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月曜日の腐った牛乳 その四 【短編小説】
4
僕は、人の顔がこんなに赤くなるのかと、恐怖を感じた。
そして、僕の顔からは、血の気が引いていくのを感じた。
ーーなんで牛乳が登志子先生の引き出しの中に……? 僕はそんなことしてないぞ。
僕は、いま起こっていることが理解できず、一瞬、吸った息が吐き出せなくなりめまいがした。
登志子先生は目を閉じ、あらい鼻息を一生懸命静かにさせようとしていた。その姿が興奮した闘牛みたいで、怖かった。
「みなさん静かにして。聞いてください。先生は、こんなひどいいたずらをした人を許したくはありませんが、今日の、帰りの会までに、先生のところまで謝りに来たら、許してあげます。成績表にマイナスもつけません! いいですか。悪いことをしても、反省して、正直になった子を、先生は許します」
先生はひと呼吸おいて、
「いい、みんな、犯人探しはしないように! いつものように仲良くするのよ!」
登志子先生はそう言ったけれど、目はまだ、充血していた。
もしかして、僕がやったのか? 頭の中が混乱してきた……。いや、僕じゃない。僕は牛乳を、先生の机の上に置いたけれど、引き出しの中には入れていない。ましてや牛乳を引き出しの中にぶちまけるなんて……。