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月曜日の腐った牛乳 その壱 【短編小説】

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 僕の机の上にストローの刺さった牛乳パックが置かれていた。

 月曜日の朝、教室の後ろの引き戸を開けると真っ先にそれが目に飛び込んできた。まだ静かな教室で、ストローの刺さった牛乳パックは異様な存在感だった。

 四角いビルから煙突が飛び出ているようなそれから目を離すことができないまま、自分の席にたどり着くと、恐る恐る親指と人差し指で触れた。

 それは生ぬるく、持ち上げ軽く振るうと、牛乳はほとんど入っていた。液体の中に塊のようなものも感じる。

 もう先に教室にいた二人のクラスメイトから見られているのを感じる。

 誰が僕の机の上にこんなものを……。僕は知らないうち誰かに、なにかひどいことをしてしまったのだろうか? その仕返しに、こんないじわるなことをされたのかもしれない。でも、いくら考えても全く思い出せない。
 息が喉につまる。頭がぐるぐるまわる。

 日付を見ると先週の金曜日の牛乳だった。絶対に腐っている。これをこのままゴミ箱に捨てるわけにもいかないし、でも、廊下の手洗い場で腐った牛乳を捨てるのは気持ち悪いし、誰かにそんな姿を見られたら、いじめられっ子みたいでなんだかカッコも悪い。

 なにより、この牛乳パックを僕の机に置いたヤツに、そんなところを見られたくない。そいつはきっと、陰に隠れてニヤつきながら、僕の後ろ姿を見ているに違いない。

 そう考えると、これからこの牛乳パックをどうしていいのかわからず、手から離すことができなくなり、頭が牛乳のように真っ白になった。

 後から考えると、どうしてそんな行動をとったのかわからないけれど、僕は指で挟んだその牛乳パックを、気づくと、教室の前にある先生の机の上に置いていた。

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