
現実は大人の味: なぜ人は現実を見ないのか
現実を見なければ創造はできない。 それは誰もが知っているはずなのに多くの人が現実を直視しない。なぜなのだろうか。
それは、現実は大人の味、すぐには馴染まない、習得する味だからだ。
現実は苦いコーヒーや、渋いお茶のようなもの
子供は甘いものを好む。アイスクリームやチョコレートのような、わかりやすく心地よい味を求める。一方で、苦いコーヒーや渋いお茶には顔をしかめる。最初はその味の良さがわからない。
大人になると味覚が広がり、深まっていく。苦いコーヒーが心地よくなり、渋いお茶に落ち着きを感じ、辛さや酸味の奥行きを楽しめるようになる。甘いだけでは物足りなくなり、複雑な味を受け入れ、それを楽しめるようになる。
思い通りにならない現実
現実も同じだ。
夢の中では全てがシンプルでわかりやすい。アイデアは完璧で、誰もが賞賛し、成功が約束されている。現実はそうではない。実際に実行してみれば予想外の問題が次々と現れ、思ったような結果にならない。
市場を調べれば、自分のアイデアの甘さがわかる。実際に作ってみれば想像とは違う課題が浮き彫りになる。フィードバックを受ければ期待していたものとは違う反応が返ってくる。最初はそれがただの苦さや渋さとしてしか感じられない。
現実を見つづけていくと、深い味わいに変わる
だから、多くの人は現実を避ける。
だがそれを受け入れ、繰り返し向き合うことで、少しずつ感じ方が変わってくる。試行錯誤を重ねるうちに、かつては苦くて飲み込めなかったものの中に、深みやコクがあることに気づく。
簡単に作れるものも悪くない。すぐに形になり、評価されるものは気持ちがいい。だが、時間をかけ、現実と向き合いながら積み重ねたものは、単なる甘さではない深い味わいを持つようになる。
心地良いだけではない現実を楽しめる
夢想家は甘いものを求める。現実の苦みや渋みを避け、心地よいものだけを追いかける。
創造者は、最初は馴染まなかった味に慣れ、やがてそれを楽しめるようになる。
現実はすぐに好きになれるものとは限らない。 しかし何度も味わううちに奥深さが馴染んでくる。
そこに創造の鍵がある。