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#1:新人PMとしての自己紹介:研究畑からビジネスへ
初めまして、田村俊樹と申します。約2年間PMとして働いてきました。本日は改めてPMを目指そうとしたときのことを思い出しながら、私がどのようなバックグラウンドでプロダクトマネージャー(以下、PM)という職務にたどり着いたのか、そしてなぜこの領域に魅力を感じているのかをお話ししたいと思います。まだPMとしては駆け出しですが、"研究の世界からビジネスサイドへ"というキャリアチェンジで感じたことや学びを、これから少しずつ共有できればと考えています。
研究からビジネスへのシフト
私は大学・大学院時代、理学分野で研究に没頭していました。学部時代には地震観測、大学院では火山物理学と、自然現象のメカニズムを解析する日々。「草津白根山における地磁気観測の解析による地下の熱状況の理解」というテーマで、地球内部の熱流動を解明するためのデータ取得や解析を行っていました。
このような研究に携わる過程では、一見、ビジネスとは無縁に思えるかもしれません。しかし研究活動から得られた"課題を自分で定義する力"や"仮説を立て、実証するプロセス"は、プロダクト開発にも通じるものが多いと気づいています。研究者は常に「なぜこうなるのか」「どうすればデータから本質がわかるのか」を問い続ける存在であり、PMも「ユーザーの本質的な課題は何か」「どんな価値提供が解決につながるか」を問い続けます。この問いかけと検証のサイクルは、分野が違えど根本的にはとても似ていました。
アメフト部で学んだチームワークと主体性
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もう一つ、私が研究以外で大きな学びを得たのは大学アメリカンフットボール部での経験です。私自身はOffensiveLine(OL)としてチームを支えるポジションに就いていました。OLは華々しい活躍が目立つポジションではありませんが、堅実に相手のラッシュを防ぎ、味方が前進するための基盤を作る役割があります。華やかな成果はクォーターバックやランニングバックのものになりがちですが、OLが機能しなければ得点機会は生まれません。
この経験は、PMとしても通じるところがあると感じます。PMは決して自分一人で何かを「完成」させる職種ではなく、エンジニア・デザイナー・マーケター・営業・CSなど、様々なポジションの人たちをサポートし、価値提供の方向性を整え、背中を押す存在です。時に目立たない裏方的な立ち位置であっても、チームが成果を出せるよう環境整備や方向性の提示を行うことが重要。それはOLのような存在なのかもしれません。
ビジネス経験への足がかり:インターンシップ
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研究だけでなく、私は学生時代に複数の企業でインターンを行いました。SEOディレクターやマーケティング関連業務、さらにベンチャーキャピタルでコミュニティマネージャーと、まったく異なる色合いの仕事を経験する中で、「ビジネスの現場では、正解が一つではない」という感覚を強く持ちました。
研究では一つの現象に対して論理的な整合性がある程度求められ、答えも比較的明確な傾向があります。一方ビジネス、特にプロダクト開発は「ユーザーが求める価値は多様」であり、100%の正解は存在せず、都度最善の一手を探るゲームのようなものです。
そんな中、ある大学OBの社長との出会いがあり、その後、PMという役割に携わる機会を得ました。そこでユーザーインタビューから機能要件定義、そして開発チームとのやりとりまで、ゼロからロードマップを描き、優先順位をつけ、実際にリリースまでこぎつける流れを体験。それまでの研究畑+マーケティングインターンでの感覚が統合され、「この職種なら自分の個性が活かせるかもしれない」と思ったのがPMを目指した大きな理由です。
価値づくりに惹かれた理由
研究では新しい知見、マーケではユーザーニーズ、スポーツではチームワーク、それぞれ異なる場所で得た価値観が私をPMというロールに引き寄せました。PMは問題定義(研究マインド)、関係者の巻き込み(チームスポーツの教訓)、ユーザー理解(マーケでの洞察)を総合的に使える立場です。
またPMは、単なる機能改善だけでなく、ユーザーに「新たな一歩」を与えられる職種だと思っています。自分が企画し、世に出したプロダクトが誰かの課題を解決したり、新しい体験を生み出すとき、そこには大きなやりがいがあります。
新人PMとしての目指す姿
とはいえ、私はまだまだ3年目に入る前の新人です。日々、分からないこと、戸惑うことばかりで、上級者のPMの方や社内外のメンターから学ぶことが多いです。このNoteでは、私が日々何を学び、どんな壁にぶつかり、それをどう乗り越えたか、あるいは乗り越えられなかったかまで、正直に書いていければと思います。
素直に書くと決めた理由は、自分自身、まだ道半ばの立場だからです。PMとして成熟した人物像は到底不可能ですが、「試行錯誤を共有する学習者」としての立ち位置で発信することで、同じような境遇の方、あるいはこれからPMを目指す方にヒントになれば嬉しいです。
今後は、PMの基礎的な考え方、初めての機能開発での失敗談と改善策、他職種とのやりとりで得た気づき、ユーザーインタビューで痛感した課題、心理学の学びを活かしたユーザー理解の手法など、多角的に掘り下げたいと思います。
新人PMとして歩み始めたこの道のりを、一緒に読み解いていただければ幸いです。