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第9週/ 正義感は時に暴力性を生む/ スマートシティとデジタルツイン/ データ活用は誰のため?/ 20/08/02-08/09

夏らしい暑い日々が続いています。寝苦しい夜が続きますが、僕はそれも含めて、夏が大好きなので楽しんでいます(冬は超苦手)。

それでは今週も僕自身のツイッターの投稿から、一週間を振り返りたいと思います。よろしくお願いします。

弊社(レイ・フロンティア)が東京都が進める「官民連携データプラットフォーム」の実証プロジェクトの協力企業に採択されました(主体はゼンリン様です)。

官民連携データプラットフォームとは、都が保有するデータに加えて、都内区市町村、関係機関、民間企業等から得た公共データや民間データを連携をするデータプラットフォームで、最終的には「都市のデジタルツイン」の基盤となることを目指すプロジェクトです。

昨今「デジタルツイン」という言葉をよく耳にしますが、簡単に言えば、リアル世界から収集したデータによりデジタル空間にシミュレーションできる手段で、ここでいうツインという言葉は「仮想空間と現実空間を双子」という意味になります。

今回は弊社の既に保有している移動データを軸として、位置情報の収集・分析技術の提供となります。ようやくスマートシティ化に携わる仕事ができて光栄です。

トヨタ自動車のスマートシティ開発を含んだ新規事業を担う「Woven Planet Holdings(ウーブン・プラネット・ホールディングス)」。

コロナにより加速されたインドア化する日常により、物流の増加、移動手段の変化(カーシェアリングの増加)、運動不足による健康意識の高まりなど、人々の行動が変化していくことは間違いない。

ウーブン社ではデジタルツインにより都市デザインのシミュレーションを行い、静岡県裾野市に実証都市の設計を行うとのこと。

自動運転車にせよ、人々の生活に強く紐づく公共性が高いサービスは、その都市との強い結びつきは不可欠だ。

2020年5月にGoogleがトロント市で進めていたスマートシティ開発は資金難とコロナウイルスの影響で計画が中止となった。中国では次々に地方都市でスマートシティ化が進んでいると言われてる。しかし、スマートシティの発展が比較的進んでいる浙江省・広東省・上海市の限られた都市ではデータが流通しているようだが、国全体としては現実はまだまだデータの統一化も道半ばのようだ。

政府の行動論理・思考方式・政策決定プロセスにおいて、ビッグデータ思考が欠如しているため、スマートシステムを活用して指導や政策決定をすることを優先的に思いつかないのである。

もしかしたら安心・安全を第一とした日本は、この領域を強みとできる、数少ない技術領域かもしれない。
日本国内の強みとなれるような科学技術のひとつになってほしいと思う(弊社も関わりたい)。

日本政府が自治体システムの仕様統一を目的して、来年にデジタル化に向けた新法を成立する。

中国の例を見れば、IT化に成功している都市は「職員レベルでネットワーク思考があり日々の運用の中に取り込まれている」ことがあるようだ。

当然、大規模な予算で複雑化したシステムを簡素化することは重要であるとは思う。

しかし、システムが完成すれば万事解決ではなく、まずは足元の電子化や、データドリブン型の思考を自治体職員へ意識づけることが初めの一歩だと思う(ハンコの電子化なども)。

記事では、各自体がバラバラのシステムベンダーへ発注していることを問題視しているが、おそらく根本原因は、職員内に高度なITリテラシーの高い職員がいないことだったり、その方々がシステム管理者に収まってしまい、自治体全体の方針に携わるような職務についていないのではないか。

新しいことに取り組みと歪が起こるのは当然。ただその歪を恐れてばかりでは、現場からの改革はいつまでなっても行われないと思う。

政府がIT基本戦略で「5年以内に世界最先端のIT国家となることを目指す」と宣言してから約20年もたつ。新法制定を機に一刻も早い「アナログ国家」からの脱却が求められそうだ。

20年も同じことを言っているらしい。

公衆衛生を守るために、プライバシーを国家に差し出すべきか問題。

AppleによるIDFAの利用規制などプライバシー保護の対策も含めて、GAFAを中心に強まっている一方で、新コロナウイルスの影響により、中国など一部国家では、個人の経路をトラッキングをされていることを推奨された。また、AppleとGoogleも共同で政府が陽性者と濃厚接触したかを追跡できるプラットフォームを提供も始まっている。

国家や企業が、強制的に市民からプライバシー情報を収集することは個人的には反対であるが、必要に応じて市民から情報提供を要請することは、社会を守る観点からは大切ではないか。

つまり生活ログは個人で保有をし、必要に応じてインセンティブ(利用者のメリットがある)と引き換えに提供することが良いと思っている。

それに必要なことは、市民は提供する可視化されたデータを理解し、政府はそのデータの利用用途を説明すること、そして、データを提供する市民にとっても、提供後にインセンティブ(データ提供のメリットを感じること)があればいいのではないか。

