三、四才の女の子【ショートショート#54】
いまはじめて会った三、四才の女の子から片手いっぱいのポン菓子をもらった。「なくなったら教えてね」と言われた。一緒に美味しいねと言いながら食べた。僕はちまちまと一粒づつ食べた。気づくと僕のポン菓子はなくたっていた。
それにめざとく気づいた女の子はポン菓子の袋に手をつっこみ僕に一掴みのポン菓子をくれた。僕の片手のひらにポン菓子がまた供給された。
しかし女の子はそれに満足できなかった。女の子は両手で袋を持ち上げると僕の手の上にポン菓子をざざざっとこぼし移そうとした。女の子は
「りょうてをだして!」
と僕に指示を出し僕の両手にポン菓子の山をつくった。女の子は満足げだった。僕は山もりありがとうと言った。
女の子は僕のピアスを見て「なんでつけてるの?」と聞いてきた。僕はかっこいいからとこたえた。女の子は「なんでひげをはやしてるの?」と聞いてきた。僕はなんとなくとこたえた。すると女の子は
「ぜんぶ、かっこわるい! ぜんぶ、かっこわるい!」
とにこにことまっすぐな目で言った。僕はえー、そう? と言って一緒に笑った。