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神の啓示。34年前に描いた夢、いま再び【エッセイ】

高校生のときに、ほんの数ヶ月間だけ小説家になりたいと夢見た。あれから三十四年の歳月が流れた今、あらためてその夢を叶えたいと思った。

夢という困難に向かってそれに没頭することは、新興宗教にハマる、ネット商材にハマる、終末思想を信じて核シェルターを庭に作ることに似ていると思う。

それは、人生の無意味さという苦痛を忘れさせてくれる、恰好の餌になる。

オレは宗教にハマりたかった、神の啓示が降りてくることを願っていた、ある日突然、宇宙人とかハイヤーセルフと会話ができるようになるんじゃないかと妄想していた。それが人生の無意味さという苦痛から、オレを、救ってくれると信じていたからだ。

しかし、いつまでたっても、そんなことは起こりはしなかった。これまでの世界観をぶち壊してくれる宇宙人も、洗脳して思考停止させてくれる宗教も、なにも現れてはこなかった。こんなに何十年も待っているというのに。

だからオレは、自分で自分を洗脳することにした。理屈っぽいロジカルなオレを納得させるために、心理学や哲学、脳科学の情報を読み漁った。スピリチュアルもそこから解析しようとした。

そして行き着いたところは、結局は人生の無意味さを受け入れるしかない。その苦痛を苦痛とあるがまま味わうしかないということ。
そしてオレは、「人生に抗いつづけることを止めることができない」ということを受け入れることにした。

しかしそれはオレにとっての、死ぬまでの人生の暇つぶしにはならなかった。
生きていくことの苦痛を、ほんの少しだけ軽くしてくれる程度にしか役に立たなかった。

そしてふと思いついたのが、「小説家になる」だった。これをとりあえずは神の啓示とすることにする。神がオレに「小説を書きなさい」と言っていることにする。

自作自演かもしれないが、やっと神の啓示がきた。
あとはやることをやるだけだ。神には逆らえない。

オレは小説家になる。

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