばい

と毎回即答された

初めて大阪駅に着いた19の春
いわゆる大阪北ヤードを見て驚愕したんよ
いやいやいやいや
貨物列車大阪で停まっとるばい！
これ東京行けへんやん！
あんな長い貨物列車見たら普通
少しずつ🤏コンテナ切り離しながら
各主要都市に物資ば届けながら
北海道に着く頃には
一両になっとるんかなあて
思うに決まっとろーもん
それがさ、
大阪で全部降ろされとるとか
考えられる？そんなんできる？
後ろ向きのコンテナめっちゃトラップするもん
そんなんできひんやん普通
そんなんできる？言っといてや
できるんやったら…

東京を夢見る福岡の少年は
大阪行きのコンテナに生き霊を詰めて
北ヤードまで受け取りに行った

そう仮定すると
僕が霊感が強い説明がつく