#3 「ブーム」と「運」と「先行者利益」と。
米粉という素材を使ってパンを作るようになって長年経ちますが、その間に、私の体感として「米粉」の大きなブームは2回ありました。
最初のブームは、2008年頃~。
これは、政府(農水省)主導で、食料自給率を高める事業推進本部が発足したことが大きな要因だったのではないかと思います。
その中で、「フードアクション・ニッポン」というプロジェクトが発足。さらにその中に「米粉倶楽部」というプロジェクトも出現。
米の自給率アップだ!=じゃあ米粉を輸入小麦の代わりに使えばいんじゃね?
的な流れ?で、大々的に「推し」アイテムとして脚光を浴びます。
TVにはCMが流れ、各地でイベント。スーパーには特設コーナー。企業が出展する各種展示会では大規模な「米粉特設パビリオン」。
企業は米粉がビジネスになる!と考え、自治体は米粉で地方創生!と盛り上がる。企業も米粉に真剣に取り組み、製粉技術もどんどん進化。品質の良い米粉がどんどん出てきます。
その後、国の予算は徐々に縮小。国を挙げてのプロモーションも減りつつある中で、小麦アレルギーがある人にとっては救世主である「米粉」であっても、小麦で十分、と考えている一般消費者にとっては、値段も高いし、思ったように簡単に何でも出来るわけじゃないし、という現実が。
消費者離れと共に、ブームも次第に落ち込んでいくのでした。
(この一次ブームが徐々におさまる過程で、GOPANという、生米からパンを作るホームベーカリーが登場。旋風を巻き起こしました。こちらは開発したサンヨーがパナソニックに吸収されたり、ホームベーカリー市場そのものが次第に落ち込む流れもあり、、、GOPANブームも徐々に落ち着いて行きます)
やがてつぎのブームが来ます。
今度は「米粉」ではなく、「グルテンフリー 」がキーワード。
欧米の流行が日本にじわじわと浸透するという現象でした。
有名なテニスプレイヤーのジョコビッチや、ハリウッドセレブ達が実践しているということで、美容や健康に関心がある人、食の関心が高い人を中心に小麦摂取を控える人が増え、再び米粉が注目を集め始めます。
ジョコビッチの初版が2015年頃だったので、本格的なブームになったのは時期的にはその頃からでしょうか。
そして、ようやくそのグルテンフリーブームも一段落したかな?というのが今年に入ってくらい。これは私の勝手な肌感覚ですが。
ブームが去ったというか、ある程度浸透して落ち着いた、という見方もあるかもしれません(日本におけるティラミスやナタデココのように、ブームが終わって生活に根付くイメージ)。
さて、その二度のブームの中で、私がどういった立ち位置にいたか、超ざっくりな年表にしてみました。
(※本記事は『料理教室という仕事について掘り下げてみる(1)』の3本目の記事です。マガジンで購読するとお得です)
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