写真は僕を幸せにするのか

医療系の研究施設で働いている。僕は短期転勤族だ。今の事業所は7ヶ所目。場所は北海道。写真をライフワークとしている僕にとっては、願ってもない異動だったわけだ。

だいぶ写真の腕も上達したと思う。1年前の写真を見れば「下手くそ」と思えるからだ。きっと今の写真を1年後の僕が見れば同じことを思うだろう。そう願っている。

実家から親が遊びに来た。僕に会いに来たという口実で、その真意はほぼほぼ観光旅行だろう。1週間の滞在予定だが、スケジュールは過密だ。連休と有給を組み合わして、なんとか対応するつもりだ。

僕の料理にも期待していたらしい。だからといってカレーやハンバーグでは満足してもらえないだろう。北海道らしい料理でなくてはダメだ。考えた結果、厚田港の朝市に出かけることにした。そこの目玉は『ホタテ』だ。漁港で買う・家で調理する・食べておいしい。それらを提供した。

僕も楽しかった。買ったホタテは大量だ。生のホタテはカルパッチョにした。紐はバター醤油炒め。クリーム煮も作った。もちろん貝殻付きでも焼いた。醤油を垂らすと香りは部屋中に充満する。メインはフライ。タルタルソースも用意していたが、塩の方が美味しかった。

観光地へのリクエストは3ヶ所に及んだ。旭岳と神威岬。それと最終日の前日に、お土産を買うとして富良野の富田ファーム。まあまあの連続遠出である。

すべてが無事に終わった。僕のアテンドも完璧だったと思う。写真も撮れた。親も写真を撮っていたが、それは記念写真だった。すべての写真に本人が映り込んでいる。おそらくスタンプラリーのようなノリなのだろう。

親は昭和の人だ。観光スタイルにも時代を感じる。とにかく有名な場所へ行き記念写真を撮る。そしてお土産を買って帰る。そのコレクションを増やしていくみたいだ。それはそれで楽しいだろう。

僕も写真をライフワークにしていなければ、同様の旅行をしていたかもしれない。そこに優劣は無いが、すこし寂しさも感じる。写真に出会えてよかった。けれども、逆に出会えなければ苦労をすることも無かったであろう。写真は僕を幸せにしてくれたのか、それとも不幸にしたのか、本当のところは分からないのである。

親が帰った次の週末。富良野へ出かけた。レンズは45mm。フィルムはリバーサル。ちぎれた雲がきれいな日だった。空を中心に撮りまくった。すこし露出は暗めだが、それがよかった。F8でSSは1/250。今後の基準になりそうだ。

やはり写真は楽しい。僕が幸せか不幸かはどうでもいい。『僕の思う最高の1枚』を目指して撮っているが、また1歩近づけた気がする。





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