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神さまは彩子さま【ショートショート】#17
告白すると、実は私、神なんです。名前は若月彩子。さっき自分が神だということに気がついたばかりなんです。だから神様としての名前はまだありません。
自分でもびっくりしています。まさか自分が神だったなんて!
私は、三〇歳独身。田舎のショッピングモールで、婦人服を売るお店のアルバイト店員を適当にやっています。よくこんなダサくて高い服を買うなあと思いながら、
「素敵ですね!よくお似合いで!」というと喜んでその服を購入してくれるんです。
神である私から見ても、そんなお客様は神様です。
当たり前ですが、神である私は宇宙の真理を知っています。それは人間である私の心の部分からすると、到底受け入れがたい内容のものもありますが、神としての私からすると、手に持ったリンゴを離すと、地面に落ちることのように自明なことなんです。
たとえば、全ての人間は死ぬと一度地獄に堕ちます。生前どんな善行を行っていようと、大罪を犯した人と同じように、地獄に堕ち、鬼たちに切り刻まれます。そして、まとめて大きなミキサーにかけられ、大鍋で煮込まれます。
もちろん切り刻まれれば痛いし、鍋で煮込まれれば熱くて死にそうになります。でも、安心してください。死んでいるので死ぬことはありません。地獄時間で数年間、大鍋で煮込まれてからようやく天国にいきます。
天国には翅の生えた恐竜のような顔をした天使たちがいて、煮込まれた人間たちを美味しく食べるのです。天使たちも人間のように食べれば出すものを出します、うんちを。天国のトイレでうんちをし流すと、そのうんちはまた人間として地球に生まれ堕ちるんです。これが輪廻転生の真実なのです。
私は自分が神だということを、三〇年間すっかりと忘れていました。私の目的は、人間たちに宇宙の真理を教えることではありません。私が地球に生まれてきた目的は、死ぬことです。神として死ぬために生まれてきました。そして、死んで地獄に堕ち、切り刻まれてミキサーにかけられ、大鍋で煮込まれ、天使に食べられる。そしてまた地球に生まれる落ちるのです。
これが神としての私の使命なのです。
実は、あなたたちも神様なのです。
神であるという自覚を持ち、自分に自信を持ち、神の名に恥じない立派な人生を送りましょう!
【 実は私〇〇なんです。シリーズ#6 】