小説(仮・未完)
早朝。僕は掃除用具を載せたバンを運転して、10階建ての公共住宅へと向かう。到着すると、まずはゴミステーションの中のゴミ袋の整頓をする。ゴミ袋の間にボロボロの人形が挟まっているので回収する。アパートに持ち帰って修理するのだ。
整頓が終わると、掃除用具を携えて清掃を始める。ブラシに掃除用の薬品を染み込ませ、共用通路を清める。一階が終われば次は二階……と上へと向かっていく。途中、おばあちゃんに声をかけられる。僕は手を止めず挨拶する。おばあちゃんは今日も元気そうだ。
掃除を終えると、バンに掃除用具をしまう。運転席に向かおうとすると、子供たちの登校ラッシュに出くわす。子供たちがおはようございまああすと挨拶をすると、僕はいってらっしゃいと手を振り応える。子供たちを無事見届けると、運転席に乗り、アパートへと帰っていく。
僕は市から公共住宅の清掃を委託された個人の清掃業者だ。今年で五年目になる。毎日同じような仕事ばかりだが、それなりにやりがいはある。
ゴミをおもちゃに作り替えるのも公共住宅の子供たちからは好評だ。各家からゴミとして出された段ボールや発泡スチロールなどが、ゴミ置き場の机のうえで恐竜になったり、自動車になったりするから、子供たちは興味を示してくれる。