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区画化の勧め
やりたいことがいくつもあって複数のプロジェクトやタスクが同時進行する状況がある。忙しいというより、「立て込んでいる」という感覚に苛まれることはないだろうか。
頭の中にアイデアが溢れ、手をつけるべきことが散在し、どこから始めていいのかわからない。こうした混乱が続くと集中力が削がれ、結果としてどのプロジェクトも中途半端に終わる危険がある。
区画化とは
ここで鍵になるのが区画化(compartmentalization)というスキルだ。
これはプロのクリエイターたちが自然と身につけている技術であり、複数のプロジェクトや役割を切り分けて取り組む方法である。区画化が上手い人は、ある時は集中して一つの作品に没頭し、また別の時はまったく違う課題にシフトできる。この切り替えがスムーズだからこそ多くのことを高いレベルで成し遂げられる。
区画化は特別な才能ではない。誰でも学んで身につけることができる。以下にその基本的な考え方をいくつか挙げてみよう。
1. 物理的・時間的に切り分ける
プロジェクトごとに時間や空間を区切ることは基本中の基本だ。例えば朝の2時間はプロジェクトAに集中し、午後はプロジェクトBを進めるといった具合だ。
物理的に区画を作るのも有効だ。プロジェクトごとに専用のノートやデジタルフォルダを作り、タスクが混ざらないようにするだけでも頭の中が整理される。
2. 役割ごとの自分を区別する
ひとりの人間にも役割はあれこれある。親、ビジネスパーソン、アーティストといった異なる役割を持つ自分を、時間や状況に応じて切り替える意識を持つ。ある役割に集中している間は、他の役割のことを一時的に棚上げする。これが区画化の規律である。
3. Creatingのための余白をつくる
多くの人が抱える課題は、予定が詰まりすぎていることだ。Creatingには余白が不可欠であり、この余白を意識的に確保することが区画化の効果を高める。余白は次のステップを考える時間であり、アイデアを練るための空間でもある。
ぼぉっとしている時間。お風呂に入っている時間。バスに乗っている時間。布団に入って眠りに落ちるまでの時間。朝目が覚めて布団から出る前の時間。こういう時間を大切にする。脳のデフォルトモードネットワーク(DMN)が活性化するのだ。
区画化の目的はタスクを単純に分けることではない。それぞれのプロジェクトや役割に集中し、最高の結果を出すための方法である。プロのクリエイターがこのスキルを駆使するように、私たちも自分の生活や仕事に取り入れることで、複数のタスクを効果的に進められるようになる。
区画化できると、やりたいことややるべきことがたくさんあるとは思えないほどゆったりと優雅に創造を愉しめるのである。