国家や企業が有事の際には、状況把握を目的とした市民や従業員からの状況提供は不可欠である。

データ社会を広げるためには、極端な監視国家とは違う、国家のデータ管理仕組みにより、国家と市民、企業とそれに属する社員と、プライバシー保護を含めた新たな信頼関係が必要になると思う。

Rubyの生みの親である、まつもとゆきひろ氏による「COCOAの問題」に関する記事が大変面白かった(このアプリに言及した記事ではNo1だった)。

問題の原因は、1) 過密なスケジュールでのCOCOAの開発体制、2) 開発元となった「Covid19Radar」とうOSSにも関わらず、1国1アプリという自由な開発をベースとするOSS開発との矛盾問題、3) 社会的な意義と責任問題(開発者へのSNSでの誹謗中傷/正義感による過度なバッシング)、4) 不透明なお金の流れ(情報が公開されていない問題)が積み重なり、問題を生み出してしまったとのこと。

この経験を糧にして、今後政府とOSSのより良い関係が構築できればよいと思います。また、ネットでの皮肉にさらされて傷つく人が少なくなることを期待したいです。

と最後にまとめており、まつもとさんの優しさを感じた。

理由3)は、正義感が本人も意識せずに暴力性を持ってしまったことがあると思う。これは、自分自身も含め誰もが意識して注意しなければいけない。

Uberの運転手がAIのアルゴリズムを開示する訴訟を起こした。

Uberで活用されているAIは、運転手の収益が決定される仕組み(配車のの割り振り)に影響しているために、GDPRの第22条
「AIによる自動化処理の決定を拒否できる(人間による決定を可能とする)」
により、開示要求が可能となるとのこと。

AIのアルゴリズムは企業の機密情報となる。その中でもUber社は、本来は機密情報となる範囲までの開示していると主張しているが、原告の運転手は開示されているデータ量が非常に少ないために納得が言っていない様子。

またUber社は原告に対し、AIによるアルゴリズムによる原告へは適切な成果(報酬)を出ししてるために、アルゴリズムは必要不可欠であると反論する可能性があるとのこと。

複雑性を増すAIのアルゴリズムを説明することは、複数の動的な要素が関係していたり、時にはそのアルゴリズムそのものも変化(進化)するために、非常に難易度が高い。

しかし、今後は偏見や差別がないアルゴリズムであることを企業(政府も含む)は、その高い難易度であるにも関わらず、説明していく必要があるのだと思う。
つまり、これからのAI技術は説明責任まで包括されていくのだろう。

その他、気になったニュースを簡単に。

ベイルートで大爆発。30万人が家を喪失。
6年間も港に危険な化学薬品を放置していた政府への強い批判。

ちなみに、レバノンのGDPは世界標準レベル。政治は12の宗派などに別れ、それぞれに資金が分配されるような派閥政治となっているようだ。内戦が多い理由かもしれない。

中国、独自GPS「北斗」使用機器の半導体を量産
中国産のスマートフォンを含めた機器にも搭載されていくのだろう。

トランプの徹底した中国の締め出し。中国キャリアが米国のネットワークへ接続させない等の、完全排除の様相。日本への今後の圧力も想定される。

そして、TikTokの事業売却命令だけでなく、政府に対しても支払い要求。米国エリアでビジネスをしていたという理由のよう。トランプの不動産ビジネス思考。

任天堂の好決算。

2021年3月期第1四半期決算
売上高:3581億600万円(前年同期比+108.1%)
営業利益:1447億3700万円(同+427.7%)
営業利益率:40.4%(同+24.5pt)
経常利益:1503億2900万円(同+576.2%)
純利益:1064億8200万円(同+541.3%)

海外の売上比率は76%なんですね。思ったより多い。
1063万本も売れたどうぶつの森が大健闘。
そして売上を大幅に増やしつつ販管費率が下がっている。恐ろしや。

吉村知事の新コロナウイルスにシソジン記者会見。実はウイルス弱体化とは関係なく、その場の検査にだけ効果があるという噂も。。。

自民党内で消費税増税議論開始。流石に当面はないとは思うけれども。

新コロナウイルスの強い経済抑制施策を行わなかった結果、10万人辺りの死者が56.4人と最も多いと言われていたスウェーデンは、経済打撃はEU内では最も軽微である可能性があるとのこと。

人口10万人当たりの死者数が最も多いのはベルギーの85人。次いで英国(68人)、スペイン(61人)、ペルー(61人)、イタリア(58人)となっている。

数字を調べたら、スペイン、イタリアの変わらないね。

★★

ここまで読んでいいただきありがとうございました。
今週は夏休みの方もいると思います。皆様、良い休暇となりますように。

引き続きお願いいたします。

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