マーケ施策は「やりたい人が手を上げる」ところから始まる
はじめまして。
サイボウズというグループウェアのITサービスを提供している会社で、ビジネスマーケティング本部(BM本部)の本部長をしております、林田と申します。マーケティングの部門にいますが、私はマーケというよりはチーム作りとかそのあたりを中心に活動しています。
この note では、サイボウズのマーケのチームはこんな考え方で運営されてます、みたいなところを書きたいと思います。これから書く内容は、もともと「自分はこんなことを考えてチームの運営をしています」と社内向けに書いた内容を少し修正入れたものです。今現在できていることもあれば、こうありたい、自分はここができてない(という反省)という内容もあります。誰かの、何かに参考になれば幸いです。
今日は「やりたい人が手を挙げる」ということについて書いてみます。
・マーケ施策の出発点
今日は、まずサイボウズのマーケティングチームでどんな形で施策が起案されて実行されるのか、段取り的なところを書いてみます。
サイボウズ社内はどの部門そうなのですが、マーケ部門でも何かを始めるときは基本的に「やりたい人が手を挙げる」から始まります。やりたい人が社長の青野さんだったり、プロダクトマネージャーだったり、マーケの各チームだったり、広報チームだったり、いろいろありますが、ともかく誰かが言ったから、というよりは、やりたい人を起点にしてまずは始まります。
なんとなく昔からそういう会社だったか、というとそうでもなかったかもしれません。個人の所感でいうと、2010年に今のビジネスマーケティング本部ができて、最初は社長の青野さんがマーケの本部長を兼ねていて、そのころは青野さん起点で始まった施策もいくつかあったような気もします。
「やりたい人が手を上げる」という方向性が自分の中で固まったのは、2012~2013年ころ、サイボウズのクラウドサービスが導入1,000社を達成し、それを記念した「1,000社イベント」をやったり、サイボウズ式(サイボウズのオウンドメディア)が始まったころあたりではないかと思います。
サイボウズのクラウドサービスの導入1,000社を記念した「1,000社イベント」を2012年に行いました。その際、その企画の担当の杉山さんから最初に「戦車を走らせてサイボウズの勢いを見せたいと思います」と言われたときは、一応マーケの本部長である私は「お、、、おう、、、なるほどです」くらいしか言えなかった記憶があります。あまりにぶっ飛んでいて、反応できませんでした(^-^;
戦車に関する逸話はこのあたり
「サイボウズ式」について言うと、これを立ち上げた大槻さんから最初に「オウンドメディアというのをやりたいです」と言われた時も本部長である私は「この人何言ってんだろう?」くらいの反応しかできませんでした。オウンドメディアがどんな意味を持つのか、どんな可能性を持つのか想像できなかったからです(^-^;(大槻は初代のサイボウズ式編集長です)
サイボウズ式
さらにその後、当時のkintone というサービスのプロダクトマネージャーをしているメンバーから「kintone hiveというユーザーにスポットライトを当てるイベントをやりたいです」と言われて、それまでのサイボウズ Office という製品の比較的控えめなユーザーさんやサイボウズガルーンという製品の堅め情シス部門のユーザー像しか知らない私は「いやー、壇上でスポットライト浴びたいB to Bユーザーとかって考えづらいんですけど」と思ってました。
kintone hive
そのように自分には最初は理解できない施策やイベントなど、結果としてはどれもうまくいって、いくつかのものは現在のサイボウズでは重要なコンテンツやイベントとなっています。
・私の学び
私の得た学びとしては、「みなさんいろいろよく考えてくれるなぁ。邪魔しないほうがいいかな?」というところでした。そもそも私のスキル不足かもしれませんが、私もマーケティング部門の本部長ではありましたので、一応、施策に対していい悪いを判断して意見を言わないといけない、と思いこんでいましたが、私の判断もそれほど当てにならないので(^-^;、いい悪いの判断はせずに、担当の方がいろいろ施策を進めていく中で何を学ぶことができたか、を確認する方向に変わりました。
次に思うこととしては、「何事もやってみないとわからない」ところです。「これはいける」と思ってGOした施策が微妙な結果だったり、逆に上記のように「私的には微妙と思っていたけど大当たりしている施策」があったり、特にマーケ系は100発100中では全くないし、まずはやってみることが重要だと考えています。
ただし、いきなり大枚はたいて微妙な結果となると、施策を計画、実施しているご本人、そして私含めて大きくダメージをくらうので、最初は小さくやっていただくことをお願いしています。施策そのものを小さくやってもらう、というのもあるし、メッセージなどを別施策で試してみる、というのも一つの方法と思います。
逆に、微妙、を超えて、これはないかもー、と思って再検討してもらう場合の施策って何だろう、と考えると、基本的にはロジックというか話の筋が通っていないものについてはもう少し検討をお願いすることがあります。
記憶をたどると
・コンセプト(どんなターゲットにどんなバリューを提供するか)がはっきりしていないか、特にターゲットが広すぎて「みんな」みたいな感じに思えるもの。
・コンセプトと具体的な施策の想定効果にずれがあるのでは?と思えるもの。
あたりがそれにあたります。が、却下するというのはなくて、だいたいは再検討で修正してもらって実行してもらう感じです。
・意外と重要な「おや?」という違和感
自分の中で重視している項目としては、なんとなく「おや?」と思うものは、ほぼ例外なくその通りのことが起きたり、他部署の方から指摘されることがあり、「おや?」と思った時点できちんと伝えておくことだと思っています。
「おや」と思うものについては、経験的に2つのタイプがあります。
・じっくり味わってみると、施策のロジックとは整合性の取れない要素が見つかること。
・施策を見た人の解釈によっては、何かしら営業または顧客対応部門になにかしらクレームや問い合わせが発生しそうなもの。
以前、「不安に思うポイントは必ず的中する」みたいな話を社内でされたことがあり、その時はあまりよくわからなかったのですが、施策などの作成の中盤以降でぼやっと不安に思っていたことがやっぱり的中してしまって、手戻りが発生したり、というのがその昔はぽつぽつありました。(社員の人には申し訳ない気持ちです。。。)これは特に実行しているメンバーの方にとっては相当つらい感じになりますので、今は極力、「おや?」が発生した時点で口に出すようにしています。
今日はこのくらいでおわります。