不老人間の願いごと【ショートショート】#11
告白すると、実は私、不老なんです。歳を取らないんです。不死ではないから事故に遭ったり、病気になれば死ぬんですが、歳をとることはないんです。だからいつまでも若々しいんです。
ところが私、この世に生を受けた瞬間から不老なもので、いまだにお母さんのお腹の中にいるんです。お母さんは私の存在に気づいていないんです。あまりに小さ過ぎて……。
お母さんは私をお腹に宿した瞬間から、生理というものが止まってしまい、何かと苦労していたみたいです。その悲しみや苦しみは、胎盤を通して毎日伝わってきました。
生を受けたばかりの当時の私には、お母さんの悲しみを理解できませんでしたが、今年で六〇歳になる私は、ようやくその悲しみを理解できるようになりました。
お母さんは今年で八十八歳になります。養子でもらった子供は、お母さんが八〇歳の時に亡くなりました。でも私は生きています。お母さんに気づかれないまま、六十五年間、ひとときも離れることなく一緒に生きてきました。
お母さんはもうすぐ亡くなります。私にはわかります。お母さんが死ぬと私も死にます。
あの世で、お母さんにたくさんたくさん話したいことがあります。
【'実は私〇〇なんです。シリーズ#1 】
今回は「わかつきひかる」先生のYouTubeで見つけた、【嘘の自己紹介】ってのを参考にして、ショートショートを書いてみました。
楽しかったので、シリーズものにしようと思います♪
いつもYouTubeのわかつきひかる先生の声に癒されています♡
わかつきひかる先生、ありがとうございます。
(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)ペコリ
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